THE MARSHALL TUCKER BAND マーシャル・タッカー・バンド


サザンロックの後継者

オールマン・ブラザーズ・バンド(オールマンBros.)の後を追うように登場したサザン・ロックの継承者集団マーシャル・タッカー・バンド(MTB)は、そのオールマンBros.と同じように、ブルース、カントリー、ジャズなどをサウンド基盤としながらも、実に多彩な音楽性をもったバンドだ。
そして、トミーの自動車事故死という悲劇的な結果まで継承してしまったのである。
後続となるレイナード・スキナードもまた悲劇の事故を体験してしまっている。
サザン・ロックの魅力には、こういった「南部の荒くれ者」達による無骨で男っぽいところも多分にあるのだが、、それにしても多くの有能な人材を失ったものだ・・・。

彼らはアメリカ南部のサウスカロライナで1971年にバンドを結成し、後で彼らが練習に使っていた部屋のオーナーの名前をとって、マーシャル・タッカー・バンドと名付けた。オリジナル・メンバーは
Toy Caldwell/リード・ギター
Tommy Caldwell/ベース・ギター 
*Toyとは兄弟
Doug Gray/ヴォーカル、キーボード
George McCorkle/リズム・ギター
Jerry Eubanks/サックス、フルート
Paul Riddle/ドラムス

かつてデュアン・オールマンもプレイしていたCOWBOYに在籍したこともあるトイが、65年結成したTOY FACTORYというバンドにDougとJerryも参加していて、その後96年にバンドは解散。新たに71年トイとDoug、Jerryが結成したニューバンドに翌年ジョージ、ポール、トミーが加わる形でこのメンバーが集まった。
73年にオールマンBros.と同じキャプリコーン・レーベルと契約した彼らは、当然オールマンの後釜として売り出され、ファースト・アルバムはたちまちゴールド・ディスクとなった。
このデビュー・アルバムからは「Can't You See」や「Take The Highway」のヒットも生まれ、彼らの初期の代表曲として、ライブではお馴染みの曲となっている。
当初彼らはトイの曲とギターを全面的に押し出したサウンドを売り物にしていたが、しだいに他のメンバー達が個性が発揮し始め、それが好評を得るようになっていった。
そんなバンド全体としての魅力が爆発したのが、74年にリリースした2枚組のサード・アルバム「アメリカン・ロックの鼓動」である。
このアルバムはスタジオ録音とライブ録音の2枚組でブルーグラス(アメリカのトラッド・ミュージック)の父チャーリー・ダニエルズを迎えたスタジオ盤では、「This O'l Cowboy」と「In My Own Way」の名曲を生み、ライブ盤では「24 Hours At A Time」の14分に及ぶ熱演が話題になった。(特に「This O'l Cowboy」はオールマンBros.の「エリザベス・リード〜」に匹敵するほどのフュージョンっぽいサウンドの名曲だ)
このアルバムの成功によって、彼らは一躍世界的に注目されるバンドへと躍進したのであった。
波に乗る彼らは、つづく75年リリースのアルバム「Searchin' For A Rainbow」からも「Fire On The Mountain」のシングル・ヒットを放ち、76年には次のアルバムからのインストゥルメンタルのタイトル・チューン「Long Hard Ride」でグラミー賞にノミネートされている。
この曲はカントリー調で、カウボーイを連想させるいかにも陽気なアメリカらしい名曲だ。
そして、77年には彼らのアルバム中、最もビッグ・セラーを記録した「キャロライナの夢」をリリース。この中には全米14位の大ヒットとなる「Heard It In A Love Song」も収録されている。
79年なると彼らはワーナーへ移籍し、そのまま順調に活動をつづけていたが、翌80年バンドの士気を下げるような悲劇が待ち受けていた。
ベーシストでトイの兄弟でもあるトミー・コールドウェルが、自動車事故によりあっという間にこの世を去ってしまったのである。
バンド活動はこの後も継続されたが、このショックから立ち直ることなく、最後にはメンバー達はバラバラに活動し始めてバンドは崩壊してゆくのであった。尚、トミーの代わりには元TOY FACTORYのメンバーだった
Franklin Wilkie(b)が加入している。(彼はその後84年まで在籍)
84年にはオリジナル・メンバーのトイ、ジョージ、ポールが相次いで脱退。特にリーダーであるトイの離脱はバンドの実質消滅状態を意味したが、それでもヴォーカルのDougとサックス奏者Jerryを中心に
Ronnie Godfrey(kb)、Rusty Milner(g)、Tim Lawter(b)などを加え、アルバムも出さないままバンド活動は細々と続けられていった。
その後ポリグラムに移籍した新生マーシャル・タッカー・バンドは、88年再生後初のアルバム「Still Holdin' On」を発表。ここからのシングル「Hangin' Out In Smoky Places」と「One You Get The Feel Of It」がカントリー・チャートを上昇。その後のバンドの方向性を決定づける成功を手中にした。その後もメンバーの入れ替わりは激しいものの、カントリーをベースにしたサウンドで、順調に活動を続け、最近ではまたオリジナル・MTBの持っていたブルース寄りの雰囲気もプラスした音づくりへと回帰している。
一方、ソロに転向したトイは92年にソロ・デビュー・アルバムをリリースするも、そのプロモーション活動中の93年に急に倒れ兄弟トニーの元へと旅立ってしまった。現在のMTBのメンバーは、
Doug Gray/ヴォーカル、キーボード
Rusty Milner/リード・ギター
Tim Lawter/ベース・ギター
Stuart Swanlund/スライド・ギター
B.B.Barden/ドラムス
Clay Cook/フルート、サックス
(HINE) 2001.4



The Marshall Tucker Band
AJK

A New Life
AJK

Where We All Belong
AJK

Searchin' For A Rainbow
AJK

Long Hard Ride
AJK

Carolina Dreams
AJK

Together Forever
AJK

ディスコ・グラフィー

1973年 The Marshall Tucker Band(キャロライナの朝焼け)*初期の名作シングルCan't You SeeやTake The Highwayを収録
1973年 A New Life *トーイ・コールドウェルのギターを大きくフューチャー。ライブでの定番曲24 Hours at a Timeのスタジオ録音盤収録
1974年 Where We All Belong(アメリカン・ロックの鼓動)*彼らの出世作となったスタジオとライブの2枚組。This Ol' Cowboyは名曲
1975年 Searchin' For A Rainbow *TOP20に輝いたシングルFire On The Mountainを含む、彼ら初のプラチナ・アルバム
1976年 Long Hard Ride *インストゥルメンタルのタイトル同名曲はグラミー賞にもノミネートされた、陽気なカントリーの名曲
1977年 Carolina Dreams(キャロライナの夢)*ここからのシングルHeard It In A Love Songは全米14位のヒットを記録
1978年 Together Forever *メンバー達のソロ・パートを大きくフューチャーした作品
1979年 Running Like The Wind(疾風のごとく)
*ワーナーへ移籍第1弾のアルバム
1980年 Tenth(10の誓い)*トミー・コールドウェルの遺作になってしまった作品
1981年 Dedicated *E・クラプトンのアルバムでお馴染みのトム・ダウドをプロデューサーに迎え、亡きトミーに捧げられたアルバム
1982年 Tuckerized 
*バンドの勢いがしだいに失速していった頃のもの。日本未発売
1982年 Greatest Hits *ダブル・プラチナムに輝いたベスト盤。
1983年 Just Us 
*初めてバンド自らプロデュースを手がけた。日本未発売
1983年 Greetings From South Carolina *オリジナル・ラインナップでは最後のアルバム。日本未発売
1988年 Still Holdin' On *カントリーチャートでヒットしたHangin' Out In Smoky PlacesとOne You Get The Feel Of Itを収録。日本未発売
1990年 Southern Spirit *DestructionやCountry Roadなど名曲を生んだ再スタート後最も有名なアルバム。これは日本でもよく見かけます
1992年 Still Smokin' *再スタート後の彼らのスタンダード曲Ten Yard Road収録
1993年 Walk Outside The Lines *全体的にカントリー調の曲が多いアルバム
1994年 The Capricorn Years *Boxセットだが、日本では見かけない
1996年 Country Tucker *カントリー曲の代表曲を集めた編集モノ
1997年 MT Blues *こちらは、ブルースものを集めた編集モノ
1998年 Face Down In The Blues *5年ぶりにリリースしたオリジナル・アルバム。彼らのルーツ・ミュージックであるR&Bを目指した作品
1999年 Gospel *新曲とトラディショナルな曲を混ぜ合わせた最新作



Running Like The Wind
Ramblin'

Tenth
Ramblin'

Dedicated
Ramblin'

Tuckerized
Ramblin'

Southern Spirit
Ramblin'

Walk Outside The Lines
Ramblin'

Gospel
ERA