CORVED AIR カーヴド・エア





Airconditioning
Warner Bros./ワーナー

Second Album
Warner Bros./ワーナー

Phantasmagoria
Warner Bros./ワーナー

Curved Air Live
Deram/ポリドール

ディスコ・グラフィー

1970年 Airconditioning(エア・コンディショニング)
1971年 Second Album(セカンド・アルバム)
1972年 Phantasmagoria(ファンタスマゴリア〜ある幻想的な風景)*ダリル・ウェイ(violin)在籍時では一番人気のサード
1973年 Air Cut(エア・カット)*天才少年エディ・ジョブソンを迎えた最高傑作
1975年 Curved Air Live(カーヴド・エア・ライヴ)
1975年 Midnight Wire(ミッドナイト・ワイアー)
1976年 Airborne(空中漂流)
1990年 Lovechild(ラヴチャイルド)*エディ・ジョブソン(violin,key)加入後の1972年に録音されていた未発表音源集
1992年 Stark Naked
1995年 Live At The BBC 

2000年 Alive,1990 
*再結成ライヴ



Midnight Wire
BTM/ポリドール

Airborne
BTM/ポリドール

Lovechild
Castle/ベル・アンティーク

Alive,1990
Mystic/ヴォイスプリント・ジャパン


◆◆◆名盤PICK UP◆◆◆

エア・カット
Air Cut

カーヴド・エア
Curved Air



1973年 Warner Bros./ワーナー

SIDE-1

1.紫のスピード・クイーン
 The Purple Speed Queen

2.エルフィン・ボーイ
 Elfin Boy

3.メタモーファシス
 Metamorphosis

4.ワールド
 World

SIDE-2

1.アーミン
 Armin

2.U.H.F.
 U.H.F.

3.トゥー・スリー・トゥー
 Two-Three-Two

4.イージー
 Easy

ここ数年の間に、リアルタイムで聞き逃した70年代のアーチスト達を相当数発掘して聞いている。一般に名盤と言われているロック系アルバムはほぼすべて聞いただろう。もちろんカーヴド・エアもある程度名の知れたバンド、何枚かは聞いてみたが、なぜこんなに根強い人気があるのかは、ずいぶん長い間分からないでいた。
それもそのはず、実は長い間CD化されていなかったアルバムに、このバンドの最高傑作が隠されていたのだ。なんでも、複雑な契約問題の関係からCD化できないでいたらしい。実にもったいないことだ。
とにかくこのアルバム、もうのっけから他のアルバムとはサウンドがまるで違う。
ファースト〜サードのような実験的要素もなければ、後期のようにへんなシングル・ヒット狙いもない。一言で言えば、玄人好みの精巧さと一般受けするポップさがバランスよく入り交じった完成度の高いアルバムだ。
ソーニャのやさしく澄んだ歌声も、このアルバムでやっと生かされたような気がする。
こういったすばらしいサウンドを創り出すことができたのは、言うまでもなく、若き(当時)天才ヴァイオリニスト&ピアニスト、エディ・ジョブソンの力によるところが大きい。
当時まだ10代だったであろうエディは、ヴァイオリン、キーボードはもちろんのこと、作曲能力もすばらしく、このアルバムが初参加であるにも関わらず、すでにリーダー格的な働きをし、絶対的な自信に満ちあふれていた。
エディは、前任者ダリル・ウェイ(voilin)のことを、「ヴァイオリンの本質を見失った魅力ないものだ」とまで言い切る。この発言は少々生意気だと感じるだろうが、このアルバムの音を聞けば、ぐうの音も出ない。
激しく情熱的に弓を弾く場面や、やさしく語りかけるように弾く場面、ヴァイオリンの持つ魅力を最大限に生かしきった演奏で、とても説得力がある。
尚、この時のメンバーでこのアルバムを作る時点、あるいはそれ以前にレコーディングされていた曲を集めたアルバムが1990年になってから突然リリースされている。寄せ集めなので、もちろんアルバムとしてのまとまりはないものの、各曲の出来はかなりいい。そのボツになった曲を集めたアルバム「Lovechild」ですら相当良いのだから、それを聞いたことのある方なら、「エア・カット」がどんなに素晴らしいかが予想できるだろう。
2004年、めでたくこの「エア・カット」がCD化され、紙ジャケ&リマスター盤としてリリースされた。この機会にぜひ、まだ聞いていない方も、この埋もれていた名盤を楽しんでいただきたい。(HINE)