COVERDALE・PAGE カヴァーデイル・ペイジ



カヴァーデイル・ペイジ
(Coverdale・Page)
1993年 Geffen/SONY
SIDE-A
1. Shake My Tree シェイク・マイ・ツリー
2. Waiting On You 永遠の女
3. Take Me For A Little While ア・リトル・ホワイル
4. Pride And Joy プライド・アンド・ジョイ
5. Over Now オーヴァー・ナウ
6. Feeling Hot ホットな気分
7. Easy Does It イージー・ダズ・イット
8. Take A Look At Yourself ルック・アット・ユアセルフ
9. Don't Leave Me This Way ジス・ウェイ
10.Absolution Blues 赦罪のブルース
11.Whisper A Prayer Foe The Dying 死にゆく者への祈り

90年代に起こった奇跡

デヴィット・カヴァーデイルは第3期ディープ・パープルでイアン・ギランという看板ヴォーカルが抜けた穴を完全に埋めた偉大なヴォーカリストだ。
その後もトミーボーリン(g)による第4期ディープ・パープルや、自ら結成したホワイトスネイクでも成功を収めたが、やはり名曲「紫の炎」を生んだ、この3期ディープ・パープルのイメージが強烈に残っている。すなわち、カヴァーデイルもまたギランと同じように、パープルの“顔”なのである。
ジミー・ペイジは言わずと知れた元レッド・ツェッペリンのギタリスト。
この2人がバンドを組んだとなれば、すぐにパープルとZEP.の融合だと期待してしまうのは自然な想いだろう。
ZEP.解散後、ソロ・アルバムを出したり、元バッド・カンパニーのポール・ロジャース(vo)と共にファームを結成してみたりはしたものの、いまひとつパッとしなかったペイジは、どうもZEP.に未練たらたらで再結成をしたがっているように思える。しかしマイペースで活躍しつづけるロバート・プラント(vo)があまり乗り気でないため、それは実現していない。
業を煮やしたペイジは93年このプロジェクトを実現させた。ZEP再結成に次いでセンセーショナルなのは、70年代に人気を2分したパープルと組むしかない、と考えたのだろうか!?真意のほどはわからない・・・。
レコーディング・メンバーは、
Jimmy Page ジミー・ペイジ/ギター(元レッド・ツェッペリン〜ファーム)
David Coverdale デイヴィッド・カヴァーデイル/ヴォーカル
(元ディープ・パープル〜ホワイトスネイク)
Jorge Casas ジョージ・カーサス/ベース・ギター
Denny Carmassi デニー・カーマッシ/ドラムス
(元モントローズハート)
の4人が全曲に入り、数曲に入れ替わりでJohn Sambataro(kb)、Lester Mendez(kb)、John Harris(harmonica)、Tommy Funderburk(backing vocals)、Ricky Phillips(元ベイビーズ〜バッド・イングリッシュ/b)が参加している。
サウンド的には、まさにZEP.時代のペイジが蘇ったという感じなのだが、それに応えようとするカヴァーデイルがどうもプラントを意識し過ぎていて良くない。
パープルに在籍していたとはいえ、やはりZEP.のリーダーであり、3大ロック・ギタリストと呼ばれる巨大な怪物ジミー・ペイジの前には、さすがのカヴァーデイルも我を失ってしまったのだろうか・・・。自作と思われる(クレジットは共作)バラード調の曲以外まったくいいところがない。
ZEP.ファンは、これでもいいのかもしれない。ペイジが1人でも充分ツェッペリン・サウンドを作り出せることが分かったのだから・・・。
しかし、パープル・ファンはどうだろう!?これでは納得できないのではないだろうか!?
そもそも、デヴィット・カヴァーデイルのヴォーカリストとしての資質を、それまで個人的にはかなり高く評価していたつもりだが、このアルバムを聞いてとてもがっかりさせられた。彼本来の歌唱力はこんなものではないはずだ!
このアルバムの出来映えを知ってかどうか、この後ロバート・プラントはペイジと組むことを決心した。「見ちゃいられね〜なっ!」というところだろうか。
たった1枚のスタジオ・アルバムだけで、このプロジェクトは儚く消え去ったが、ロバート・プラントがペイジの元へ戻ってきたことと、ペイジ自身がまた本気を出し始めたことは、このアルバムの大きな成果ではないだろうか。
そして、名ヴォーカリスト、カヴァーデイルには、この失敗をバネにこれからは誇りをもって唄い続けて欲しいと切に願う。
尚、2000年あたりになってからライヴ盤もでたもようだが、詳細は不明。ただ今調査中!(HINE)
 2002.3更新