Rock Princess

WISH YOU WERE HERE
(邦題:炎(あなたがここにいてほしい))



(1975年発表)
(全英チャート:1位)(全米チャート:1位)
(SONY:SRCS-65560)



1,クレイジー・ダイヤモンド(第1部) Shine On You Crazy Diamond(Part1)
2,ようこそマシーンへ Welcome To The Machine
3,葉巻はいかが Have A Cigar
4,あなたがここにいてほしい Wish You Were Here
5,クレイジー・ダイヤモンド(第2部) Shine On You Crazy Diamond(part2)



 前作「狂気」の空前のレコードセールスは、フロイドのメンバー達に「苦悩」を授ける形になってしまった。「狂気」を越えるアルバム製作を期待する周囲からのプレッシャー、新曲を海賊盤にとられてしまい、そのアルバムが好セールスを記録してしまう。実験的に作ったアルバムの中止(ハウスホールド・オブジェクツ)、ニック、ロジャーの結婚生活の破綻、完成前のマスターテープが消去されてしまう等、、、。
 本作はアビィロード・スタジオで録音された。曲はバンド全員のクレジットがあるが、作詞は全てロジャーとなっている。
 ジャケットは「火・水・地・空」と「その場所にいない人」を象徴したデザインだ。(燃えているのに普通に握手している人=つまり、ここにいない。水に飛び込んでいるのに水面に波がたたない、風にたなびくスカーフに全裸の女性が隠れている、砂漠の男は透明等)初回盤は黒いビニールに覆われており、ステッカーが貼られている物だった。レコードも「ここに、いない」を狙っており買った人が自宅でビニールを破ってはじめて姿を現す、、、、というのを考えていたそうだが、ほとんどのファンはそのままで保存してしまっていた。
 因みに邦題の「あなたが、ここにいてほしい」はメンバー自らが日本側に指定してきたもの。
 (1)は元々1曲の大作だったが、本作では2部構成となっている。この曲のミキシングの最中にシド・バレットがスタジオに現れるという事件があった。この曲自体、シドに関するものだと言われている。また、当初メンバーは最初の録音バージョンが気に入らずセカンドバージョンをとったのだが、誰かが間違えてエコーをかけてしまい、使い物にならなくなり再度レコーディングするハメになっている。
 (3)はヴォーカルの声域がロジャーに合わない為、デイヴに歌わせようとしたが「歌詞が気に入らない」という理由で断る。結局、同じレーベルのロイ・ハーパーがヴォーカルをとっている。この件に関してロジャーは「ロイに歌ってもらおうって言ったら「名案だぜ!」ってあいつら言いやがる。もう、すでにバンドじゃないよな。悲しいよ。俺が歌えばよかったんだよな」
 この曲の歌詞中に「ところで、誰がピンクさんだい?」という一節があるが、これは実際にアメリカのレコード会社の重役が口にしたセリフである。つまり彼らなりの皮肉ですな。
 (4)はフロイドにしては珍しい歌詞が先に出来た曲。この曲の最後は風の効果音で終わるが、その数小節で聴かれるヴァイオリンの音は、有名なジャズヴァイオリニストのステファン・グラッペリによる。たまたまアビィロードでレコーディングしていた所で参加したらしい。ギャラは300ポンドとのこと。 (FIXX)

 精神錯乱を起こしてしまった初期リーダー、シド・バレットをオマージュにしたという75年発表の
本作は、しかし普遍的な人間像にもあてはまるようにコンセプチュアルに構築されている。これは『狂気』で手にしたコンセプト性のひとつの結実だろう。生きる虚しさ、その虚無を越えたどこかに、何かがある。いや、ありそうな気がする。だから人は前進する。「狂ったダイアモンド」も「あなたがここにいてほしい」も、人間像のひとつだ。認めよ、我は無力であると……。 (KEN)


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