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4000週間のご無沙汰でした!! / イアン・デューリー
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2007年11月12日 23時39分
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このアルバムも、私が紙ジャケ・リィシュー盤を待ち望んでいた作品である。
そもそもイアン・デューリーのCD自体、殆ど廃盤になっていて輸入盤でもなかなか“お目にかかれない”のだ。
そんな事だから、このリィシュー盤をCDショップで見つけた時は思わず「おおっ、4000週間ぶりのご無沙汰でした!!」と叫んだのでした。(心の中で)
実際、このアルバムを私がアナログ盤で購入したのが1984年の春だから、4000週間はオーバーだとしても1230週間位ご無沙汰だった事になる。
私がイアン・デューリーを知ったのは、エルヴィス・コステロやニック・ロウが在籍していた「スティッフ・レーベル」から アルバムを発表していた事がきっかけでした。
いわゆる「パブ・ロック」と言われるジャンルに属する彼の音楽ですが、コステロやニック・ロウに比べると「場末の酒場」の臭いがプンプンする不良のイメージ。それでいて少し悲哀を感じさせてくれるロックン・ロールが魅力で、ドクター・フィールグッドに近い印象。
おまけに、デビュー曲のタイトルが「Sex,Drags&Rock'n Roll」ときているんだから、もぅカッコイイたらありゃしない。
7歳の時に小児マヒを患い「義手・義足」という障害が有るにもかかわらず、そのハンデキャップを全く感じさせないステージ・パフォーマンス。
YouTubeで昔のライヴを見ると小柄な身体で有りながら、モノ凄い存在感を発揮しています。
それと独特の絞り出すような「ダミ声」。これ程までに威圧的で迫力有る声にもかかわらず、ファンク・グルーヴに乗っかるとこの声が実に気持よく心に響くのです。
この「4000週間のご無沙汰でした/4,000 Weeks Holiday」は「スティッフ・レーベル」から離れ、メジャーの「ポリドール」移籍後2作目になる作品で、以前の作品に比べてロック色が薄れ、ファンク色が強化されて音が非常に洗練された印象を受けます。
イントロのスラップ(チョッパー)ベースがカッコいい@(ユア・マイ)インスピレイション。ホーン・セクションと女性コーラスがファンキーな世界に誘います。
哀愁帯びたメロディと間奏のトロンボーンが印象的なAフレンズ。このアルバムのベスト・トラックと言えるCピーター・ザ・ペインター。韻を踏んだ歌詞がいかにもデューリーらしいEパーシー・ザ・ポエット。ドスの効いたヴォーカルがしびれるFヴェリー・パーソナル。
そして、このアルバムでどうしても聴きたかったのがGテイク・ミー・トゥ・ザ・クリーナーズ(邦題は洗濯屋へ連れてって)。この洗濯屋ケンちゃん(んっ?!)のポップでキャッチーなメロディとデューリーのダミ声をやや控えめにしたどこか楽しげなヴォーカル、そして弾むスラップ・ベースの音が20年以上たった今でも深く私の耳にこびりついており、コインランドリーで自分の服を洗濯しながら、カセット・ウォークマンでこの曲を聴いていた当時を、懐かしく思い出させてくれました。
ただ、このアルバムは期待されたセールスを上げる事が出来ず(最高位53位)彼はこの後、音楽活動から遠ざかってしまうのでした。
残念ながらイアン・デューリーは2000年3月に胃がんで他界(56歳の若さで!)してしまったのですが、彼の音楽がこうして何年経っても色褪せず、私に元気を与えてくれるのが本当に嬉しく思います。
日本での評価は非常に地味なものでしたが、私の記憶に強くインパクトを残してくれた素晴らしいアーティストでした。合掌・・・。
(OASI-Z)
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