ROGER FISHER ロジャー・フィッシャー
パート(リード・ギター)
在籍期間(結成時から1979年)

 ハートというのはもともとロジャーとステーブ・フォッセンが中心となっていたバンドに、アンが途中で加入してできたバンドである(しばらくしてナンシーも加入)。また当時は、フィッシャー兄弟(兄はマイケル、ハートのマネージャーをやっていた)とウイルソン姉妹は兄弟、姉妹同士で2組のカップルであった。アンはマイケルとロジャーはナンシーとそれぞれ恋仲であった。また、ハートの音楽的なコンセプトはロジャー・フィッシャーが考えて作っていた。ウイルソン姉妹はあくまで、「看板娘」という位置付けであったらしい。まさにロジャー・フィッシャーはハートの生みの親であり、育ての親でもある。
 また、ギタリストとしてもかなりのテクニックを持っていたと考えられる。カントリーやブルースの影響が感じられ、またそのプレーもかなり変則的でギミカルである。とくに「マジック・マン」でのギターソロが光っている。しかし、ロジャーはナンシーとの関係が冷めてきたこともあり、79年にハートをはなれ自分のバンドを組んで活動を始めた。当然、ロジャーの脱退が与える影響は大きかった。ロジャーの脱退後、ハートの曲のクオリティ・ダウンは明らかである。ヨーロッパ世界とアメリカ世界の融合した独自の音楽を作っていたハートが、個性のない並のつまらないバンドになってしまった(85年に復活するが、このような考えかたは今でも根強い)。また、その後の度重なるメンバー脱退についても、ロジャーの脱退が影響しているように思う。以上のことで、ハートはかなりの低迷と苦境となる。