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アメリカン・ドリームを成し遂げた天才ギタリスト、ニール・ショーン
1971年、当時まだ19歳だった若き天才ギタリスト、ニール・ショーン(17歳からプロで活躍)をサンタナが大抜擢し、ツアーとアルバムへ参加させた。 ジャーニー・サウンドの魅力 スティーブ・ペリーはジャーニーを脱退してから売れなくなったことからも分かるように、ジャーニーの顔的存在であった。ペリーのファースト・ソロ・アルバムが、あれほど大ヒットした要因は、もともと鋭いテクニックや高度なサウンドを持つジャーニーに、ポップな新鮮さをもたらし、成功に導いてくれたという貢献度に対しての賞賛でもあった。だからこそ、ポップス・ファンだけでなく、ロック・ファンからも指示され、大きなヒットとなったのだ。 |
Journey CBS/SONY |
Look Into The Future CBS/SONY |
Next CBS/SONY |
Infinity CBS/SONY |
Evolution CBS/SONY |
Departure CBS/SONY |
Dream,After Dream CBS/SONY |
ディスコ・グラフィー 1975年 Journey(宇宙への旅立ち)*すでにジャーニー・サウンドの特徴であるスペーシーな広がりを感じます。 |
Cuptured CBS/SONY |
Frontiers CBS/SONY |
Raised On Radio CBS/SONY |
Greatest Hits CBS/SONY |
Traial By Fire CBS/SONY |
Greatest Hits Live CBS/SONY |
Arrival Columbia |
Escape Journey |
1. ドント・ストップ・ビリーヴィン Don't Stop Believin' 2. お前に夢中 3. クライング・ナウ 4. キープ・オン・ランニン 5. 時の流れに 6. エスケイプ 7. レイ・イット・ダウン 8. デッド・オア・アライヴ 9. マザー、ファーザー 10.オープン・アームズ |
「アメリカンロック史上最高の傑作」 そう呼んでも良いくらい、このアルバムの完成度は高い。 あまりの売れ行きに、「産業ロック」だなどと陰口をたたく評論家まで現れたが、何も安易に売れ線を狙ってこのアルバムが作られたわけではなく、長年に渡る彼らの努力の成果と、時代背景、メンバーの成熟度、曲の良さなど、全てのタイミングがピッタリと揃ったことで、世界中の人々を感動させる比類なきジャーニー・サウンドが誕生したわけだ。結果的に全世界で800万枚というビッグ・セラーを記録し、名実共にジャーニーをアメリカン・バンドの頂点へと押し上げた。ちなみに次の「フロンティアーズ」は1,000万枚という驚異的なセールスを記録しているが、これはやはり本アルバム「エスケイプ」の余波をかってのことだろう。 また、後続のロック・バンド達に与えた影響を考えても、このアルバムはロック史上に燦然と輝く名盤と言い切れる。 リーダーであるニール・ショーン(g)は、サンタナを飛び出して以来、がむしゃらにギターを弾きまくり、ギター・ヒーロー的な人気は得てきたものの、70年代も終わりにさしかかる頃には、ギタリスト花形時代も完全に終わり、バンドの中の1ギタリストとして、前面に出過ぎないプレイ・スタイルが求められていた。それからというもの、バンド・サウンドの中で、いかにコンパクトかつ効果的なギター・ソロを入れられるかという命題と日々格闘しつづけた。それがこのアルバムでは、見事に結実し、彼独特のスペイシーでブルージーな泣きのフレーズは残しつつ、きっちりと曲の盛り上げ部分をフォローするスタイルに変貌をとげた。 途中からバンドへ加入し、当初はパワー不足を指摘されていたスティーヴ・ペリー(vo)も、新加入のジョナサン・ケイン(key)の作り出す、ライト感覚あふれるAOR風サウンドの中では、水を得た魚のように、伸びやかで気持ちよさそうに唄う。もともとソウルフルな彼の声や歌い方には定評があり、バラードではすばらしい歌唱力を発揮してきたが、このアルバムでは全曲にポップさと明るさがあることから、よりいっそう彼本来の巧さが引き立つ。また、年齢的にも声のピークと技が噛み合った、一番いい時期にあったのではないだろうか。 バックを固めるスティーヴ・スミス(ds)とロス・ヴァロリー(b)も、ベテランらしい確実なプレイで、万全なリズム・ワークを披露している。 そして、ジャーニー躍進の原動力となったジョナサンは、ベイビーズ時代からすでにコンポ−ザーとして、ハードAORとも呼べるような名曲を数多く生み出してきたが、それがジャーニーの個性的なベテラン・プレイヤー達に演奏されることで、より輝きを増し、ここで一気に報われた。アルバム1枚にして、すっかりバンドに溶け込み、今やニールに次ぐジャーニーの顔的存在と化しているジョナサンの働きは、かなり重要なものだ。 これらジャーニーの総合力が一番顕著に現れている曲が、5曲目の「時の流れに」や9曲目の「マザー,ファーザー」で、この2曲は、ジャーニーの魅力が目いっぱい詰まった名曲中の名曲だろう。 追記すると、このアルバムは彼ら初の全米No.1アルバムに輝き、大ヒットしたここからのシングル「クライング・ナウ」(全米4位)「オープン・アームズ」(全米2位)「ドント・ストップ・ビリーヴィン」(全米9位)は、今も不朽の名作として、さまざまな場面で耳にするのは、ご承知の通り。(HINE) |