DENNY CARMASSI デニー・カーマッシ
パート(ドラムス)
在籍期間(1983年から1993年)

 かれは、80年代後半のいわいる黄金期ハートをささえたメンバーだ。73年に一世を風靡したハード・ロックバンド、モントローズのメンバーとしてデビューし、76年の解散後、ガンマなどのバンドを転々とし(一時はMSGにも参加)、83年ハートに加入し、約十年間、ウイルソン姉妹をささえ続け、94年にハートを脱退しホワイトスネイクに加入。最近のデイヴィッド・カヴァーデイルのソロアルバムのも参加している。
 また、ハート在籍中も、いろいろなバンドのレコーデングに参加している。もっとも有名なのが、92年の カヴァーデイル/ペイジ・プロジェクトへの参加とシンデレラのセカンドアルバムへのレコーディングに、コージー・パウエルとともに参加していることだろう。いわいる引く手あまたの名ドラマーである。彼のドラミングスタイルは派手さがないが、タイトで力強い。「ださいけどうまい」って感じである。また、ジョン・ボーナムの跡継として名があがっていたこともあった。ハートの男性メンバー同士で比べると、彼が名声、実力とも1歩ぬきんでていたことは、誰もが承知の事実だ。なぜ彼のような実力者が当時落ち目のアイドルバンド(そう、このころハートは低迷していた)、ハートに入ったのか・・・ウイルソン姉妹が魅力的だった?いやいや、ギャラが高かった?いやいや、ウイルソン姉妹(とくにアン)が彼のジョン・ボーナム似のドラミングスタイルが気に入りデニーに声をかけた時、音楽的な意見が合い意気投合したということである。
 またなぜ10年間も在籍したのか?かれは引く手あまたであり、ハートがいやになれば、いつでも脱退できたはずである。彼はハートのなかで優遇され、名作「ブリケイド」の曲中、彼がサミー・ヘイガーと一緒にペンをとった曲が2曲ある。ウイルソン姉妹も、他の大物バンドに抜かれないように、大切に扱っていたのだろう。また、デニーの方もウイルソン姉妹の期待にこたえ、彼女らに優しさを感じていたように思う。彼にとっても、ハートは居心地がよかったバンドなのではないだろうか。ちなみに彼にとって、ハートはもっとも在籍期間の長いバンドなのだ。そのようなメンバーの信頼関係があってこそ、3枚のアルバムを連続で3位以内へ送り込むという偉業を成し遂げられたのだろう。
 しかし、90年代に入りハートの活動が低調となり、またアコースティックサウンドがしだいにメインとなると彼の存在意義は薄れていった。94年、デイヴィッド・カヴァーデイルに引き抜かれ、ホワイトスネイクに加入してしまう。とてももったいないことだ。彼の脱退はハートにとってもかなりの損失だったはずだ。 今年になって活動を再開したハートには、ハワードはもちろんのこと、彼にもできれば戻ってきてほしい。・・・まー無理だろうが。しかし、再結成したり活動休止していたバンドがロックシーンに復帰する時は、ぜひとも黄金期のラインナップでというのはファン共通の心理でもあるのだから。