ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA(E.L.O.) エレクトリック・ライト・オーケストラ



No Answer
Harvest/Sony

Electric Light Orchestra II
Harvest/Sony

On the Third Day
Jet/Sony

Eldorado
Jet/Sony

The Night the Lights Went On
Warner/Epic Sony

Face the Music
Jet/Sony

A New World Record
Jet/Sony

ディスコ・グラフィー

1971年 Electric Light Orchestra *英だけのデビュー・アルバム。米では翌年「No Answer」としてリリースされた。
1972年 No Answer(オリジナル・ELO/踊るヴァイオリン群とエレクトリック・ロック、そしてヴォーカルは何処に)*上と同一作品
1973年 Electric Light Orchestra II(ELO 2)

1973年 On the Third Day(第三世界の曙)
1974年 Eldorado(エルドラド)
1974年 The Night the Lights Went On 〜In Long Beach(ELOライヴ)
1975年 Face the Music(フェイス・ザ・ミュージック)
1976年 A New World Record(オーロラの救世主)
1977年 Out of the Blue(アウト・オブ・ザ・ブルー)
1979年 Discovery(ディスカバリー)
1979年 ELO's Greatest Hits(グレイテスト・ヒッツ)
1981年 Time(タイム〜時へのパスポート)
1983年 Secret Messages(シークレット・メッセージ)
1986年 Balance of Power(バランス・オブ・パワー)
1987年 First Movement(ファースト・ムーブメント)
1990年 ELO Part II(銀河の探索者)
1994年 Moment of Truth(モーメント・オブ・トゥルース)
2001年 Zoom(ズーム)



Discovery
Jet/Sony

Time
Jet/Sony

Secret Messages
CBS/Sony

Balance of Power
CBS/Sony
ELO Part II
Crysalis/東芝EMI

Moment of Truth
Ultra Pop/ビクター

Zoom
Epic/SME

★★★名盤PICK UP★★★

アウト・オブ・ザ・ブルー
Out Of The Blue

E.L.O
Electric Light Orchestra

1977年 CBS/Sony

(SIDE-A)

1.ターン・トゥ・ストーン
 
Turn To Stone

2.哀愁の果て
 
It's Over

3.スウィート・トーキン・ウーマン
 
Sweet Talkin' Woman

4.国境の彼方
 
Across The Border

(SIDE-B)

5.ナイト・イン・ザ・シティ
 
Night In The City

6.スターライト
 
Starlight

7.ジャングル
 
Jungle

8.ビリーヴ・ミー・ナウ
 
Believe Me Now

9.ステッピン・アウト
 
Steppin' Out

(SIDE-C)

-雨の日のコンチェルト-
-Concerto For A Rainy Day-

10.雨にうたれて
 
Standin' In The Rain

11.ビッグ・ウィールズ
 
Big Wheels

12.サマー・アンド・ライトニング
 
Summer And Lightening

13.ミスター・ブルー・スカイ
 
Mr. Blue Sky

(SIDE-D)

14.スウィート・イズ・ザ・ナイト
 
Sweet Is The Night

15.ザ・ホエール
 
The Whale

16.バーミンガム・ブルース
 
Birmingham Blues

17.ワイルド・ウェスト・ヒーロー
 
Wild West Hero

E.L.O.の絶頂期の3作、つまり「オーロラの救世主」「アウト・オブ・ザ・ブルー」「ディスカバリー」は、どれも甲乙つけがたいほどの名作だが、中でも特にお薦めしたいのが、当時2枚組LPであるにも関わらず予約だけで400万枚を超えていた超ビッグ・ヒット・アルバムの本作だ。
「オーロラの救世主」では、オーケストラとしてはおそらく最小のユニットで、どこまで壮大なサウンド効果が得られるかという実験の完成型が聞けたし、「ディスカバリー」では、それをシンセサイザーに置き換え、新たな新境地を切り開いた。
その中間にある本作では、前作の成功を受けて、余裕と貫禄さえ感じさせるほど自身に満ちあふれ、それまでのサウンドの集大成的に仕上げている。通常のアーチストの場合、ヒット作の後はプレッシャーから畏縮するか、才能枯れで良い曲がかけなくなるものだが、このELOのリーダー、ジェフ・リンは、1人で作詞、作曲、プロデュースまでこなしているにも関わらず、前作以上に良い曲を書き、さらに多彩なサウンドを目指して様々な仕掛けを施している。まったく恐ろしいほどの才能と驚異的な精神力だ。しかも、そのやる事なす事がすべてが的中、まさにジェフ・リンがノリにノリまくっていた時期と言えるだろう。
曲のキャッチーさではおそらく「ディスカバリー」の方が上に感じるであろうし、確かにあちらも名曲ばかりだが、やはり本作には、エレクトロニクスではなく、本物のストリングスを導入しているという強みがある。サウンドの厚みや繊細さがまるで違う。

前置きが長くなったが、まず本作「アウト・オブ・ザ・ブルー」を初めて聞いてすぐに惹きつけられるのは、とてもポップでキャッチーな1曲目の「ターン・トゥ・ストーン」や5曲目(LPではB-1)の「ナイト・イン・ザ・シティ」あたりだろう。実際このアルバムを手にした当時も、この2曲が入っているLPの1枚目ばかりを聞いていた記憶がある。だが、数あるELOのアルバムの中でも、本作をその後一番長く愛聴している理由は、LPでは2枚目に当たるコンセプト・サイドのC面や、バラエティに富んだD面の構成に何度聞いても感心させられるからに他ならない。
-雨の日のコンチェルト-と題されたC面(10〜13)は、3人だけのストリングスが、あたかも大きなオーケストラで演奏しているような迫力を出し、ポップで分かりやすいメロディーにも関わらずスケール感と深みのある組曲にしている。
その他の注目曲もあげておこう。まるで映画のサントラでも聞いているような、めずらしいインストゥルメンタル・ナンバーの15「ザ・ホエール」は、海中や海のゆったりとした大きさうねりを感じさせるヒーリング(いやし)系サウンド。
ELO風ブルースとでも形容したくなる16.「バーミンガム・ブルース」は、ブルースにストリングスを加えるという、普通では考えられない手法をとりながらも、絶妙なアレンジで、これがまったく自然に解け合って聞こえてしまうから不思議だ。
最後を締めくくるバラードの17.「ワイルド・ウェスト・ヒロー」も名曲。さまざまな趣向をこらしたサウンド・コラージュ(張り合わせ)のような作品だ。緩急も自由自在、こういうサウンドは、ビートルズなき後、もう彼らの独壇場と言ってもいい。
全体を通して、その多彩な曲構成、アレンジ、メロディーの良さに圧倒される。そして、とてつもない才能をもったジェフ・リンには、ただただ驚かされるばかりだ。
このアルバムについて、もう1つ付け加えておくと、ジャケットと内ジャケットは共に日本が世界に誇るイラストレーターの長岡秀星(ながおかしゅうせい)が手がけている。秀星氏にとっても代表作の1つとしてこのアルバムは忘れることのできない作品だろう。(HINE)