Written by ぴー
RAINBOW ON STAGE 1977年1月発売 レインボー・オン・ステージ Ronnie James Dio(vo), Ritchie Blackmore(g), Tony Carey(Key), Jimmy Bain(b), Cozy Powell(ds) |
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ロニー期のライブである。実に迫力のある良く出来たライブ盤で、あのパープルのライブ・イン・ジャパンと同格に扱うファンも多いと言うくらいの名盤である。スタジオ盤とは違うアレンジの、ロニーのパワフルで哀愁に満ちたボーカルが入った『Still I'm Sad』 は必聴である。そして、このアルバムにおける『Catch The Rainbow』でのギターソロを、リッチー最高のプレイのひとつに挙げる信者も多いようだ。3期パープルの名曲『Mistreated』も収められているので、デビッド・カヴァーデイルとロニー・ジェイムス・ディオと言う2人のスーパー・ボーカリストの個性を比べてみるのも面白い。 ライブでのロング・ギターソロにおいて、表情豊かな素晴らしいフレーズが泉のように、止めど無く湧き出して来る、そんな最高レベルのギタリストは、リッチーの他には、今は亡きブルース界の天才、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが挙げられるが、リッチーのギターは、クラッシック、スパニッシュ、そしてブルース等、多彩なジャンルが基盤となっているので、メロディーや音色のバリエーションにおいて、スティーヴィー・レイを上回るだろう。 <カリスマ・ロック・ギタリスト、リッチー> ライブと言えば、1978年2月、私が高校2年生の時に見に行った、レインボー武道館公演を思い出す。 実はこのコンサートの1週間前に、彼等が行った札幌公演で、オープニングと同時にステージに殺到した観客達が将棋倒しになり、その結果女子大生が亡くなるという最悪の事故が発生してしまっていた。 その影響からだろう、武道館公演でのロニーのMCは、少し控え目だった様な気がする。しかし、演奏自体は誠に素晴らしく、私は、オープニングの『Kill The King』から、初めて生で触れる、その迫力あるレインボー・サウンドに引き込まれて行ってしまった。ロニーのボーカルは、スタジオ盤を凌ぐ迫力で、私達に襲い掛かって来た。ライブにおいて、そのとてつもないパワーの持続力と安定感に触れ、彼のまがい無き実力を見せつけられた私は、ロニー・ジェイムス・ディオこそが、世界最強のロック・ボーカリストである事を確信させられてしまった。またコージーは、ロック魂溢れるガッチリした重厚なドラム・ビートで武道館を揺らし、曲の節目節目では、絶妙なタイミングで、インパクトのある鳥肌もののフィル・インを決めていた。そして、ドラム・ソロにおいては、その綿密な構成と、ダイナミックかつテクニカルなプレーによって、オーディエンスの興奮を頂点にまで引き上げ、ソロの後半、チャイコフスキーの『1812年』に合わせて叩き出す彼のドラムは、単なる打楽器というパートを超越した、高水準の芸術性さえ感じさせた。ロニー・ジェイムス・ディオとコージー・パウエル、彼等が、ロック界の誇る至宝である事を実感したライブであった。 だが、このコンサートで、私が最も衝撃を受けたのは、リッチー・ブラックモアという男の放つ、オーラの大きさである。動いている彼を見るのは、その時が初めてだったのだが、時折、ギロリと他のメンバーを睨みつけるその鋭い眼光には、ぞっとする程の凄みがあり、ギター・ソロを弾きながら、自分の創り出す音に陶酔し、心が異次元に飛んで行ってしまっているであろう場面などは、愛器ストラトキャスターと彼の体が、どろどろに解けて融合してしまうんではないか?と言うような錯覚を感じさせ、また、黒いステージ衣装の彼が、時折見せるスキップのような、不気味なアクションは、悪魔に捧げる儀式の際のダンスのようにも見えた。そして、彼の奏でる奇跡的とも言える、ギタープレイは、神(悪魔)がかってさえいたのだ。彼は正真証明のロック界のカリスマなのである。実はこのコンサートの途中、札幌での事故の犠牲者に捧げる黙祷が行われたのだが、その直後に演奏した『Catch The Rainbow』でのリッチーのプレイは凄まじく、衝撃に近い感動を我々に与えてくれた。あの演奏はリッチーが、事故の犠牲になってしまった女性に捧げた、懇親のレクイエムだったのだろう。おそらく、リッチーのその思いは、天国の彼女まで届いたに違いない。 |
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1. Kill The King キル・ザ・キング 2. Man On The Silver Mountain 銀嶺の覇者 3. Blues ブルース 4. Starstruck スターストラック 5. Catch The Rainbow 虹をつかもう 6. Mistreated ミストゥリーテッド 7. Sixteen Century Gleensleeves 16世紀のグリーンスリーヴス 8. Still I`m Sad スティル・アイム・サッド |