お薦め名盤Vol.1(POP&FUNKY)

ルック・オブ・ラブ/ABC
THE LEXICON OF LOVE/ABC

1982年 PHCR-12519◆MARCURY ポリグラム株式会社

1.ショウミー
 Show Me

2.ポイズンアロウ
 Poison Arrow

3.メニーハッピーリターンズ
 Many Happy Returns

4.涙まだまだ
 Tears Are Not Enough

5.バレンタインデイ
 Valentine's Day

6.ルックオブラブ(パート1)
 The Look Of Love(Part 1)

7.デイトスタンプ
 Date Stamp

8.我が心のすべてを
 All Of My Heart

9.4エヴァー2ギャザー
 4 Ever 2 Gether

10.ルックオブラブ(パート4)
 Look Of Love(Part 4)


メンバーは
マーティン・フライ Martin Fry(ヴォーカル)
デイヴィッド・パーマー David Palmer(ドラムス)
ステファン・シングルトン Stephen Singleton(サックス)
マーク・ホワイト Mark White(ギター&キーボード)

このアルバムについて
 80年代初頭よりイギリスを中心としたユーロビートやホワイトファンクブームにのって、たくさんのダンサブル・サウンド・グループが出現した。ヒューマン・リーグ、デッド・オア・アライブ、ペット・ショップ・ボーイズ、a-ha・・・etc・・・とても数え切れないが、その中でもひときわハイセンスで光っていたのが、このABCだった。
 大人のためのダンスポップとでも言えばよいのだろうか、そのアダルトっぽいアレンジと曲の良さは、多くのユーロビート拒否性の人達からも支持を得た。
 また、この頃のアルバムには70年代に多く見られた「完全アルバム」的な内容の作品は皆無で、ヒット曲製造マシンのようなグループが横行していた。そんな中、本アルバムはトータルで聞ける作品として素晴らしい出来映えを見せている。
 このバンドの結成当時はマーク・リックレイというベーシストもいたようだが、本アルバム発表当時はすでに4人編成となって、ほとんどヴォーカルのマーティンのワンマンバンドと化していたようだ。

サウンドについて
 プロデュースには元イエスのトレヴァー・ホーンがあたったことも、このアルバムが単なるヒット曲オンパレードで終わらなかった要因だろう。「ショウ・ミー」から「ルック・オブ・ラブ(パート4)」まで、すべてがメドレーのような息もつかせぬ構成で、要所要所に、ストリングスやホーンなどを効果的が入り、トータルアルバムとしてアダルトでファンキーなサウンドを作り出すことに成功している。こういう手法は、プログレサウンド(イエスの時に)でトレヴァーが培ってきたお得意分野だ。しかし、それだけではない。マーティン・フライのエモーショナルな唄いっぷりやコンポーザーとしての素晴らしさ、デヴィッド・ボウイを想わせる幅広い音楽性とセンス。これらすべてが揃って、この名盤が誕生したのだ。
 本作はイギリスのチャートで初登場1位に輝いている。もちろん、1曲1曲も素晴らしい。シングルカットしたのは、「涙まだまだ」(19位)、「ポイズン・アロー」(6位)、「ルック・オブ・ラブ」(4位)、「我が心のすべてを」(10位)、いずれもイギリスのチャートで上位を記録している。