THE BEATLES ビートルズ


<ビートルズ対談>
〜ロック年表制作協力者5人それぞれによるビートルズ 

KK、FIXX、msg、とらふぐ、HINE
5人衆の紹介はこちら

THE BEATLES
John Lennon ジョン・レノン/ギター、ヴォーカル
Paul McCartney ポール・マッカートニー/ベース、ヴォーカル
George Harrison ジョージ・ハリスン/ギター、ヴォーカル
Ringo Starr リンゴ・スター/ドラムス、ヴォーカル



HINE:ビートルズといえば、ロック界ではあまりにも大きすぎる存在だし、本や専門サイトもたくさんあるので、いまさら普通の紹介をしても意味がないよね。だから今日は年齢もバラバラ、好みもバラバラのみんなに、それぞれのビートルズについての見解を聞いてみたいと思います。まずは、ビートルズとの出逢いについて一言づつお願い!

KK:おいらは親が持っていたレコードでビートルズを知ったんですわ。それと同時期にポール・マッカートニーの「ヤァ!ブロードストリート」って映画を観て、ビートルズに夢中になったんですよ。当時はポール・マッカートニーがビートルズを語りだした頃だったかもしれないな。85年頃かな?おいらが小学生の頃だな・・・

FIXX:実は2年前にセガBBSの常連さんに薦められて買った「アビイ・ロード」が初購入、、、、。これ以外ではベストの「1」しか所有しとりません。カラオケでも何曲かは歌えるし、持っていなかったのが不思議w。でも、CDとかレコードを沢山持っているのに、ビートルズを持っていない人って結構いるらしいですな。

HINE:実はオレもCDでは3枚しか持ってなくて、最近慌てて借りてきたとこ(^_^;レコードでは小学生の頃からけっこう持ってたんだけどね。オレが小学生の頃って75年頃だけど(爆)
つづいて、一番ビートルズとは無縁と思われるmsg。ビートルズって、ちゃんと聞いた事ある?

msg:う〜〜ん一応アルバムは全部持ってるはず…

HINE:そりゃ〜失礼(^_^;ヘヴィ・ロック好きなのでついそうかと・・・

msg:で、出会いというとYMOがカバーしたデイトリッパーが最初かな?その時にビートルズ好きの友達に適当にカセットテープに録音してもらってビートルズ=イエスタディ&レット・イット・ビーと思ってたので、へぇ〜こんな曲もやってたのかって感じでしたね。

とらふぐ:中学生(70年代後半)の頃って、年末になるとFMで特集やってたのでそこで

HINE:ふむふむ・・・一応は少なかれビートルズの音楽をどこかで聞いているし、自分が特に聞こうとしなくても好きなプレイヤー達が影響を受けてたりするわけだから、間接的には全員影響を受けているわけだ。強引な論理かな?(^_^;
オレの場合も、リアルタイムでは知らないわけだけど、クラプトンがジョージ・ハリスンと仲が良かった関係から入って、あの赤盤と青盤(ベスト)は、擦り切れるほどよく聞いたな。ビートルズの中でも1番ジョージが好きだったからね。リアルタイムでもジョージが「ディンドン〜ディンドン〜♪」なんて頑張っていたな〜。

FIXX:知らんな・・・(-_-;

HINE: ところで、ありきたりな質問だけど、ビートルズの最高傑作はどのアルバムだと思う?
オレの場合はホワイト・アルバムだと思うな〜。よく、もうあの頃はメンバーがバラバラになっていて別々に録音していたから、ソロの寄せ集めと同じだとか言われてるけど、なにも共作したから良い曲になるとは限らないし、1面づつコンセプトのような共通性があって、アルバム全体でまとまりはあると思うけどね。ん・・・まさか、この中にビートルズはCDから入った人っている?CDだと2面なんだけど、レコードだと4面だからね(^_^;
本当にいいアルバムだから、一度は聞いてみて損はないよ。msgでも「ヘルター・スケルター」ぐらいは知ってるでしょ!?確かヘヴィメタ系のバンドがカヴァーしてヒットしてたからね。

FIXX:うんにゃ(^^)モトリー・クルーが2ndでカバーしたけど、ヒットしたかというと、、、、、、w。 U2ヴァージョンの方が有名かな?「ラトル・アンド・ハム」に収録されてるヤツね。

HINE:そうだったっけ・・・?知ってる曲をやってたんで、ヒットしたような気になってたのかな(^_^;

msg:買いだしたのはCDからですけど、先ほどの録音してもらったテープでホワイトアルバムの曲では「ヘルター〜」より「オブラディオブラダ」の方がショックでした。「おぉ!知ってるよこの曲、ビートルズだったのか〜」と思いましたよ。けど俺はホワイトアルバムはあまり気に入ってないです、自分の中では初期のサウンドが好きで1番は「ハードデイズナイト」です。

HINE:確かに「オブラディオブラダ」はカリプソを取り入れたポール会心のヒット作と言えるかもね。それまでどちらかというとジョンの方が音楽性は高いと言われてたからね。面目躍如といったところか。

KK:俺はホワイトアルバムは好きだな。一番メンバーの個性が出ているアルバムだと思うし。ジョンのイメージは「愛こそはすべて」などではなく(それもいいけど)、このアルバムに有り!かもね。あと今のロックサウンド作りの原点だと思うし。でも「ラバーソウル」や「リボルバー」の様な、まとまりのある聞きやすいブリティッシュ・ロックサウンドも良いしな〜 これだ!ってのは決められないかも。

HINE:なるほど、若い2人の話を聞いていると、ホワイトアルバムのサウンドって、もういろんなアーチストに取り入れられすぎて、普通のロック・サウンドになっちゃってるんだね。そういう意味では、初期の方がビートルズらしいっていうのか、新鮮な感じがするんだろうね。

FIXX:ワシの場合は、う〜ん、やはり「アビイ・ロード」かな。ていうか、これしかまともに聞いてないので、なんとも(^^; 

HINE:聞け〜〜〜〜〜!!・・・って、強要できるものではないけど、聞いて損はないよホント!!

FIXX:でも、HM/HR系アーティストは、こぞって「ホワイトアルバム」に影響受けたって人多いね。

とらふぐ:う〜ん、その影響を受けた側の音を聴いてないんでなんとも・・
ただ「白」は、グラム、パンクの要素がメイッパイの「素材集」のような存在だと

HINE:3面4面なんかは特にそうだね。「バースデー」とか「レボリューション1」とかね。シンプルな構成の中に、ロック魂が宿るというか、破壊的エネルギーがつまってるというか!メチャメチャ本来ロックが持つエナジーとかパワーの初期衝動のようなものを感じる。う〜〜ん、これはある意味パンクだね!

とらふぐ:旦那、そない力まんでも・・・

HINE:ハイ(^_^; そういえば、フランク・ザッパがビートルズが自分のマネをしたって言って、怒って「サージェント・ペパー〜」のパロディ・アルバムを出してた話を前にとらさんと対談したけど、レコーディング・スタジオが隣だったピンク・フロイドのことを「すごいバンドがいるぞ!」と言って、みんなで見に行ったという話もあったよね。
確かFIXXから聞いたんだっけ?よく考えてみると、ビートルズのメンバー達って、確かに作曲家・作詞家としての才能はすごかったけど、何かまったく新しいものを生み出す、芸術家的な才能は持ち合わせていなかったようだね。ほとんどがパクリだから・・ ・(^_^; まあ、唯一ジョージがインドの宗教音楽を独自の手法で取り入れてたかな・ ・・。でも逆に先見性や感性はするどかったってことか。

FIXX:でも、ビートルズの存在がなかったら、フロイドはただのアングラバンドで終わっていたかもね。やはり「基本」という存在だったのでは?そこから、周りが広がっていったという。

とらふぐ:やっぱ「クラブ廻り」してると鍛えられるんだよ、即興であろうがレコ〜ディングであろうが「素材」を磨く才能、センスは凄いと思うな。「ジョ〜ジ」は秀逸な「メロディメ〜カ〜」でありその点で評価してる(なんか偉そうなクチブリ)

HINE:ビートルズの中では何かとジョン・レノンがクローズアップされることが多いけど、ポールの方が後期なんかは本気でやってたし、1人でソロも出さないで、ビートルズのために黙々と名曲を作ってたのに、なんでなんだろうね〜?アビイ・ロードなんかポールの独壇場のような気がするけど・・・。
確かに「カム・トゥゲザー」とか「サムシング」とかジョンもジョージもインパクトのある名曲は残してるけどね。ポールが一生懸命足りない曲を作って埋めてたらしいよ。
ロックって当初は反体制的なものだったわけで、初期には音楽界の異分子だったビートルズも、しだいに周囲にもっと過激なロック・バンド達が現れて、普通になっちゃったんだろうね。中でもポールの存在が今見ると普通に見えるのかな?ロックをポピュラーにした張本人はポールだと思うんだけな〜そのへん、KKさんはどう思う!?

KK:その通りだと思うよ。よく“元祖は忘れられる”と言うから・・・時代の先を行っていたはポールだったのかな?今も現役なのも納得できる。でもポールは特別な事をやってるとは思ってないだろうな〜 それがこのメンバーと“バンド”として開花したのも、いい偶然だったのだろうけど。ジョンやジョージはもっと真のロック・ブルースを極めればよかったのかな?なんて。

とらふぐ:ポ〜ルには「ドサマワリで更に鍛えられたリバプ〜ルのヤンキ〜」
ジョンには「ヤンキ〜特有の変な一途さが変な方向に向かった変な人」
ジョ〜ジには「才能はあるのに、それに気付いた時にはビ〜トルズ」
リンゴ「そのドラミングはもっと評価されてもいいのに、あの人柄が・・」
みたいな「雑感」を持ってます(笑)それだけ

HINE:オレ的には、
ポール「必至に高い税金を収める愛国者でありながら、当の大英帝国で評価されない孤独な人」
ジョン「世界を愛し、人類みな兄弟を実践したが、愛に殺された人」
ジョージ「ビートルズをサイケな世界に誘ったドラッグ密売人であり、影の功労者」
リンゴ「カメラマンとしても評価されていいのに、あの人柄が・・」
はは(^_^;

2002.3




Please Please Me
EMI/東芝EMI

With The Beatles
EMI/東芝EMI

A Hard Days Night
EMI/Capitol/東芝EMI

Beatles For Sale
EMI/Capitol/東芝EMI

Help!
EMI/Capitol/東芝EMI

Revolver
EMI/Capitol/東芝EMI

Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band
EMI/Capitol/東芝EMI

ディスコグラフィー

1963年 Please Please Me(プリーズ・プリーズ・ミー)*わずか1日でレコーディングされたという公式デビュー・アルバム。全英29週連続1位
1963年 With The Beatles(ウィズ・ザ・ビートルズ)
*これも5日でレコーディング。全英22週連続No.1
1964年 A Hard Days Night(ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!)
*彼らが初主演した映画用のサントラ。当初日本盤は違うジャケットだった
1964年 Beatles For Sale(ビートルズ・フォー・セール)
*一番地味なアルバムだが、初期の音楽性を代表するような作品。日本盤タイトルはビートルズ'65だった
1964年 The Beatles' Second Album(ビートルズNo.2!)*日本でのセカンド・アルバム
1965年 Help!(4人はアイドル)
*主演映画第2弾のサントラ・プラス7曲。写真は英オリジナル盤だが、日本では下にHELP!のロゴが入った米盤仕様だった
1965年 Rubber Soul(ラバー・ソウル)
*フォーク・ロックを基盤とした前期の集大成。名曲オンパレード
1966年 Revolver(リボルバー)
*かなり実験的要素が強く、後期サウンドの布石ともなる作品
1967年 Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band(サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)
*サイケ色が強く、長い曲名でも有名
1967年 Magical Miytery Tour(マジカル・ミステリー・ツアー)
*前作をさらに押し進めたサウンド。映画にもなった
1968年 The Beatles(ザ・ビートルズ)
*個人的には彼らの最高傑作。クラプトンも名前を伏せて参加。あらゆる音楽とロックを結びつけた驚異の名作2枚組
1969年 Yellow Submarine(イエロー・サブマリン)
*同名のアニメ映画のサントラとしてりりースされた作品
1969年 Abbey Road(アビイ・ロード)
*ポール・マッカートニー色が強いが、B面のメドレーは圧巻
1970年 Let It Be(レット・イット・ビー)*本当はアビイ・ロードより早くレコーディングされていた音源を集めたラスト・アルバム
1970年 Hey Jude(ヘイ・ジュード)*アルバム未収録だったシングルの名曲寄せ集め集
1973年 The Beatles 1962〜1966(ザ・ビートルズ1962年〜1966年)*通称赤盤と言われる前期ベストの決定盤
1973年 The Beatles 1967〜1970(ザ・ビートルズ1967年〜1970年)
*こちらは青盤。簡単にビートルズを知るにはこれが1番
1988年 Past Masters Vol.1(パスト・マスターズVol.1)
*オリジナル・アルバムに入っていないシングル・コレクション
1988年 Past Masters Vol.2(パスト・マスターズVol.2)
*オリジナル・アルバムを持っている方にお薦め。これを買えばすべての音源が揃う
1995年 The Beatles Anthology(ザ・ビートルズ・アンソロジー)*25年ぶリの新曲「フリー・アズ・ア・バード」が全米2位の大ヒット。貴重音源集
1996年 The Beatles Anthology 2(ザ・ビートルズ・アンソロジー2)

1996年 The Beatles Anthology 3(ザ・ビートルズ・アンソロジー3)

2000年 The Beatles 1(ザ・ビートルズ1)*全英か全米で1位になった曲ばかりを収めたベスト。こんなアルバムが作れるのはビートルズだけだろう



Magical Miytery Tour
EMI/Capitol/東芝EMI

Yellow Submarine
EMI/Capitol/東芝EMI

Let It Be
EMI/Capitol/東芝EMI

The Beatles 1962〜1966
EMI/Capitol/東芝EMI

The Beatles 1967〜1970
EMI/Capitol/東芝EMI

The Beatles Anthology
EMI/Capitol/東芝EMI

The Beatles 1
EMI/Capitol/東芝EMI


★★★名盤PICK UP★★★

ラバー・ソウル
Rubber Soul

ザ・ビートルズ
The Beatles



1965年 EMI/Capitol/東芝EMI

SIDE-1
1.ドライヴ・マイ・カー
 
Drive My Car
2.ノーウェジアン・ウッド(ノルウェーの森)
 
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
3.ユー・ウォント・シー・ミー
 
You Won't See Me
4.ひとりぼっちのあいつ
 
Nowhere Man
5.嘘つき女
 
Think For Yourself
6.愛のことば
 
The Word
7.ミッシェル
 
Michelle

SIDE-2
1.消えた恋
 
What Goes On
2.ガール
 
Girl
3.君はいずこへ
 
I'm Looking Through You
4.イン・マイ・ライフ
 
In My Life
5.ウェイト
 
Wait
6.恋をするなら
 
If I Needed Someone
7.浮気娘
 
Run For Your Life

このアルバムは前期ビートルズの総決算的作品で、ロックのポピュラー化に大きく貢献した。それというのも、曲がすばらしく良いからに他ならない。サウンドには初期の単なるブリティッシュ・ビートからフォーク・ロック寄りにシフトし、加えて様々なアイデアが盛り込まれている。
ほとんどがレノン=マッカートニー名義の曲だが、このアルバムあたりから徐々にジョン・レノンとポール・マッカートニーの音楽嗜好の違いが明確になってきて、どちらの曲なのかが、少し聞いただけで判別できる。もちろん唄っている方の曲だというのは承知の事実なのだが、そういうことではなく、曲調を聞いただけでという意味だ。
ジョージの曲もあるが、まだその才能は開花していないようだ。
曲を個々に見ていくと、3拍子の一風変わった名曲「ノー・ウェジアン・ウッド」、イントロがコーラスから始まる「ひとりぼっちのあいつ」、息づかいまで歌詞にしてしまった「ガール」、クラシカルなキーボード・ソロで、トラッド音楽を想わせる「イン・マイ・ライフ」など、アイデアに満ちあふれている曲はすべてジョンの曲で、全体の中でもひときわ光っている。それにひき換えポールは、「ミッシェル」という不朽の名曲は残しているものの、ポップなメロディに適当なラヴ・ソングの歌詞を付け、少し安易な曲作りをしているようにも思える。当時ジョンが「おまえのは歌じゃない!」とポールに批判の言葉を浴びせていたのも頷ける。
しかし、そのメロディの良さは1曲たりとも外すことはなく、その点では充分評価されるべきものだろう。
ここで一つの音楽的ピークを迎えたビートルズ。並のバンドならこの後は守りに入り、飽きられるまでこの路線で突き進むはずだ。しかし、ビートルズはこの後も変化しつづけた。
ストーンズのように、ずっと変化しないまま人気を保つのも大変なことだが、変化しながら常にトップでありつづけるのはもっと難しい。
次なるアルバム「リボルバー」が新しい技術と手法・楽器などを大胆に取り入れた未知の作品であったのに対し、このアルバムでは既存の音楽の範疇で考えられ得る最大限のアイデアを駆使した、「素」のビートルズの最高傑作として位置づけたい。(HINE)



ザ・ビートルズ
(通称ホワイト・アルバム)
The Beatles

ザ・ビートルズ
The Beatles



1968年 EMI/Capitol/東芝EMI

SIDE-1
1.バック・イン・ザ・U.S.S.R.
 
Back In The U.S.S.R
2.ディア・プルーデンス
 
Dear Prudence
3.グラス・オニオン
 
Glass Onion
4.オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ
 
Ob-La-Di,Ob-La-Da
5.ワイルド・ハニー・パイ
 
Wild Honey Pie
6.コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル
 
The Continuing Story Of Bungalow Bill
7.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
 
While My Guitar Gently Weeps
8.ハッピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン
 
Happiness Is A Warm Gun

SIDE-2
1.マーサ・マイ・ディア
 
Martha My Dear
2.アイム・ソー・タイアード
 
I'm so Tired
3.ブラックバード
 
Blackbird
4.ピッギーズ
 
Piggies
5.ロッキー・ラックーン
 
Rockey Raccoon
6.ドント・パス・ミー・バイ
 
Don't Pass Me By
7.ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード
 
Why Don't We Do It In The Road?
8.アイ・ウィル

 I Will
9.ジュリア
 
Julia

SIDE-3
1.バースデイ
 
Birthday
2.ヤー・ブルース
 
Yer Blues
3.マザー・ネイチャーズ・サン
 
Mother Nature's Son
4.エヴリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー
 
Everybody's Got Something To Hide Except Me And MY Money
5.セクシー・セディー
 
Sexy Sadie
6.ヘルター・スケルター
 
Helter Skelter
7.ロング・ロング・ロング
 
Long,Long,Long

SIDE-4
1.レボリューション1
 
Revolution 1
2.ハニー・パイ
 
Honey Pie
3.サボイ・トラッフル
 
Savoy Truffle
4.クライ・ベイビー・クライ
 
Cry Baby Cry
5.レボリューション9
 
Revolution 9
6.グッド・ナイト
 
Good Night

2枚組のアルバムとしては音楽史上初のヒット・チャートNo.1を記録したこのアルバムは、サイケデリックを通過後、初心に返ろうとしたのか、真っ白なジャケットにTHE BEATLESというロゴが型押しされただけのシンプルな体裁でリリースされた。
これはある種「実験」がテーマのコンセプト・アルバムなのだが、実はメンバーもレコーディング期間もバラバラで、一部にエリック・クラプトンなどの外部ミュージシャンも起用しながら制作された。それにも関わらず、まとまるとこの通りの完成度。後からこの事実を知って、改めて彼らの非凡な才能に驚かされた。
当時ロック界では「ギターの神様」と崇め奉られていたエリック・クラプトンをしても、世界のスーパースターであるビートルズのアルバムへ参加するのは気が引けるとして一度は断ったらしい。しかし、ジョージの強力な要請により、名前をたしかエディ・クレイトン(?)という偽名でクレジットして参加していたらしい。
そのクラプトンが参加しているジョージの曲「ホワイル・マイ・ギター〜」では、自身のアルバムでも聞かせたことがないようなすばらしい泣きのギターを披露。発表後はすぐに「いったいこのすごいギターを弾く奴は誰だ!」と話題になり、あっという間にバレてしまったようだ。
アルバム全体に言えることは、ポールがジョンに迫るぐらいの実験的な曲を作り始め、2人の音楽性のバランスが同レベルになった。またジョージもやっと本来の持ち味を出した曲を作り始めたため、その曲たちも違和感がなく全体の中にとけ込み、2枚組でありながら1曲も棄て曲がないすばらしい仕上がりになったということだ。
SIDE-1から聴いていくと、この面は「つかみ」的な名曲が勢揃いしているが、同時にポールの完成度の高い実験曲も3曲収められている。飛行機の音を入れるという斬新なアイデアの「バック・イン・ザ・USSR」、カリプソのリズムを取り入れた「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」、またアドリブで1人で作ったというユーモア・センスのあふれる「ワイルド・ハニー・パイ」がそうだ。他の曲も秀作揃いで、曲順、曲構成ともに絶妙。あっという間に終わってしまう。
「ホワイル・マイ〜」は、ギターは泣いているという歌詞の通り、ジョージが泣きのギターを弾こうとしたが、うまくいかずクラプトンに助けを要請したもの。このアルバムには各面1曲づつ計4曲ジョージの曲が入っているが、どの曲も圭作で、レノン=マッカートニーの曲に少しも引けを取らない。おそらくインドで精神力を鍛錬したことで、自信がついたのではなかろうか。
SIDE-2は小作品的な曲がつづく。注目はポールの曲「ホワイ・ドント・ウィ・ドゥ〜」で、一説にはストーンズの「ストリート・ファイティング・マン」への返答歌とも言われている。ジョンもお気に入りの曲らしく、録音に間に合わなかったため、後で悔しそうにこの曲を口ずさんでいたという。
SIDE-3に入ると、がぜんハードさが増してくる。ストレートでシンプルなポールの曲「バースデイ」は理屈抜きに楽しめるタテのりロックの代表ソング。ちょっとひねりを加え、当時のイギリスのブルース・ブームを茶化した「ヤー・ブルース」はジョンらしい皮肉の効いた圭作。
そしてこの面最大のハイライトは、ヘヴィ・メタルの原型とも思えるハード&ヘヴィなポールの曲「ヘルター・スケルター」。ザ・フーに対抗して、最高にやかましくてダーティーなロックンロールを目指してやろうという狙いどおり、本当にやかましい(笑)。実際、後にLAメタルの代表バンド、モトリー・クルーにもカヴァーされていた。また、最後のリンゴの叫び声がカッコイイと前々から思っていたのだが、実は「指にまめができちまったよ」と叫んでいたのだと最近知り、かなり笑えた。
SIDE-4はジョンの独壇場。パンクの原型かと思わせる社会的メッセージソング「レボリューション1」から始まり、5曲目の「レボリューション9」ではプログレにも挑戦。まだキング・クリムゾンもデビューする前のことだ。すでにピンク・フロイドやフランク・ザッパに目を付け、そのサウンドを取り入れていたというのは驚きだ。
このようにSIDE-2の6のリング・スター作の曲も含め、全員で曲作りし、演奏も曲によっては入っていないメンバーがいたにも関わらず(ちなみに付け加えておくと、このアルバムのレコーディング中、リンゴは一度脱退し、すぐに3人に説得され引き戻されている)、同一のクオリティと方向性を持っていることには感服する。しかも2枚組というボリューム。ビートルズとしての最高作にして、今後2度と現れない奇跡の名盤といえるだろう。(HINE)



アビイ・ロード
Abbey Road

ザ・ビートルズ
The Beatles



1969年 EMI/Capitol/東芝EMI

SIDE-1
1.カム・トゥゲザー
 
Come Together
2.サムシング
 
Something
3.マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー
 
Maxwell's Silver Hammer
4.オー!ダーリン
 
Oh! Darling
5.オクトパス・ガーデン
 
Octopus's Garden
6.アイ・ウォント・ユー
 
I Want You(She's So Heavy)
7.ヒア・カムズ・ザ・サン
 
Here Comes The Sun

SIDE-2
1.ビコーズ
 
Because
2.ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー
 
You Never Give Me Your Money
3.サン・キング
 
Sun King
4.ミーン・ミスター・マスタード
 
Mean Mr Musterd
5.ポリシーン・パン
 
Polythene Pam
6.シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドー
 
She Came in Through The Bathroom Window
7.ゴールデン・スランバー
 
Golden Slumbers
8.キャリー・ザット・ウェイト
 
Carry That Weight
9.ジ・エンド
 
The End
10. ハー・マジェスティ
 
Her Majesty

ホワイト・アルバム以降、メンバーはバラバラにソロ活動を始め、メンバー間の関係も収拾のつかないほど険悪なムードが漂っていた。もういつ解散してもおかしくないという状況の中、ポールの呼びかけで、ゲット・バック・セッション(TV用にビルの屋上で行ったセッション)と呼ばれるライブ音源をレコーディングしたが、そのまま放置した状態で、メンバー関係が修復されることもなく、また各自ソロ活動へと戻ってしまった。
その後ついに大きな決断を心に秘めたポールは、スタジオ・アルバムの制作を皆に呼びかけた。
ジャケットは、それまでずっとレコーディングに使っていたアビイ・ロード・スタジオに背を向け歩いて行くという4人の姿が写し出された。これはポールのアイデアらしい。メンバー達は誰もがこれで終わりだと悟っていたようで、わずかの期間ながら、4人全員が久しぶりに揃った。プロデュースにはジョージ・マーティン、セカンド・エンジニアにはアラン・パーソンズという布陣でポール主導のもとレコーディングは開始されている。
全体を通して、ヴォーカルはジョンが5曲、ポールが8曲と、明らかにポールが多く曲を提供し、しかも全体的なバランスをみながら的確な作品を作ってフォローしていることが分かる。それほどまでに、ポールはビートルズというバンドに執着心があり、好きだったのだろう。
各曲を聞いてみると、まず1曲目にいきなりインパクトのあるジョンの曲「カム・トゥゲザー」が入っている。これ1曲で充分自分の存在感をアピールできるほどのすごい曲だ。まさに天才という言葉が相応しい。
ジョージは「サムシング」と「ヒア・カムズ・ザ・サン」という2曲の名曲を提供。こんなにいい曲を作れるのに、なぜ今まで・・・という感じだが、きっとメンバーの中では年下であったこと、ジョンとポールという偉大な作曲家を前に萎縮または遠慮があったのだろう。
ポールもまた「オー!ダーリン」という今や盗作されまくって、ほとんどロックンロールのスタンダードに近い名曲を生みだしている。リンゴも1曲提供し、SIDE-1ではソロの寄せ集め的な感じは否めない。
だが、SIDE-2はメドレー形式になった統一感のある大作で、ほとんどポールの独壇場だ。途中にジョンの曲も入っているが、それをうまくつなぐようにポールが編曲していると思われる。ビートルズとしての真のエンディング曲、「ジ・エンド」では、リンゴのドラム・ソロと他の3人のギター・ソロがポール→ジョージ→ジョンの順に入って、すべてを出し尽くしたという感じだ。10曲目のおまけトラックは余った曲をテープの最後に付けておいたら面白かったので、そのままユーモアで残したということだ。
このアルバムは素晴らしい出来で、傑作中の傑作には違いないが、ビートルズの・・・ということになると疑問が残る。
ポールの涙ぐましい努力があったからこそ完成した傑作なのだ。
この後、ジョンやジョージはすぐに次々とソロでヒットを生み出してゆくが、ポールはしばらく抜け殻のようになっていたことを考えると、このアルバムとビートルズのためにポールは全力を注ぎ、全てを出し切ったことが分かる。(HINE)