CAPTAIN BEYOND キャプテン・ビヨンド

メンバーについて

ディープ・パープル1期のヴォーカルスト、ロッド・エヴァンスと元アイアン・バタフライの2人が出逢って結成されたスーパーグループ。結成のいきさつはこんなふうだったという・・・
3枚のアルバムを出し、アメリカではヒットもとばしていたディープ・パープルだが、本格的にアメリカ進出を果たそうとするロッドとイギリスに残りたい他のメンバーとの間に亀裂が生じ、ロッドは脱退(一説には辞めるよう説得されたとか)してしまう。単身アメリカに渡ったロッドは3年の間目立った活動はしなかったが、チャンスを伺っていたようだ。
一方、1967年結成の「イン・ナ・ガダ・ダ・ヴィダ」の大ヒットを持つアメリカのロックバンド、アイアン・バタフライを音楽性の不一致で脱退した、ラリー・リノ・ラインハルト(ギター)とリー・ドーマン(ベース)の2人もニューバンド結成に意欲を燃やしているところで、この3人が出逢い音楽の志向が一致したところからバンド結成へと動き出したようだ。
そして、さらにジョニー・ウインター・アンドでプレイしていた、凄腕ドラマーのボビー・コールドウェルを引き抜き4人のメンバーがそろった(1971年)。

翌1972年にカプリコーンと契約したキャプテンビヨンドはデビューアルバムCAPTAIN BEYONDを発表。スーパーグループという前評判とは裏腹に、アメリカではあまりパッとせず、ボビーはすぐ脱退してしまう・・・。しかし、日本では72年のトップセールスを記録するヒットアルバムとなり話題騒然、かなりの評価を得る。

つづいて1973年出したSUFFICIENYLY BREATHLESS(衝撃の極地)では、ボビーの名はなく、代わりにマーティ・ロドリゲス(ds)、グイル・ガーシャ(パーカッション)、元ボズ・スキャッグス・バンドのリース・ワイナンズ(kb)を加え、サウンドもガラリと変えた。このアルバムは日本でも不評に終わり、ロッドの脱退表明を機にバンド自体も解散してしまった。

その後、ボビーは元ヤードバーズのキース・レルフ率いるハルマゲドンへ加入し活躍。ラリーとリーもセッションアーチストとして地道に活動をしていたが、ロッドだけはこの世界に疲れ果て(ディープ・パープル時代の曲を勝手にコンサートで披露し、印税を受け取る権利を剥奪されるなどの事件を起こす)引退してしまう。(他新参入の3人は不明)

アルバムの方も、アメリカでの不発とバンドの解散により、2,3年で2枚とも廃盤になってしまったが、日本での評価は依然として高まる一方で、廃盤後も中古ショップなどで、高値で取り引きされていた。そしてついに、1976年にはファーストアルバムのみ別刷りのジャケットで再発売された。
そんな中、翌1977年キャプテン・ビヨンド再結成のビッグニュースが舞い込んだ。しかも3人がオリジナルメンバーだという・・・。ボビー、ラリー、リーの3人に新ヴォーカルのウィリー・ダファーンを加え3枚目のアルバムDAWN EXPLOSION(暁の襲撃)も発表。
当時日本ではかなりの話題になったが、やはりアメリカではパッとしなかったようで、1枚のアルバムのみですぐに解散。その後のメンバーの消息は途絶えてしまった。

そして1999年になりうれしいニュースが入ってきた。スエーデンで、キャプテンビヨンドは再結成したというのだ。メンバーはボビーとリノのみオリジナルメンバーで、3人が新加入。現在ツアー中とのことで、詳細がわかりしだいここへも載せることにする。尚、同年スエーデンのアーチストを中心にトリビュート・アルバムも発表され、これがなかなかの出来。ファースト・アルバムの曲がまるまる全部入っている選曲で泣けること間違いなし!
もっと詳しい情報を知りたい方は下に推薦したキャプテン・ビヨンド専門のサイトをご覧いただきたい。(HINE) 2001.5

推薦サイト:KUROSUKEさんのHP「CAPTAIN BEYOND JAPANESE UNOFFICIAL WEBSITE


CAPTAIN BEYOND
(キャプテン・ビヨンド)


1972年 PORYDOR KK POCP-1826
1.過去への乱舞(大気の海)
2.アームワース 
3.近視空間 
4.催眠術
5.恐怖の激流
6.昨日は余りに遠く(イントロ)
7.凍結
8.昨日は余りに遠く(過ぎ去った時)
9.キャント・フィール・ナッシング(パート1)
10.静寂の対話(海の波に)
11.アストラル・レディ
12.静寂の対話(返答)
13.キャント・フィール・ナッシング(パート2)
1972年に初回発売し、76年に再発。再発ものはジャケットのデザインが初回限定発売時の3Dジャケットに似せていたが、CD化した時に元に戻している。上の写真の物は現在売られているもののジャケット。
ROD EVANS/Lead Vocals
BOBBY CALDWELL/Drams,All Purcussion,Backing Vocals,Piano,Vibes,Bells,
RARRY RHINO RAINHARDT/Guitar
LEE DORMAN/Bass Guitar,Backing Vocals,Piano

作詩作曲はすべてロッドとボビーによる共作。プロデュースはメンバー全員で担当している。
とにかく、いきなり1曲目のイントロからかっこいい!曲名を見ての通り、全体的にはスペース的な広がりを持ったハードロック。ハードロックにはめずらしい甘く太い美声のロッド・エヴァンス、不規則なリズムを正確無比に叩くドラムのボビー・コールドウェル、このバンドの歌唱力とドラミングテクは卓越したものがある。
作品の方は全ての曲がメドレーのようになっていて、どんどん引き込まれていくうちに、あっという間に終わってしまうというハードロックのコンセプトアルバム中、最高峰の出来映えだ!
キャプテンビヨンド3枚のアルバムの中でも、このファーストアルバムは別格の出来で、他のアルバムを聞くとロッドとボビー、この2人がそろわなければ決して生まれない素晴らしいサウンドだと痛感させられる。
アメリカでヒットしなかったのは、おそらく曲の構成が難解で、全体的にブリティッシュ剥き出しな、当時の先進すぎるサウンドだったからであろう。

SUFFICIENTLY BREATHLESS
(衝撃の極地)


1973年 POLYDOR KK POCP-1827
1.衝撃の極地
2.ブライト・ブルー・タンゴ
3.宇宙漂流
4.魔人
5.白熱の星
6.遠い太陽
7.過去よりの旅人
8.究極の環
キャプテンビヨンドのセカンドアルバムは、ドラムと曲も書いていたボービーが抜けてしまい、代わりに3人のメンバーを加えたが不評に終わりすぐ廃盤。しかしながら、CD化の時に再発売された。
ROD EVANS/Vocals
RARRY RHINO RAINHARDT/Guitar
LEE DORMAN/Bass
GUILLE GARCIA/Percussion
MARTY RODRIGUEZ/Drams
REESE WYNANS/Piano
曲はすべてリー・ドーマン、プロデュースは前作と同じく全員で当たっている。
かなりラテンっぽさが加わり、アメリカナイズされたサウンドに変化した。アメリカ受けを狙ったものと思われるが、皮肉にもちょうどこの年あたりは、ブリティッシュ・ハード旋風が吹き荒れ、イギリスのバンドたちがビッグヒットを連発していたため、逆効果になってしまったようだ。今聞くとラテン・ロック+スペイシー・サウンドでけっこう面白いのだが、明らかにサウンド的には後退してしまった感がある。この後ロッド・エヴァンスが脱退し、バンドは解散に追い込まれた。

DAWN EXPLOSION
(暁の襲撃)


1977年 WARNER-Bros.Inc P-10382W
1.ドゥ・オア・ダイ
2.イカルスの神話
3.スウィート・ドリームス
4.ファンタジー
5.炎の吐息
(a)天体の点
(b)宇宙の孤独
6.イフ・ユー・プリーズ
7.真夜中の追憶〜空間奏曲
8.忘却〜空反復

3枚目(暁の衝撃)は5年後に再結成し、ボビーは戻ってきたが、今度はロッド・エヴァンスが引退していたため、新しいヴォーカルを入れレコーディング。これが最後のアルバムとなる。このアルバムは日本ではCD化されなかったが、アメリカでONE WAY RECORDSより発売されている。このOne Way盤は音質が悪く、あまりお薦めできない。ジャケットも結構いいので、できれば中古のレコードを手に入れた方が良いだろう。
BOBBY CALDWELL/Drams,All Purcussion,Backing Vocals
RARRY RHINO RAINHARDT/Guitar
LEE DORMAN/Bass Guitar,Backing Vocals,String Ensemble
WILLY DAFFERN/Vocals

曲は7のみリノの曲で、あとはリノと他メンバーとの共作。プロデュースはJohn Stronachとメンバー全員の共同

このアルバムでは前2作ではまったく曲を作っていなかったリノが全曲に参加し、オリジナルメンバーが持ち回りでやっているような感じだが、ボビーとの共作も多いせいか、1作目に近いサウンドだ。
ただ、残念なのは、やはりロッド・エヴァンスの存在で、唯一のブリティッシュの血が混じっていないことで、独特の奥行きが感じられない・・・
言うならば、アメリカン独特の乾いたサウンドとなってしまったようだ。新しいヴォーカリストのダファーンは、なかなかの声量と音域で、4曲を共作するなど大活躍しているが、前ヴォーカルがあまりにも旨すぎたので、かわいそうかもしれない・・・。
全体的には、なかなかの佳作で日本盤もしくは正式ワーナー盤のリマスターCD化が期待される。