Rock Princess
Black Sabbath  written by suma

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三大英国ハードロックバンドといえば、大抵 Deep PurpleLed Zeppelin、そしてこのBlack Sabbathが挙げられると思う。メンバーを目まぐるしく入れ替えながらも徹底したクラシカル様式美路線で多くのHR/HMバンドに影響を与えたDeep Purple、ペイジ・プラント・ジョーンズ・ボーナム…不動かつ絶対的なこの四人で、ブルースを基礎としながらもあらゆる音楽を吸収し、比類なきサウンドを作り上げたLed Zeppelin。

対してSabbathは、「メタルの帝王」オジー・オズボーンを筆頭に、個性的な4人のメンバーでアンチヒッピー・黒魔術崇拝路線を打ち出し重厚なサウンドでカリスマ的人気を誇った初期、実質トニー・アイオミのソロプロジェクトとして、Purple顔負けの頻繁なメンバーチェンジにより重厚なサバスサウンドはさながらに、スピーディな様式美メタルへと路線変更した中期・後期と、時期によって前述した2バンドの、まったく正反対な特徴を備えているといってもいい。
アイオミ&ギーザーファンである僕は、どの時代のアルバムでも特に抵抗なく聞けるのだが、世間ではやはりオジー期の人気が根強いようで、デビューから30年たった今でもドゥーム・ブラック・スラッシュメタル、ヘビィロックやストーナーロック、果てはNirvanaを始めとしたグランジ勢の「元祖」として崇められている。

60年代後期、世間がヒッピーブームに沸きサイケデリックロックが台頭していた時期、イギリスの工業都市バーミンガム郊外の小さな町アストンにて「悪ガキ」としてその名を轟かせていたオジー・オズボーンは、「こんな俺でもやれる」ことを音楽で証明するため、マイク片手にバンド活動を開始する。Rare Breed・Polka Tulkなど様々なローカルバンドを経て、ギ−ザー・バトラー、トニー・アイオミ、ビル・ワードの三人とともに「Earth」というブルース・ジャズロックバンドを結成。地元のパブやクラブでプレイするうち、その今までにないヘビィで刺激的なサウンドはたちまち評判を呼び、バンド名を「Black Sabbath」に改めて、ついにデビューの運びとなる。
(この少し前、アイオミはあのJethro Tullに加入し数週間バンドを抜けていた)

ロンドンの小さなスタジオにて、48時間というハイスピードで自費レコーディングされたデビューアルバム「Black Sabbath」は、1970年2月13日金曜日にリリースされ、音楽の奇抜さ・素晴らしさと悪魔崇拝のイメージ戦略が相まって、全英8位を獲得するヒットとなる。
バンドはその7ヶ月後の同70年、2ndアルバム「Paranoid」をリリース。表題曲「Paranoid」のシングルヒットもあって全英1位・全米12位の大ヒット、世界進出へのきっかけを作る。
その後は次々と、予約だけでゴールドディスクを獲得した「Master Of Reality」、一般的に最高傑作と評価の高い「Black Sabbath Vol,4」、リック・ウェイクマンをゲストに迎えた「Sabbath Bloody Sabbath」と名盤をリリースし続け、デビュー以来5作連続プラチナディスク獲得の快挙を成し遂げる。まさにモンスターバンドとして、欧米ともに高く評価を得ていた時期である。

しかし、75年リリースの「Sabotage」、76年の「Technical Ecstasy」から、アイオミ主導による方向性の変化が示される。この頃からキーボードを多く用い始め、少々ポップ色の混じった楽曲は古くからのファンに不評を食らう結果になってしまう。
またオジーもそういった方向性の変化に不満を感じ、77年11月、ついに脱退。
バンドは元Fleetwood Macのデイヴ・ウォーカーを後任に向かえ再出発を図るが、音楽性の相違、力量不足などを理由にスピード解雇。結局オジーが復帰し8作目に当たる「Never Say Die」を78年にリリース。ドン・エイリーを迎えるなどして製作されたこのアルバムは、やはりバンドのゴタゴタが音楽に反映されたのか散漫で今一な内容。またこの頃はメンバー全員が薬とアルコールに溺れ、特に症状の酷かったオジーは、78年12月、アイオミの判断よりバンドを解雇されることに。
その後彼は、名ギタリスト 故ランディ・ローズとともにソロデビュー、またTV番組のヒットでポピュラーな人気を獲得するのは皆さんご存知のとおり…

そしてサバスの方はというと、リッチー・ブラックモア率いるRainbowを脱退しソロとしての活動を模索していた名ボーカリスト ロニー・ジェイムス・ディオと接触。
80年、NWOBHMブームに沸く中発表されたのが「Heaven And Hell」。そのサウンドは、「これはサバスなのか?」と誰もが驚いた、スピーディーな中世様式美メタル。
もちろんサバス本来の重厚さは失っておらず、その見事な融合振りに新たなリスナーをも獲得。時代にもマッチしたこのアルバムはセールス的にも良好で、バンドとしての勢いを盛り返した。(やはり初期からのファンには戸惑い離れていった人もいるようだが…)
しかしこのアルバムに伴うツアーの最中、精神・肉体的な問題でドラマーのビル・ワードがリタイヤ。
後任にはヴィニー・アピスを迎えて10作目「Mob Rules」を製作。
初期のようなミドルテンポで骨太なサウンドになったこのアルバムは、またしてもセールス的・音楽的に失敗に終わり、バンド内でも対立していたロニーがヴィニー・アピスとともに脱退。その後は自らのバンドDIOを結成して人気を獲得していく。

そしてサバスが後任に迎えたボーカリストは、何とイアン・ギラン
第二期Deep Purpleを支えたそのハイトーンシャウトがサバスの音楽に合うのかと、ロニーの時よりさらに音楽界は騒然。しかもビル・ワードまで復帰して
話題の中発表された「Born Again」は、ロニー時代の様式美は掻き消され
初期のサバスに近いサウンドの中、ギランが叫び続けるという異色のアルバム。
このメンバーで長続きするはずも無く、あっさりビルとギランが抜けサバスはバンドとして機能しない状態に。そんな中、1985年に行われたライブエイドにて、「オジー・オズボーン・ウィズ・ブラックサバス」としてオリジナルメンバーが電撃復活。このままバンドとして活動していくと思いきや、結局さらに仲を悪くする結果に終わってしまったようで、とうとうギーザーも脱退、残されたのはアイオミ一人という状況になる。

とりあえずソロアルバム製作に着手するアイオミ、元Deep Purpleのグレン・ヒューズ、後にKISSに加入するエリック・シンガーなどを迎えてレコーディング。
しかし、契約上の問題でこの「Seventh Star」もサバスの一枚として発表されることになり、グレンは不本意にもサバス歴代シンガーに数えられることに。
不満タラタラのグレンはツアー途中で逃走し、代役に急遽、故レイ・ギランを立てる。
しかしバンド内の混乱は収まらず、続いてエリック・シンガーも脱退。何だかんだで
結局残ったのは又してもアイオミただ一人。ゼロからのバンドの再建に乗り出す。

まずオーディションで実力派シンガー トニー・マーティンを獲得。
ドラムには元ELOのペヴ・ペヴァン、ベースに元Rainbowのボブ・デイズリーを加え
87年「The Eternal Idol」を発表。ロニー時代の様式美を踏襲した中々の良作である。
89年には、ベースにローレンス・コットル、そしてドラムにあの「渡り鳥」コージー・パウエルを向かえ「Headless Cross」、お次はローレンス・コットルの代わりに元Whitesnakeのニール・マーレイを加えて90年に名盤「TYR」をリリースし、サバス流様式美の頂点を極めるに至る。

一方この頃、ロニー率いるDIOのライブにギーザーが飛び入り参加したことにより、二人が意気投合。「Heaven and Hell」のメンバーでもう一度やり直さないか、という話が持ち上がりそのままロニーとギーザーがサバスに復帰、哀れトニー・マーティンはお払い箱…。さらに、目立ちたがり屋ロニーにとって目の上のたんこぶでしかないコージーを追放し、DIOからヴィニー・アピスを連れてバンドに参加。
こうして92年「Dehumanizer」を製作。「Heaven and Hell」がきっかけになったと言う割には、様式美色の薄い、モダン・ヘビィネスと言えるサウンドになっている。
何でこの人たちはリスナーの期待をことごとく裏切るのだろう(^^; (良くも悪くも)

かたや帝王オジーは、この頃引退を発表している。(すぐ撤回されるのだが…)
この引退ライブに、サバス出演のオファーが。アイオミ&ギーザーは乗り気だったのだが、オジー嫌いで知られるロニーが断固拒否。結局ヴィニーを連れて(笑)DIO再結成へ。
結局このライブにサバスは参加する運びとなったが、ロニーの代役に選ばれたボーカリストがなんと「メタルゴッド」ロブ・ハルフォード。一夜限りと言う条件で、悩んだ挙句参加を承諾する。
かくして、ライブエイド以来7年ぶりにオリジナルサバスの面々が集うことになり、ファンは狂乱。
しかし今回も、4曲をプレイしたのみで再結成話は水に流れることに…

とりあえずアルバムを作ろうと、クビになったトニー・マーティンを呼び戻し(^^;
ドラムには元Rainbowのボブ・ロンディネリを加え94年、17枚目となる「Cross Purposes」をリリース。そして本作に伴うツアーの最中、ギーザーとロンディネリが脱退。(もはやお決まりの展開…)
後任にはコージー・パウエルとニール・マーレイ、「TYR」時の面子が揃う事になる。
95年、初期の重さと様式美サウンドが混在する凡作「Forbidden」リリース。
もうファンも半ば諦めのような心境で現行サバスに付き合ってきたが、ここで転機が。

1997年、突如オリジナルメンバーによるブラックサバスが復活。
オジー主催のロックフェス「OZZ FEST」に出演して米英でライブをこなし、また98年には、2曲の新曲入りライブアルバム「REUNION」を発表。
現在もバンドはライブ活動をこなしながら、ニューアルバムを製作していると伝えられている。
再結成に至った経緯は良く分からないのだが、92年のライブがきっかけになったことは確かなよう。
初期サバスファンにとっては、願っても無い展開なのではないだろうか。
新作のリリースを、首を長くして待ちたいと思う。


Discography青字のタイトルにはHINE氏による解説があります)

1970 BLACK SABBATH
1970 PARANOID
1971 MASTER OF REALITY
1972 BLACK SABBATH VOL.4
1973 SABBATH BLOODY SABBATH
1975 SABOTAGE
1976 WE SOLD OUR SOUL FOR ROCK N ROLL  初期のベスト
1976 TECHNICAL ECSTASY
1978 NEVER SAY DIE
1980 HEAVEN AND HELL
1980 LIVE AT LAST  初期のライブを収めた半海賊盤
1981 MOB RULES
1982 LIVE EVIL  ロニー期のライブ
1983 BORN AGAIN
1986 SEVENTH STAR
1987 THE ETERNAL IDOL
1989 HEADLESS CROSS
1990 TYR
1992 DEHUMANIZER
1994 CROSS PURPOSES
1995 FORBIDDEN
1995 CROSS PURPOSES LIVE  日本未発売の同名アルバムツアー
1996 THE SABBATH STONE  後期のベスト
1998 REUNION
2003 PAST LIVES  LIVE AT LASTのリマスターとレア音源
2007 THE DIO YEARS 新作3曲を含むロニー期のベスト