Rock Princess

THE $5.98 E.P. GARAGE DAYS RE-REVISITED
(邦題:メタル・ガレージ)



(1987年発表) (全英チャート:27位)(全米チャート:28位)
(SONY:28DP-808)'02.12月現在廃盤



1,Helpless
2,The Small Hours
3,The Wait
4,Crash Course In Brain Surgery
5,Last Caress/Green Hell



 1986年9月27日早朝。バンドはラーズの故郷でもあるコペンハーゲンの「サーガ」でのライヴに向けて、バス移動によりデンマークのリュングビー近郊を通過中であった。
 バスが突然スリップし側溝に突っ込んだ。バスに8つあった寝棚で寝ていたクリフは、その衝撃でバスの外に放り出され回転するバスに下敷きになる、、、、。

享年24才。早すぎる「死」であった。

 バンドは解散を考えていたという。それほど、クリフはバンドの精神的存在だったのである。しかし、バンドを存続させることになりクリフの後任としてフロットサム・アンド・ジェットサムのジェイソン・ニューステッドをメンバーとして迎えたのである。この作品は、そのジェイソン参加後初めての録音音源である。しかし、オリジナル・アルバムではなく、ミニ・カヴァー・アルバムである。
 モンスター・オブ・ロックへの出演記念マテリアルとして、前作の「マスター・オブ・パペッツ」をシングルとしてリリースしよう、というマネージメントのアイデアを「今さら、そんな曲をシングルにしても、おもしろくない」(ジェイムズ)ことから決定した企画である。
 「俺たちは。このアルバムをくだけたものにしたかったんだ。シリアスなものにはしたくなかったんだ」という理由でプロデューサーをたてていない。「一発録音」とミックスで26日間で完成させた。
 このアルバムは「バンドが楽しむ為」だけにリリースされたようなものだが、実際に後続に与えた影響は大きい。自らのルーツをあけすけに商品にしてしまったのだから。それ以前からカヴァーはあったかもしれないが、このアルバム以降、市場にトリビュートアルバムなる物のリリースが増加していくのだから。
 それでは、各曲についての説明をしよう。

 (1)はメタリカによって名を知られることになるダイアモンド・ヘッドの「Lightning To The Nations」に収録。
 (2)はスコットランドの「愛すべきB級バンド」ホロコーストの曲。「Live(Hot Curry&Wine)」収録。
 (3)はイギリスのニュー・ウェイヴ・バンド、キリング・ジョークのセルフタイトル・アルバムより。これは、ファンにしてみれば意外な選曲だ。
 (4)は70年代から活動しているイギリスのバンド、バッジーの4thアルバム「In For The Kill」より。
 (5)はニューヨークのパンク・バンド、ミスフィッツの2曲をメドレー形式にしたもの。それぞれのオリジナルは前者がミニアルバム「Be Ware」、後者が「Earth A.D./Wolf's Blood」に収録されている。ヴォーカルは、あのグレン・ダンジグだ。
 なおイギリスでは「4曲までならシングル」という規定があり、チャート入りを狙ったレコード会社の意向で(3)が収録されていない。現在、このアルバムは世界的廃盤であり(ガレージ・インクで全曲聴けるが)、中古市場でも法外な値段がつけられているようだ。
(FIXX)



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