JOURNEY ジャーニー


アメリカン・ドリームを成し遂げた天才ギタリスト、ニール・ショーン

1971年、当時まだ19歳だった若き天才ギタリスト、ニール・ショーン(17歳からプロで活躍)をサンタナが大抜擢し、ツアーとアルバムへ参加させた。
サンタナといえば、1969年のウッドストック・フェスティバルでセンセーショナル・デビューを果たし、すでにビック・バンドとしての地位を確立し、カルロス・サンタナはギター・ヒーローであった。そこへ、無名の若いギタリストを入れたとなると、弟子かな?・・・と誰もが思ったはずだが、実際は違っていた。なんと最初からカルロス・サンタナと互角に渡り合うほどの実力を持っていたのだ。
ニールは、そこで3枚のアルバムを残し脱退。共に飛び出した同バンドのオリジナル・メンバーでヴォーカル兼キーボードのグレッグ・ローリーと共にニュー・バンドを結成。1975年にそのニュー・バンド、ジャーニーはデビューした。
オリジナル・メンバーは、
Neal Schon ニール・ショーン/リードギター、ヴォーカル(元サンタナ)
Gregg Rolie グレッグ・ローリー/キーボード、リードヴォーカル(元サンタナ)
Aynsley Dunbar エインズレー・ダンバー/ドラムス(元フランク・ザッパ&マザーズジェフ・ベック・グループ、現UFO
Ross Valory ロス・ヴァロリー/ベースギター、ピアノ、ヴォーカル(元スティーブ・ミラー・バンド)
George Tickner ジョージ・ティックナー/ギター
デビュー当時は、超強力メンバー・ラインナップが話題となり、ニールを中心としたそのスペイシーなサウンドも評論家達を唸らせた。しかし、ジョージ・ティックナーが抜けたセカンド、サード・アルバム共にセッション的な面が色濃く、ヒット性がなかったために飽きられ、商業的にも鳴かず飛ばずという状態だった。
そこで、マネージャーが有無を言わさず、デモ・テープの中から選んだヴォーカリスト、
Steve Perryスティーブ・ペリーをバンドに送り込んだのだった。これが的中し、次のアルバム「インフィニティ」では200万枚を記録する大ヒットとなる。(ここで、ドラムのエインズレーが抜け、元モントローズSteve Smithスティーブ・スミスが加入している。)
その後、前アルバムを含み出世3部作と呼ばれる「エヴォリューション」と「ディパーチャー」も大ヒットさせ、ロック界では人気を不動のものにした。
だが、長期のツアーに疲れたグレッグが、ファッション・デザイナーの高田賢三が監督する映画「夢・夢のあと」のサウンドトラックを最後に脱退。代わりに元ベイビーズ
Jonathan Cainジョナサン・ケインが参加。これが、ジャーニーにとっては、さらに大きな転機となるのだった。
1981年、時代はちょうどAORブームが吹き荒れていた頃・・・、このジョナサンが生み出すライトでポップな音が全米で大当たりし、初参加アルバム「エスケイプ」はロック界のみならず、全米チャートを制覇してしまうという快挙を成し遂げてしまったのだ。もともとスティーブ・ペリーの作曲能力も高く、2人の共作はことごとくヒットを放ち、アッという間にアメリカン・ロック・バンドの頂点に立っていた。
一部の間には、ジャーニーのことを「産業ロックだ」などと、陰口を言うやからもいたが、これも、ジャーニーがあまりにも売れすぎたことへの皮肉であろう。つづく「フロンティアーズ」も全米2位にまで押し上げ人気絶頂の中、84年スティーブ・ペリーがソロ・アルバム「ストリート・トーク」を発表した。これが結果的にはメンバー達を分裂に追いやる結果となるのだった。
このアルバムは「Oh!シェリー」などの大ヒットでジャーニーを越えるヒット作となり、翌年We Are The World/USAフォー・アフリカへの参加などもあり、スティーブ・ペリーはしだいにソロ活動が多くなって行くのだった。そして、3年後やっとニューアルバムのレコーディングを開始するのだが、途中でベースのロス・ヴァロリーとドラムのスティーブ・スミスが脱退。なんとか3人で残りを仕上げ「ライズド・オン・レディオ」を完成させるが、すでに残る3人も分裂状態にあったため、実質上このアルバムを最後にジャーニーは活動を停止してしまう。
その後はニールのみ、ヤン・ハマーと共演したり、バッド・イングリッシュハードラインを結成し気を吐いていたが、他のメンバーの行方はぱったりと聞こえなくなってしまった。
しかし、ちょうど10年後の96年にジャーニーが最強メンバーで再結成という、うれしいニュースが舞い込んだ。そしてリリースしたアルバム「トライアル・バイ・ファイアー」は10年のブランクを感じさせない昔ながらのサウンドで大ヒットした。順調にいっているように見えたこの再結成ジャーニーだが、このスタジオ録音アルバム1枚のみで2人のスティーブは、あっけなく脱退してしまう。
だが、再び動き出したビッグ・バンド、ジャーニーは止まることがなかった。
ヴォーカルとドラムに新メンバーを迎え、まずは映画「アルマゲドン」のサントラに1曲提供したあと、いよいよ2000年、世紀末に相応しい究極のアルバム「アライヴァル」を出してきた。
特筆すべきは新ヴォーカルのオウジェリーの声がペリーそっくりで、歌唱力も素晴らしいことだ。いままでと何の遜色もない上に曲作りなどでは新鮮な魅力を発揮し、かえって前作より良い出来映えになっている!個人的にはエスケイプの頃のサウンドに似ていて、聞きながら感動で涙が出たほどだ(;_;)
そのメンバーは、
Neal Schon ニール・ショーン/リードギター、ヴォーカル
Ross Valory ロス・ヴァロリー/ベースギター、ヴォーカル
Jonathan Cain ジョナサン・ケイン/キーボード、ヴォーカル
Steve Augery
スティーブ・オウジェリー/リード・ヴォーカル(元トール・ストーリーズ)
Deen Castronovo ディーン・カストロノヴォ/ドラムス(元バッド・イングリッシュ〜ハードライン)

ジャーニー・サウンドの魅力

スティーブ・ペリーはジャーニーを脱退してから売れなくなったことからも分かるように、ジャーニーの顔的存在であった。ペリーのファースト・ソロ・アルバムが、あれほど大ヒットした要因は、もともと鋭いテクニックや高度なサウンドを持つジャーニーに、ポップな新鮮さをもたらし、成功に導いてくれたという貢献度に対しての賞賛でもあった。だからこそ、ポップス・ファンだけでなく、ロック・ファンからも指示され、大きなヒットとなったのだ。
スティーブ・ペリーの実力を否定する気は毛頭ないが、やはりジャーニー・サウンドは、イコール、ニール・ショーン・サウンドなわけで、あの重厚でスペイシーなサウンドに、ペリーのライトで繊細な声質がとてもよく合っていたと見るべきだろう。曲にしても、確かにペリーはジョナサンと並び、優秀なソングライターでもあるのだが、他のハード・ナンバーの中にあってこそ、それらは輝きを放っていたと言える。「オープン・アームス」などのバラードのヒット曲も、“ハードロック・バンド、ジャーニー”が放つシングルだからこそ、ファンは大歓迎したわけだ。
ニールの奏でるフレーズは基本的にはデビュー当初から変わっていないのだが、アルバムを重ねるごとに円熟し、ツボを押さえた短いソロでも十分に個性を発揮できるようになってきた。特に「マザー・ファーザー」や「クライング・ナウ」での泣きのフレーズは圧巻だ。
またもう一つのジャーニー・サウンドの特徴である綺麗なハーモニーの方は、初期に専任リード・ヴォーカルが不在(グレッグはキーボードと掛け持ち)だったことから、猛特訓して全メンバーが歌えるようになり、さらに「インフィニティ」からは、あのクイーンを育てたプロデュ−サーを起用したことで、ますます磨きがかかっていった。
この重厚なサウンドとライトでポップなスティーブ・ペリーの声の対比こそジャーニー・サウンドの魅力であった。
しかし、1度戻ってまた脱退していったペリーにとって、もう戻る場所はない。これからが本当の意味でソロ・シンガーとしての彼の正念場だ。今後の活躍にも期待したい。
ジャーニー本体の方は、オウジェリーの期待以上の働きもあり、今後もマイペースな活動を続けて行くかに見えた。だが、2005年に発表した「ジェネレイションズ」では、オウジェリーという専任のリード・ヴォーカリストがいながら、メンバー全員が交代でヴォーカルをとるという変則的な内容で、何かイヤな予感がしていた。そして、その悪い予感はオウジェリーが体調不良の理由から長期休養に入っているというニュースで現実のものとなってしまった。また、次に入ってきたニュースは、2006年オウジェリー脱退という最悪なものだった。
そして翌2007年、Jeff Scott Sotoというリード・ヴォーカリストが加入するとのニュースも伝わっている。(HINE)
 2007.8更新

協力:あまりんさん




Journey
CBS/SONY

Look Into The Future
CBS/SONY

Next
CBS/SONY

Infinity
CBS/SONY

Evolution
CBS/SONY

Departure
CBS/SONY

Dream,After Dream
CBS/SONY

ディスコ・グラフィー

1975年 Journey(宇宙への旅立ち)*すでにジャーニー・サウンドの特徴であるスペーシーな広がりを感じます。
1976年 Look Into The Future(未来への招待状)
*タイトル曲「未来への招待状」は初期の最高傑作。ニールのギターが冴え渡る
1977年 Next(果てしなき挑戦)
*ドラッグでヘロヘロな状態で録音されたサイケっぽいアルバム
1978年 Infinity(インフィニティ)
*スティーブ・ペリー加入後初のアルバム。「ホイール・イン・ザ・スカイ」が全米初チャートイン
1979年 Evolution(エヴォリューション)
*ドラムがスティーブ・スミスへ代わる。このアルバムは全米20位を記録
1980年 Departure(ディパーチャー)
*記念すべき初の全米トップ10入りアルバム。
1980年 Dream,After Dream(夢・夢のあと)
*ファション・デザイナーKENZOが監督した映画のサントラ盤
1981年 Cuptured(ライブ・エナジー)
*グレッグ・ローリー最後のアルバムでもある
1981年 Escape(エスケイプ)
*ジョナサン・ケインが加入し、最強メンバーとなったジャーニーの最高傑作アルバム。堂々の全米1位
1983年 Frontiers(フロンティアーズ)
*エスケイプに次いで大ヒット。全米2位アルバム
1986年 Raised On Radio(ライズド・オン・レディオ〜時を駆けて)
*3人になり、AORっぽいサウンドになった
1988年 Greatest Hits(グレイテスト・ヒッツ〜永遠の旅〜)
*映画「ヴィジョン・クエスト」サントラ曲の「オンリー・ザ・ヤング」収録
1996年 Trial By Fire(トライアル・バイ・ファイア)
*全盛期のメンバーによる10年ぶりのアルバム
1998年 Greatest Hits Live(グレイテスト・ヒッツ・ライブ)
*「エスケイプ」「フロンティアーズ」ツアーの未発表ライヴ音源
2000年 Arrival(アライヴァル)
*ヴォーカルがスティーヴ・オウジェリーに代わったが、何の遜色もない素晴らしい出来のアルバム
2002年 RED13 *4曲入りミニ・アルバム。新しい方向性を狙ったが、往年からのファンには今ひとつ馴染めない
2005年 Generations
*メンバー全員がリード・ヴォーカルを交代でとるという変則的なアルバム



Cuptured
CBS/SONY

Frontiers
CBS/SONY

Raised On Radio
CBS/SONY

Greatest Hits
CBS/SONY

Traial By Fire
CBS/SONY

Greatest Hits Live
CBS/SONY

Arrival
Columbia


◆◆◆名盤PICK UP◆◆◆

エスケイプ
Escape
ジャーニー
Journey




1981年 CBS/SONY
1. ドント・ストップ・ビリーヴィン
 Don't Stop Believin'

2. お前に夢中
 Stone In Love

3. クライング・ナウ
 Who's Crying Now

4. キープ・オン・ランニン
 Keep On Runnin'

5. 時の流れに
 Still They Ride

6. エスケイプ
 Escape

7. レイ・イット・ダウン
 Lay It Down

8. デッド・オア・アライヴ
 Dead Or Alive

9. マザー、ファーザー
 Mother, Father

10.オープン・アームズ
 Open Arms

「アメリカンロック史上最高の傑作」
そう呼んでも良いくらい、このアルバムの完成度は高い。
あまりの売れ行きに、「産業ロック」だなどと陰口をたたく評論家まで現れたが、何も安易に売れ線を狙ってこのアルバムが作られたわけではなく、長年に渡る彼らの努力の成果と、時代背景、メンバーの成熟度、曲の良さなど、全てのタイミングがピッタリと揃ったことで、世界中の人々を感動させる比類なきジャーニー・サウンドが誕生したわけだ。結果的に全世界で800万枚というビッグ・セラーを記録し、名実共にジャーニーをアメリカン・バンドの頂点へと押し上げた。ちなみに次の「フロンティアーズ」は1,000万枚という驚異的なセールスを記録しているが、これはやはり本アルバム「エスケイプ」の余波をかってのことだろう。
また、後続のロック・バンド達に与えた影響を考えても、このアルバムはロック史上に燦然と輝く名盤と言い切れる。
リーダーであるニール・ショーン(g)は、サンタナを飛び出して以来、がむしゃらにギターを弾きまくり、ギター・ヒーロー的な人気は得てきたものの、70年代も終わりにさしかかる頃には、ギタリスト花形時代も完全に終わり、バンドの中の1ギタリストとして、前面に出過ぎないプレイ・スタイルが求められていた。それからというもの、バンド・サウンドの中で、いかにコンパクトかつ効果的なギター・ソロを入れられるかという命題と日々格闘しつづけた。それがこのアルバムでは、見事に結実し、彼独特のスペイシーでブルージーな泣きのフレーズは残しつつ、きっちりと曲の盛り上げ部分をフォローするスタイルに変貌をとげた。
途中からバンドへ加入し、当初はパワー不足を指摘されていたスティーヴ・ペリー(vo)も、新加入のジョナサン・ケイン(key)の作り出す、ライト感覚あふれるAOR風サウンドの中では、水を得た魚のように、伸びやかで気持ちよさそうに唄う。もともとソウルフルな彼の声や歌い方には定評があり、バラードではすばらしい歌唱力を発揮してきたが、このアルバムでは全曲にポップさと明るさがあることから、よりいっそう彼本来の巧さが引き立つ。また、年齢的にも声のピークと技が噛み合った、一番いい時期にあったのではないだろうか。
バックを固めるスティーヴ・スミス(ds)とロス・ヴァロリー(b)も、ベテランらしい確実なプレイで、万全なリズム・ワークを披露している。
そして、ジャーニー躍進の原動力となったジョナサンは、ベイビーズ時代からすでにコンポ−ザーとして、ハードAORとも呼べるような名曲を数多く生み出してきたが、それがジャーニーの個性的なベテラン・プレイヤー達に演奏されることで、より輝きを増し、ここで一気に報われた。アルバム1枚にして、すっかりバンドに溶け込み、今やニールに次ぐジャーニーの顔的存在と化しているジョナサンの働きは、かなり重要なものだ。
これらジャーニーの総合力が一番顕著に現れている曲が、5曲目の「時の流れに」や9曲目の「マザー,ファーザー」で、この2曲は、ジャーニーの魅力が目いっぱい詰まった名曲中の名曲だろう。
追記すると、このアルバムは彼ら初の全米No.1アルバムに輝き、大ヒットしたここからのシングル「クライング・ナウ」(全米4位)「オープン・アームズ」(全米2位)「ドント・ストップ・ビリーヴィン」(全米9位)は、今も不朽の名作として、さまざまな場面で耳にするのは、ご承知の通り。(HINE)