Rock Princess
KILL 'EM ALL
(邦題:キル・エム・オール)
(1983年発表)
(SONY:25DP-5339)
1,Hit The Lights
2,The Four Horsemen
3,Motorbreath
4,Jump In The Fire
5,(Anesthesia)-Pulling The Teeth
6,Whiplash
7,Phantom Lord
8,No Remorse
9,Seek And Destroy
10,Metal Militia
「ギターが壊れるのが先か、手が擦り切れるのが先か」
これは、「KILL'EM ALL」がリリースされた当時(この時のリリースはキングレコードからで邦題は「血染めの鉄槌」だった。ジャケまんまですなw)に、今はなきMUSIC LIFE誌で水上はるこ氏がレビューした時の文句である。確かに、当時このアルバムを聴いた時に「なんじゃ!この速さは!」と思ったものだ。と、同時にやたら軽い音質で「ひどいサウンドプロダクションだな」という否定的感想を持ったものだ。しかし、今こうして聴いてみるとかなり曲作りのセンス、というかHM的メロディのフックとかに非凡なものが伺える。現在では、さらに倍速(w)なテンポやヘヴィな音楽もあるので、普通の「良いHMアルバム」に聴こえるのだ。ああ、時代は確実に変化してるな。
バンドにクリフ(b)とカーク(g)を加えたメタリカは、NYでプロモーター業を始めたばかりのジョン・ザズーラ(その後メガフォースレコード社長)とマネージメント契約を結び、このデビュー・アルバムの制作に取り掛かる。金銭的にもきつかったので、ジョンの家に床上にゴロ寝しながらレコーディングをしたらしい。 '83年5月、ミュージック・アメリカ・スタジオで録音され、このスタジオのオーナーでもあるポール・カーシオがプロデュースしている。(ポールはジャーニーを発掘した人物として有名)かなりヒドイ設備のスタジオだったと後にラーズは回顧しているw。
(1)は彼らが世の中に初めて音源としてリリースした記念すべき曲である。「俺たちにはメタルの狂気がある/ファンが叫びはじめれば全てはうまくいくのさ」という歌詞は、彼らの未来を暗示しているようだ。
(2)はいわくつきの曲。実はオリジナルはデイヴ・ムステインなのである。彼のバンド「MEGADETH」の1stアルバムにも収録されており、テンポが早くメタリカ・ヴァージョンよりスラッシーだ。タイトルも原曲の「メカニックス」となっている。
(5)は、曲の後半にラーズのドラムが入る以外は全てクリフのベースによるソロである。しかし、周りからは「ギターの音」といわれることが多く、クリフはそれが不満のネタだった。
(6)(9)は現在でも彼らのライヴでは重要なレパートリーになるアンセム的な曲。とくに(6)は、いわゆる「スラッシュメタル」としての原点ともいえる曲である。
因みに、ここで表記したCD番号は初めてCD化された時のものであるが、このCDには2曲のボーナストラックが収録されており、現在では収録されていないことから、中古市場ではかなりの値段になっている模様。その2曲とは「Am I Evil?」(ダイアモンド・ヘッド のカヴァー)と「Blitzkrieg」(ブリッツクリーグのカヴァー)であり、ラーズのNWOBHM趣味がモロに出ている選曲だ。
このアルバムのリリースと前後してメタリカは各地をツアーしていく。とくにパラマウントでのVENOMとのジョイントライヴでは会場に火が放たれる等、「奴らのライヴはやヴぁい!」というカリスマ性が加わる。勿論、アンダーグラウンドレベルではあるが、すでに彼らの地位は確立されていたのである。
その地下のマグマは、この後、地上で炸裂することになるのである、、、、、、、、。
(FIXX)
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