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執念で実現させた時代遅れのスーパー・トリオ Jeff Beck ジェフ・ベック/ギター、ヴォーカル BBA(ベック・ボガート&アピス)はクリームやジミ・ヘンドリックス&エクスペリアンスと並ぶスーパー・トリオであったにも関わらず、大きな成功は収められなかった。 BB&Aの魅力 1973年発表した彼らのデビュー・アルバムのサウンドは、期待するほどの新鮮さもなく、肩透かしを食らった。ヴァニラファッジのサウンドにギターが少し上手くなった程度の感じだろうか・・・。 燃え尽きた3人 こんな素晴らしいステージを日本でも披露してくれた3人であったが、翌74年には2作目のスタジオ・レコーディングに入ったという知らせの後、すぐに解散してしまった。 |
ベック、ボガート&アピス 1973年 Epic/Sony |
1. 黒猫の叫び/Black Cat Moan |
Beck,Bogert & Appice Live ライヴ・イン・ジャパン1973 1973年 Epic/Sony |
1. 迷信 Superstition 2. 君に首ったけ Lose Myself With You 3. ジェフズ・ブギー Jeff's Boogie 4. ゴーイング・ダウン Going Down 5. ブギー Boogie 6. モーニング・デュー Morning Dew 7.スウィート・スウィート・サレンダー Sweet Sweet Surrender 8. リヴィン・アローン Livin' Alone 9. アイム・ソー・プラウド I'm So Proud 10.レディー Lady 11.黒猫の叫び Black Cat Moan 12.ホワイ・シュッド・アイ・ケアー Why Should I Care 13.プリンス/ショットガン(メドレー) Plynth/Shotgun(Medley) |
1973年大阪厚生年金会館でのライヴが収められたこのアルバムは、当時は2枚組のLPで、日本でのみ発売された貴重盤だ。その後廃盤になっていたが、1989年にCD化され復刻した。しかし、オリジナルに忠実に再現されたため、CD2枚組(録音時間的には2枚組にする必要はないのだが…)として外ケースもダブルサイズ、値段も4,000円と、輸入盤がないことを考えれば、熱狂的なファンしか買わない価格設定だ(^_^; だが、それだけの価値がこのアルバムにはある! 現在のジェフ・ベックは未だ世界一のギタリストの称号は譲らないにしても、普通のロック・ファンには音楽的にもギタリストとしても少々分かりづらく、縁遠くなった感がある。 純粋にロック・ギタリストとして見た場合、このアルバムがハード・ロック・ギタリストとしてのベックの最後の勇姿なのだ。このライブは内容的にも素晴らしく、3人というシンプルなメンバー構成のおかげで、ベックの上手さがよりいっそう引き立ち、世界最高のギタリストの呼び名に相応しいプレイを随所に聞かせてくれる。特にここでの「ジェフズ・ブギー」はライヴならではのアドリヴがいっぱい飛び出し、スケール弾き(注1)ばかりして“速弾き”だと得意になっているギタリスト達には絶対にマネのできない、ギターを知り尽くした男の驚愕プレイをみせつける。 また、アルバム上でベックの声が聞けるのもこれが最後。「黒猫の叫び」ではトーキング・モジュレーターを併用しながらのベックの下手くそなヴォーカルも飛び出す。 ティム・ボガートとカーマイン・アピスについては、今更言うまでもなく、ヴァニラ・ファッジ出身で、ベックに見込まれた凄腕プレイヤー達なのだが、このライブでも各々ベース・ソロとドラム・ソロをやっていて、その実力をいかんなく発揮している。(HINE) |
(注1)その曲のキーに合う音階をスケールと言い、そのスケールの中をただ行ったり来たりしているだけな弾き方。たとえば、ド(C)・レ(D)・ミ(E)・ファ(F)・ソ(G)・ラ(A)・シ(B)・ド(C)・シ(B)・ラ(A)・ソ(G)・ファ(F)・ミ(E)・レ(D)のような弾き方で、これに途中#や♭が付くだけ。これを速く連続で弾くと流れるような旋律になり、いかにも速弾きな感じがするが、実際はそう難しいことではない。練習すれば、ある程度は誰にもできることなのだ。 |