Rock Princess
MASTER OF PUPPETS
(邦題:メタル・マスター)
(1986年発表) (全英チャート:41位)(全米チャート:29位)
(SONY:25DP-5234)
1,Battery
2,Master Of Puppets
3,The Thing That Should Not Be
4,Welcome Home(Sanitarium)
5,Disposable Heroes
6,Leper Messiah
7,Orion
8,Damage,INC.
若い娘:「スラッシュメタルってなぁに?」
30代中年:「このアルバムを聴きなさい!」
この3rdアルバムで、メタリカはそれまでの業界の常識を覆した。前作はめでたくメジャーからのリリースとなりビルボードでも100位にランクされたのにもかかわらず、レコード会社からは新作アルバムをプッシュしてもらえなかった。また、ラジオ局からも無視され、「ビデオなんてクソくらえ!」(ラーズ)という素晴らしいポリシーによってMTVでもメタリカの曲が流れることはなかった。だが、その年の夏から始めたオジー・オズボーンの前座としてのツアーで状況は一変した、、、、。
完全とも言っていいほどの「口コミ」による快進撃である。ライヴを見た者が起爆剤となり、ついには、このアルバムを「音楽的見地」から興味をひく者まで現れ、ビルボードのアルバム・チャートをあれよあれよと駆け登っていくのである。この快挙にメディア側が完全に遅れをとってしまった。筆者自身もファンであったのにもかかわらず、この現象には驚いた。(当時のミュージック・ライフ誌でも緊急企画が掲載されていた)
だが、現在メタリカが「世界でレコードを大量に売る事の出来るバンド」となった今、このアルバムを聴き返してみても、その理由は明白だ。
「曲が素晴らしい」のである
怒涛のスピードとリフでバンドとファンの絆を「唄う」(1)、HM最高の部類に入る(かつ、これからも)であろう(2)、愛する者 を切り刻む冷酷な奴であっても涙するであろう疾走と感情をばらまく(4)、「俺は死ぬ為に生まれてきた」兵士の叫びをドラマティックに内包した8分にも及ぶ(5)、壮大なスペクタルを想起させる(7)、マンソンの脳ミソだって潰すであろうヘヴィリフの(8)。すべてが「最高のメロディーとスピードとリフ」によって構築されているのである。
今回もフレミング・ラスムッセンとバンドのプロデュースによるものだが、ミックスを担当したマイケル・ワグナーの存在がギラリと光る。
このアルバムをもって、メタリカの「第1期」といえよう。怒りや矛盾をストレートに表現することから、バンド自身が真剣に自己を見つめることに移行しはじめるのである。
オジーとのツアー後、ヘッドライナーとして世界中を飛び回ることになったメタリカ。どんな材質で出来た壁でもブチ破る勢いを得た彼らだったが、まったく予期しない不幸が起こる事になる。
クリフ・バートンの「死」である。
(FIXX)
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