Written by Newk

エレクトリック・サヴェージ
ELECTRIC SAVAGE

1977年 MCA/Warner

1. プット・イット・ディス・ウェイ
 PUT IN THIS WAY

2. オール・スキン・アンド・ボーン
 ALL SKIN AND BONE

3. リヴァーズ
 RIVERS

4. ザ・スコーチ
 THE SCORCH

5. ラメント
 LAMENT

6. デスペラード
 DESUPERADO

7. アム・アイ
 AM I

8. インターガラクティック・ストラット
 INTERGALACTIC STRUT
 コロシアムIIの革新的サウンドはこのアルバムから始まる。楽器の特徴を生かした明確な役割分担による奥行きの深いサウンド、リード奏者を盛り上げるバッキング技術等ロックインストゥルメンタルサウンドの新たな方向を示した画期的なアルバムである。
 ハイズマン他メンバー全員が高度な演奏技術の持ち主であり、壮絶な演奏が繰り広げられる。インストナンバー主体であり、一般的な支持を集め難い演奏形態であるが、彼等の圧倒的なテクニックとセンスは聴き手を飽きさせることはない。商業的成功に背を向けながら、真摯なまでに芸術を追求する姿に只々圧倒される。

[1]はムーアをフューチャーした曲から驚異的な即興の応酬が始まる。ムーアの奏でるテーマの後、ハイズマンの超絶技巧かつ破壊力あるビートに煽られ、ムーアの壮絶な即興演奏が炸裂する。聴く者すべてを圧倒するスピード違反的速弾きによるスリルと熱気である。冒頭にムーアをフューチャーした曲を持ってきたことは、彼がバンドの顔となったことを裏付けている。
続く[2]はハイズマンのドラムをフューチャーしたナンバー。その超絶技巧だけで圧倒されてしまいそうだが、それだけに止まらず、多彩で緊張感のあるプレイを見せる。
[3]は本作唯一のヴォーカルナンバー。コロシアムIIサウンドにヴォーカルを乗せる試みである。ムーアの初々しくも表現力の高いヴォーカルを聴くことができる。
[4]はエイリーをフューチャーしたナンバー。このナンバーは即興ではなく、キッチリ構成がなされメロディも作曲されている。エイリーの作曲センスの高さが伺える曲である。
[5]はバラッド、ムーアの美しいメロディに単なる技巧派ではないセンスの高さを感じる。
[6]はスピード感溢れるテーマ演奏後、エイリー&ムーアの壮絶なバトルが繰り広げられ、それにモールのディストーションを効かせたトーンによるソロが続く。演奏を後ろから煽り続けるハイズマンのドラムも熱気に拍車をかけるご機嫌なナンバー。
[7]はエイリーのペンによるバラッド。ここではムーアはブルース的アプローチで切々と歌い上げるが、クラプトン奏法から脱した彼のオリジナリティが感じられる。
[8]はハイズマンのドラムソロによってスタートするが、その熱狂を引き継いでムーア、エイリーが熱いソロを繰り広げるエンディングに相応しいナンバー。(Newk)