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(HINE) |
Picturesque Matchstickable Messages From The Status Quo Pye/Castle |
Ma Kelly's Greasy Spoon Pye/Castle |
Dog Of Two Head Janus/Pye/Castle |
Piledriver Vertigo/A&M |
Hello ! Vertigo/A&M 日本フォノグラム |
Quo Vertigo/A&M |
Blue For You Vertigo/A&M |
DISCOGRAPHY 1968年 Picturesque Matchstickable Messages From The Status Quo(ピクチャーズ・オブ・マッチスティック・メン) |
Quo+Live ! Vertigo/Captol |
Rockin' All Over The World Vertigo/Captol |
Just Supposin' Vertigo/Captol |
Never Too Late Vertigo/Captol |
1+9+8+2 Vertigo/Captol |
In The Army Now Phonogram |
Heavy Traffic Universal |
SIDE-A 1. LITTLE LADY(Parfitt) 2. MOST OF THE TIME(Rossi/Young) 3. I SAW THE LIGHT(Rossi/Young) 4. OVER AND DONE(Lancaster) 5. NIGHTRIDE(Parfitt/Young) | SIDE-B
1. DOWN DOWN(Rossi/Young) 2. BROKEN MAN(Lancaster) 3. WHAT TO DO(Rossi/Young) 4. WHRERE I AM(Parfitt) 5. BYE BYE JOHNNY(Berry) | |
彼らの音楽を聴くのに細かい理屈などはいらない。何も考えずひたすらノリノリで聞けばいいのだ。ステイタス・クォーというバンドを説明する時、よく「ハード・ブギー1筋30年」なんていうフレーズが使われるが、いくらなんでもそれは言い過ぎで、実際にはハード・ブギーばかりやってきたのではなく、彼らとて紆余曲折して今日がある。しかしながら、やはり一番分かりやすいイメージとなると、「ステイタス・クォー=ハード・ブギー」ということになる。そういう意味でも、本作はそのイメージにピッタリなクォー入門的作品と言えるだろう。 何しろこのアルバム、1曲目からノリノリのハード・ブギーだらけで、ラストのBye Bye Johnnyまで一直線、流して聞いているとあっという間に終わってしまう。全体的にはポップでメロディーも覚えやすく、各曲ともシングル・ヒットが狙えそうなほどコンパクトにまとめられている。実際、本作は「ダウン・ダウン」が大ヒット(全英1位)したこともあり、クォーの全作品中でも最も成功したアルバムだろう。ちなみにこの時期のクォーは「ハロー」から、「クォー」、本作「オン・ザ・レヴェル」、「ブルー・フォー・ユー」まで、すべて全英初登場1位という快挙を成し遂げている。まさに彼ら自身ノリノリ状態であった。出世3部作と言われる「パイル・ドライヴァー」「ハロー」「クォー」で人気を決定的にした後のダメ押しとも言える本作は、以降何十年も間「最強のブギー・バンド」として君臨するための決定打となったのではないだろうか。 しかし、これだけの成功をイギリスで収めながら、アメリカではまったくといってよいほど、クォーは話題にも上らなければヒットチャートにも顔を出さない。同じハード・ブギー・バンドとしてアメリカで成功したフォガットに対して、何故彼らはアメリカでうけないのか?その答えのヒントも、このアルバムに隠されているような気がする。これほどゴリ押しのブギーをやっていながらも、クォーのサウンドはフォガットなどに比べ実にスマートで、なんとなく品格さえ漂わせているようにも思える。スピード感もあり、歯切れもよく、随所にはブリティッシュ・トラッドのエッセンスまでちりばめられている。しかし、これらはすべてアメリカではマイナス要素になってしまう。アメリカではもっと泥臭く粘っこい重厚感のある音と、荒々しい演奏が好まれる傾向にあるのではないだろうか。 クォーはそのようにアメリカではずっと泣かず飛ばずであったので、全盛期でもあまりお店でレコードを見かけることはなかったし、雑誌などでの情報もあまり入ってこなかった。このアルバムも当時は近所のレコード店で捜しても見つからず、しかたなく輸入盤を見つけて購入したものだ。 聞いてみようと思ったきっかけは、彼らの代名詞であるハード・ブギーとはいったいどんなサウンドなんだろうという疑問からだった。そして、このアルバムを聞いてみるなり、そのカッコ良さに1発で打ちのめされると共に、「あ〜、これがハード・ブギというやつなんだ・・・」と妙に納得し、以降自分の中でも「ハード・ブギー=クォー・サウンド」になってしまっている。 聞き所はもう1曲目から全部なので、あえて各曲ごとの解説はしないが、特に疾走感のある1曲目「Little Lady」からメドレーのように流れ込む2曲目「Most Of The Time」の(アイリッシュ?)トラッド・ミュージックっぽいイントロへの流れと、その後のハード・ブルースへの展開。そして、文句なくノリまくれるA-3「I Saw The Light」A-4「Over And Done」、B-1「Down Down」、B-3「What To Do」。アルバム中でも異色なのはウイッシボーン・アッシュを想わせるB-2「Broken Man」やB-4「Whrere I Am」。ラストはチャック・ベリーの曲をハードにアレンジした力作。 尚、ジャケットは、数々の名カヴァー・アートを残しているキーフによるもの(ただし、この作品はあまり有名ではないが)。 繰り返すようだが、クォーのサウンドに触れたことがない方やハード・ブギーとはどんな音楽なのかを知りたい方は、ぜひ最初にこのアルバムを聴くことをお薦めする。(HINE) |