DETECTIVE ディテクティヴ



Detective
Swan Song/Warner
遅すぎた実力派ハードロック・バンド

Bobby "Boris" Pickett ボビー"ボリス" ピケット/ベース・ギター
Michael Des Barres マイケル・デ・バレス/ヴォーカル
Jon Hyde ジョン・ハイド/ドラムス、ヴォーカル
Tony Kaye トニー・ケイ/キーボード
Michael Monarch マイケル・モナーク/ギター

1977年彼らは何の前触れもなく突然現れたが、元シルヴァーヘッドのマイケル・デ・バレスと元イエスのトニー・ケイが在籍しているということでかなり話題になった。当時の人気評論家渋谷氏も自分が熱狂的なファンであるレッド・ツェッペリンが設立したスワン・ソング・レーベルから、プリティ・シングスバッド・カンパニーにつづいて送り出されたバンドであったため、かなり宣伝していた。そのため日本でもけっこう有名である。
実際聞いてみると、プログレっぽいニュー・ウェイヴ・サウンドだろうというおおかたの予想を覆し、なんともブルースの香りが漂うアメリカ的なハードロック・サウンドなのだ。
デ・バレスとトニー・ケイとくれば、少なくともブリティッシュの香りはする筈なのだが、デビュー・アルバムではそれすらあまり感じられなかった。


It Takes One to Know One
Swan Song/Warner
ディテクティヴ結成の経緯はあまりよく知られていないが、シルヴァーヘッド解散後アメリカ進出を狙いつつ、2年の浪人生活を送っていたデ・バレスとイエスを脱退後エンジェル・ダスト、バジャーなどを渡り歩いていたトニー・ケイが77年に出逢い結成されたようだ。
そして、彼らが米ロサンゼルスのクラブに出演しているのをジミー・ペイジ(当時レッド・ツェッペリン/g)が見つけ、特にジョン・ボーナム(レッド・ツェッペリン/ds)ばりにパワフルなハイドのドラムをとても気に入って、その場で自ら設立したスワンソング・レーベルへ誘ったという。
その後すぐにアルバム収録のためスタジオ入りさせ、ペイジ自ら匿名“ジミー・ロビンソン”という名前でプロデュース参加するという力の入れようだった。
そして出来上がったデビュー・アルバム「直撃波」はバッド・カンパニーを彷彿とさせる(オーバーか!?サウンドで、彼らの代表曲でもある「Recognition」はデ・バレスのソウルフルなヴォーカルと確かなテクニックを感じさせる演奏で、今後ビッグになるだろうことを予感させた。
また、他の曲ではジェフ・ベック風のモナークのギター、ジョン・ボーナムと同じ音の処理を施され、よりそっくりになったハイドのドラムなど、オリジナリティーに少々欠ける面はあるにしても、かなりの力量は感じさせてくれた。
しかしながら、ちょうどこの頃アメリカでもイギリスのパンク・ブームが飛び火し、こういった正当派ハード・ロック・バンドは相当な大物以外見向きもされなくなってしまった。
翌78年にはセカンド・アルバム「衝撃の共同体」のリリースもするが、今度はツェッペリンっぽいサウンドになり、Zep.のクローン・バンドとして酷評を浴びる。こちらは日本ではかなり人気があったが、往年の正当ハードロックを思わせるそのサウンドは時代に逆行するものとして欧米ではまったく受け入れられなかった。
これがあと5,6年、早いか遅いかしていれば、もしかしたら大成功を収めていたのかも知れない。この後80年代半ばにはツェッペリンを教科書としたヘヴィメタル・バンドが続々と登場するのだから・・・。

このセカンド・アルバム録音後すぐにバンドは解散。デ・バレスは同年キッスのジーン・シモンズ(b,vo)のソロ・アルバムへ参加したあと、80年に自身のソロ・アルバムをリリースし長い沈黙に入る。再び現れるのは85年あのスーパープロジェクト“パワーステーション”でロバート・パーマー(vo)の代役として全米ツアーを共にした時だ。しかし、その後は映画やTV俳優として活動。有名なところでは「ロック・フォードの事件メモ」がある。
トニー・ケイは82年新生イエスへ復帰、「ロンリー・ハート」('83)の大ヒットを放ったあと95年までイエスに在籍した。
モナークはミートローフのバックバンドの一員として活躍。ドラムのハイドは残念ながら音楽業界から引退してしまったようだ。
尚、ディテクティヴとしては78年ライヴ盤も残しているが、これは聞いたことがないので詳細不明。現在でもスタジオ盤2枚は日本でかなり売れたことから、中古市場でもLPが比較的容易に見つかるし、CDは再発売され2004年時点では簡単に手に入る。しかしライヴはほとんど見かけない。
(HINE) 2004.2更新



ディスコ・グラフィー

1977年 Detective(直撃波)*彼らの代表曲「Recognition」を含む、ブルース、ジャズなどをベースにしたアメリカっぽい音の作品
1978年 It Takes One to Know One(衝撃の共同体)*日本では根強い人気のセカンド。ツェッペリン的貫禄ものぞかせる。
1978年 Live *ほとんど入手不能