ノー・ヘヴィー・ペッティング
No Heavy Petting

UFO


1976年
Chrysalis/東芝EMI
1.ナチュラル・シング
 Natyral Thing
2.アイム・ア・ルーザー
 I'm A Loser
3.電撃のロックンローラー
 Can You Roll Her
4.ベラドナ
 Belladonna
5.リーズンズ・ラヴ
 Reasons Love
6.ハイウェイ・レディ
 Highway Lady
7.オン・ウィズ・ジ・アクション
 On With The Action
8.ア・フール・イン・ラヴ
 A Fool In Love
9.火星の風景
 Martian Landscape
とにかくマイケルの才能たるや、すさまじく、他のメンバーもここまで凄いとは予想していなかっただろう・・。あふれ出すメロディアス・フレーズと流れるような速弾きのギター、オーヴァーダビングを多用した曲構成は、それまでのUFOサウンドとは比較にならないほどサウンドに幅をもたせた。
マイケル加入後3枚目のこのアルバムには、キーボードにDenny Peyronel(元ヘヴィメタルキッズ)が加わり、さらに音の広がりが感じられ、曲の良さやノリでは最高傑作。個人的にはこの時のメンバーがベストだと思うのだが、マイケルはこのアルバムをレコーディングした時の状況(マイケルの反対を押し切り無理やりメンバーを補充したことなど)やプロデュースに不満を持ち、当初あまり気に入っていないというような発言をしていた。
しかしながら、近年ではマイケルも本作での曲や演奏の良さを認めているように、本作にはライヴ映えするようなノリノリのロックンロール・ナンバー(1.3.6.)から、「これぞブリティッシュ・ハードだ」と叫びたくなるヘヴィなナンバー(5.7.)、フィルの甘い声を生かしたバラード(4.9.)まで名曲がずらりと並んでいる。そして何よりUFOの歴史上でも屈指の名曲「アイム・ア・ルーザー」が収録されている。ドラマティックな展開、ダニーの美しいピアノの調べ、緩急を付け縦横無尽に弾きまくる神懸かり的なマイケルのギター、どれをとっても文句の付けようがない名曲だ。
また、新加入のダニーは曲作りにも積極的に参加し、UFOサウンドを、よりポップでキャッチーなものにした。シングル・ヒットした「電撃のロックンローラー」(共作)や「ハイウェイ・レディ」(単独)はいずれもダニーの作曲で、UFOがビッグになるきっかけを作った彼の功績は大きい。
ジャケットも、「気持ち悪い」「悪趣味だ」と思う人もいるだろうが、好き嫌いは別として、とてもインパクトがあることは確か。さすがヒプノシスと言わざるを得ない。本作に唯一欠点があるとすれば、それはデジタル・リマスターになってもいっこうによくならない音質面だ。おそらくはレコーディング・マスター状態からすでに音は悪いのだろう。これはマイケルの弁にもあるように、プロデュース面でのまずさに起因している可能性が高い。
しかし、それをも忘れさせるほど、本作の充実した内容はすばらしい。(HINE)


宇宙征服
Obsessin

UFO


1978年
Chrysalis/東芝EMI
1. オンリーユーキャンロックミー 
 Only You Can Rock Me
2. パックイットアップ 
 Pack It Up
3. アーボリーヒル 
 Arbory Hill
4. エイントノーベイビー 
 Ain't No Baby
5. ルッキンアウトフォーNo.1 
 Looking Out For Nnmber One
6. ホットンレディ 
 Hot'N' Ready
7.チェリー
 Cherry
8. ユードントフールミー 
 You Don't Fool Me
9. ルッキンアウトフォーNo.1(リプライズ)
 Looking Out For No.1 Reprise
10.ワンモアフォーザロデオ
 One More For The Rodeo
11.ボーントゥルーズ
 Born To Lose
前作Lights Outからの同タイトル曲の大ヒットにより、一躍大物グループの仲間入りを果たしたUFOは、さらにここからもOnly You Can Rock Meを大ヒットさせ、人気を不動のものにした。
このアルバムのプロデューサーはツェッペリンやザ・フー、バッド・カンパニーなどを手がけた敏腕のRon Nevision。ストリングスを多用することで有名だが、ここではそれが成功し、それまでのUFOサウンドより数段にスケールが大きくなっている。
曲はフィルとピート、マイケルの共作がほとんどで、ポップでメロディアスなものが多く、それが流れるようにリンクして、トータル・アルバム風に仕上がっているところも素晴らしい。マイケルのギターは相変わらず冴え渡り、本当に1音弾いただけで「ウマイ!」っと思わず叫んでしまうほどだ。
とにかく音がキレイで、流れるようなフレーズも相変わらずいい。速弾き系のギタリストはたくさんいるが、マイケルほどキレイな音を出す人はまずいない。まさに「神」業!(HINE)


ユー・アー・ヒア
You Are Here

UFO


2004年
Steamhammer/日本クラウン
1. ホエン・デライト・ゴーズ・トゥ・タウン
 When Daylight Goes To Town
2. ブラック・コールド・コーヒー
 Black Cold Coffee
3. ザ・ワイルド・ワン
 The Wild One
4. ギヴ・イット・アップ
 Give It Up
5. コール・ミー
 Call Me
6. スリッピング・アウェイ
 Slipping Away
7. ザ・スパーク・ザット・イズ・アス
 The Spark That Is Us
8. シンパシー
 Sympathy
9. ミスター・フリーズ
 Mr.Freeze
10.ジェロー・マン
 Jello Man
11.ベイビー・ブルー
 Baby Blue
12.スワロー
 Swallow

(日本盤ボーナストラック)
13.メッシング・アップ・ザ・ベッド
 Messing Up The Bed

まずはじめに断っておくと、CD時代になり、これだけ曲数が多いと、仮に全曲良くても途中で飽きるか聞き疲れてしまう。そのため、いわゆる昔ながらの名盤というものは極端に少なくなった。
この新生UFOによる初のアルバムにも、はっきり言って捨て曲のようなものは存在する。しかし、聞き方を変えれば、本作もりっぱな名盤と呼べるだろう。騙されたと思って5曲目から聞いてみてほしい。
本作はどうも3パターン構成のようになっていて、1〜4曲目は「聖約」「シャークス」からの継続サウンド。5曲目以降は今までに無い重厚感のあるヘヴィ・サウンドと70年代黄金期を想わせる幅広いサウンド・スタイルの2タイプが入り乱れている。
まず1〜4は、新加入のヴィニー・ムーア(g)とジェイソン・ボーナム(ds)効果で演奏は上手くなっているように感じるが、曲も平凡で特筆すべきものはない。あえて言えば、新加入のヴィニー・ムーア(g)がマイケルをよく研究しているなと感じたくらいだ。しかし、5曲目以降の彼らは違う。5,7,8,10,12あたりは、ツェッペリンDNAとでも表現したらいいのだろうか、ジェイソンの父ゆずりの重くダイナミックなドラミングが加わったことで、かなり分厚くヘヴィなサウンドに仕上がっている。テンポもわざとミディアムにして、より重厚な音を作り出そうとしているのだろう。特に7と8はジェイソンのドラムが堪能でき、かなりカッコイイ!10でエンディングのワンフレーズにツェッペリンの曲を引用しているのはご愛嬌。
残る6,9,11,13は「新たなる殺意」や「宇宙征服」の頃の柔軟なサウンドを想起させる曲たち。6では、なんとフィル・モッグのファルセット・ヴォイスまで登場。この曲に限らず、本作でのフィルはこれまでのように無理に高音を絞り出すようなシャウト・スタイルは捨て、彼最大の魅力である豊かな低音域をうまく使い、格段に表現力を増している。9での、ため息のようなヴォーカルもとても新鮮だ。11はアコースティック・サウンドを取り入れた、まさに黄金期の音。途中のリズム・ギターのカッティングには思わず泣けてくる。
アルバム全体を通して、意外にもヴィニー・ムーアというギタリストは、速弾き一辺倒ではなく、ブルースを基調としたオーソドックスなプレイからアコースティックな音まで自在に弾きこなす柔軟性を持っていた事が分かった。しかもフレーズもなかなかメロディアスで良い。このヴィニーのギターとジェイソンのドラムという組み合わせは、UFOの長い歴史上でも最強ではなかろうか。一刻も早くライヴ音源も聞いてみたいところだ。(HINE)


ALBUM GUIDE

ザ・モンキー・パズル
The Monkey Puzzle

UFO


2006年12月
Steamhammer/日本クラウン
〜New Disc Revueより転載〜

前作から2年ぶりというけっこう早いペースで仕上がった本作は、残念なことにドラムがジョン・ボーナムの息子、ジェイソンからアンディ・パーカーに戻っている。オリジナル・メンバーに戻ったんだから喜べって?いや、前作の素晴らしいドラミングを聞いてしまうと、なんとも迫力不足で・・・。
ちなみにジェイソン・ボーナムの方は、フォリナーへ加入してしまったようだ。
さて、内容の方だが、マイケル脱退後は、主にフィル・モッグ(vo)とヴィニー・ムーア(g)で曲をかいているようで、前作と同じ感じの曲が多い。ただし、そのサウンドの幅はかえって狭まってしまい、どれも似たり寄ったりの普通のハードロックになってしまった。
前作「You Are Here」では、かなり毛色の変わったソウルっぽいナンバーなどもやっていて、フィルがファルセットで唄うなど、チャレンジ精神も感じられたが、今回は1曲目と7曲目でかろうじて少し泥臭いナンバーを珍しくやっている以外、ほとんど新鮮さは感じられない。また曲メロもいまひとつといった印象。
では、全然ダメなのかというと、そういうわけでもない。何よりフィルの気迫は前にも増してすごいし(それが空回りしているようでもあるのだが)、ヴィニー・ムーアのギターが相変わらず巧く良い味を出している。もったいないよこれは・・・。
次作はぜひ外部ライターでも使って、よい曲をバンバンやって欲しいところだ。
そんなことで今作は、UFOのコア・ファンとヴィニー・ムーア・ファン向けのアルバムといえそうだ。

(HINE) 2007.2


BACK