HOOTERS フーターズ




Amore
Antenna

Nervous Night
CBS/Sony

Zig Zag
CBS/Sony

Out of Body
MCA/ビクター

Live in Germany
MCA/ビクター

ディスコ・グラフィー

1983年 Amore
1985年 Nervous Night(眠れぬ夜)
1987年 One Way Home(ワン・ウェイ・ホーム)
1989年 Zig Zag(ZIG ZAG)
1993年 Out of Body(アウト・オブ・ボディ)
1997年 Johnny B.(ジョニーB)
1998年 The Hooters Live(フーターズ・ライヴ)


◆◆◆名盤PICK UP◆◆◆

ワン・ウェイ・ホーム
One Way Home

フーターズ
Hooters


1987年 CBS/Sony

1.サテライト Satellite

2.カーラ Karla With a K

3.ジョニー・B Johnny B.

4.グレイヴヤード・ワルツ Graveyard Waltz

5.ファイティン・オン・ザ・セイム・サイド Fightin' on the Same Side

6.ワン・ウェイ・ホーム One Way Home

7.ワシントン・デイ Washington's Day

8.ハード・ロッキン・サマー Hard Rockin' Summer

9.エンジン999 Engine 999

カテゴライズすればオルタナティヴに入るのだろうが、彼らの場合はただインディーズ出身というだけで、他のオルタナティヴ・バンドのようにアルバム毎にサウンドを変化させるような輩ではない。デビューしてから一貫してアメリカン・ロックのルーツとも言うべきカントリーやフォーク、ケイジャン、ソウル、ゴスペル、ロックンロールといった音楽の香りを漂わせ、それに加えて世界各国の土着音楽・民謡などを組み合わせた実に多彩なサウンド作りをしている。
また楽器マニアとしても知られる彼らは、このアルバムでもメロディカ(鍵盤付きハーモニカ)、マンドリン、アコーディオン、ブルース・ハープ(ブルースでよく使われる木製または樹脂の10穴ハーモニカ)、ペニー・ウィッスル(アイリッシュでよく使う縦笛)、ジューズ・ハープ(口琴)などのアコースティック楽器を非常に上手く使いこなし、聞いていて心が安らぐような「古くて新しい」サウンドを構築する。
まず、このアルバムのジャケットを見て欲しい。名盤はジャケットもまた名作であることが多いが、Janet Perrによるこの作品もフーターズのイメージを圧縮して閉じこめたようなすばらしい仕上がりだ。
前作から2年のインターバルをおいているが、その2年間、彼らはアメリカ中をツアーして周っていたという。本作ではそこで出逢った地方それぞれの音楽をも吸収し、音楽的幅やスケールがさらに大きくなっている。また、その間充分に曲作りをする時間もとれたようで、タイプは違えど名曲揃いだ。
主な曲を紹介しておくと、1.はブリティッシュ・トラッド風の陽気な曲でイントロのメロディーがループするキャチーなナンバー。民族音楽が好きな自分などはこれ1曲でもうすっかり彼らの虜なってしまった。
つづく2.でもアコーディオンによる素朴なメロディーにペニー・ウィッスルが絡むイントロで、まるで、これからフォーク・ダンスでもやりそうな雰囲気だ。目をつぶれば田園の中にある広場の風景が見えてくる。(歌詞は全然違うが…)
そして3曲目は、シングルとなった名曲「ジョニー・B」。この曲では少しハードなギターとブルージーなヴォーカルが、アメリカン・ロック・バンドたることを力強く印象づける。
5.と6.は彼らが初期から得意とするレゲエ調ナンバー。レゲエ調とは言っても彼らのこと、ただ単にレゲエのリズムでやっているだけにとどまらない。アコーディオンやマンドリンを使い、南国というよりもどこか北欧の田舎あたりを思い起こさせる音作りがなされていて面白い。
7.はフーターズ流バラードとも言うべき郷愁を誘う素朴で力強いスロー・ナンバー。途中にはスライド・ギターも効果的に入り、日暮れ時の草原が目に浮かぶ(しかしこれも歌詞はけっこう都会的だったりする)。

フーターズはデビュー当時から、さまざまな民族楽器および民族音楽とロックとのフュージョンを試みていたが、本作ではすでに実験段階を終え、それらの音が1つの曲の中でうまく共存している。もはや他のどんなバンドの追随も許さぬほど、それは完成された音としてフーターズ最大の個性となっているのではないだろうか。(HINE)