QUATERMASS クォターマス

メンバー

Pete Robinson ピート・ロビンソン/ キーボード
John Gustafson ジョン・グスタフソン/ ベース・ギター、ヴォーカル
Mick Underwood ミック・アンダーウッド/ ドラムス

ギターなしの異色ロック・トリオ

元EPISODE SIXの3人によるこの異色ロック・バンドは、1969年に結成され、たったアルバム1枚と1年半の活動期間という短命バンドだったにも関わらず、後世まで高い評価を得ている。
エピソード・シックスというバンドは、2期ディープ・パープルイアン・ギラン(vo)とロジャー・グローバー(b)が以前在籍していたことでも知られている。
このバンドは彼らが脱退後もグスタフソンが加わりしばらく活動していたが、やはりリーダーであったロジャー・グローバーの脱退はかなり痛手だったようで、ほどなく解散を余儀なくされた。
クォターマスの3人は、後にさまざまなバンドやセッションに参加していることでも分かる通り、かなり高度な技術を持ったプレイヤー達で、その音楽性も当時としては最先端のものであった。ひとことで言い表せば、ポップスとR&B、プログレ、ゴスペルのミックスというようなサウンドだ。
だが、当時のロック界はギタリスト花形時代。彼らに振り向く者は少なかったようだ・・・。もしメンバーにもう1人凄腕ギタリストでも入っていれば、間違いなく成功を収めていたことだろう。
とはいえ、後になってから彼らの功績は大きく評価され、唯一残した1枚のアルバムは必ずといってよいほど専門書の名盤コーナーに載っているし、ブートのライヴ盤もけっこう出回っている。またリッチー・ブラックモア率いる“レインボー”がデビュー・アルバムで彼らの曲「Black Sheep Of The Family」を取り上げたことも有名だ。
1970年にリリースされた彼ら唯一のアルバムも、その後廃盤になっていたが、98年にめでたくボーナス・トラック2曲まで追加してCD化された。

また、95年にはアンダーウッドが元1期ディープ・パープルのベーシスト、ニック・シンパーを誘って、再びQUATEMASS IIと名乗るバンドを結成したようだ。97年には「Long Road」というアルバムもリリースしている(右はジャケ違いの輸入盤)。この時のメンバーは、
Mick Underwood ミック・アンダーウッド/ ドラムス
Nick Simper ニック・シンパー/ ベース・ギター
(元ディープ・パープル)
Bort Foley ボート・フォーリー/ ヴォーカル、ギター
Don Airey ドン・エイリー/ キーボード
(元レインボージェスロ・タル
尚、このアルバムには2曲のみオルジナルメンバーのグスタフソンも参加している。
何故25年以上も経ってからこのバンドを結成したのかは、確かなところはわからないが、おそらく昔から面倒見のいいアンダーウッドのこと、若く有能なヴォーカリスト(フォーリー)のために一肌脱いだのではないだろうか。日本盤のジャケットに写っている写真を見ると、なんとも不釣り合いな老人と若者の集団である(笑)
サウンドの方は、70年のクォターマスとはまったく違う古典的ハードロックで、とても御歳60歳ぐらいとは思えない、アンダーウッドのパワフルなドラミングとパープル時代からまったく変わらないニック・シンパーのベース・ラインは涙ものだ。これに数々のセッションをこなしてきた名プレイヤーのエイリーも加え、この強力なバックに支えられながら思う存分唄えるフォーリーは本当に幸せ者である。しかし、サウンド全体は完全に70年代の音・・・もう少しなんとかならなかったのだろうか。また、日本盤に追加されたボーナス・トラックはひどい音質のライヴ音源で、これはアルバムのイメージを悪くするだけなので、無い方がよかっただろう。もし、今後もこのバンドが活動してゆくのなら、プロデュース面などでもうひと工夫欲しいところだ。

メンバー達の行方

オリジナル・メンバーの凄腕3人衆はクォターマス解散後もセールス的には成功していないが、その後もあちらこちらに顔を出し活躍している。
ピート・ロビンソンは、カーリー・サイモン、イヴォンヌ・エリマン、ブライアン・フェリー、アル・スチュワート、スタンリー・クラークなどのアルバムへセッション・ミュージシャンとして参加した後、BRAND Xへ加入。バンドの活動と平行して、さらにフィル・コリンズ、エリック・クラプトンなどのアルバムへも参加するなど、現在でも超売れっ子セッション・キーボード・プレイヤーだ。
グスタフソンは、アトミック・ルースターの2人と共にハード・スタッフというバンドを結成し、ディープ・パープルが設立したパープル・レコードより2枚のアルバムをリリース。その後もスペンサー・デイビス・グループ、クォターマス以前に加入していたバンドを再結成したビッグ・スリーロキシー・ミュージックイアン・ギラン・バンドと渡り歩き、最近はソロ・アルバムをリリースしている。
アンダーウッドは、中堅ロック・バンドのストラップス、イアン・ギランがイアン・ギラン・バンドを再編したGILLANを経て、現在はクォターマスIIとして活動中。(HINE)
 2002.4更新

音源提供協力:FUMI-TAN'S WEB SITE Fumiさん


Quatermass
(Quatermass)



1970年 Harvest/EMI

1 . Entropy
2 . Black Sheep Of The Family
3 . Post War Saturday Echo
4 . Good Lord Knows
5 . Up On The Ground
6 . Gemini
7 . Make Up Your Mind
8 . Laughin' Tackle
9 . Entropy Reprise
10.One Blind Mice(*)
11.Punting(*)

*1998年CD化(Repertoire Records)に伴うボーナス・トラック


Long Road
(Quatermass II)



1997年 Neat Metal/ポニー・キャニオン 

1 . Prayer For The Dying
2 . Good Day To Die
3 .Wild Wedding
4 . Sucide Blond
5 . River
6 . Long Road
7 .Woman In Love
8 . Hit And Run
9 .Daylight Robbery
10.Coming Home
11.Circus
12.Undercarriage
(LIVE DEMO)<*>

*12は日本盤のみのボーナス・トラック