|
|
|
ナイトウィッシュが生まれたのは1996年のこと。キーボード・プレイヤーであり、実質バンドの中心人物であるツォーマスが、まだ故郷のフィンランドKiteeで臨時教師をしていた頃の話だ。彼はまず3曲のアコースティック・ナンバーを書き上げ、それをレコーディングするために、地元の友人でギタリストでもあるエンプに声をかけた。エンプは、やはり地元kiteeで生まれ育ちクラシック・ヴォーカルと演劇を学んでいたターヤも誘い込み、3人でデモ・テープのレコーディングを開始した(エンプがベースとギターを兼任)。
98年12月にリリース(日本では99年3月)となったこのセカンド・アルバム「オーシャン・ボーン」での彼らは、前作とは比較とならないほどの成長を遂げ、曲の良さやサウンド・アレンジ面でも大幅に前作を上回っていた。特にターヤのオペラ的歌唱法をうまく利用し、悪魔の語り手と思われる男の太い声との掛け合いを繰り広げさせた3曲目「デヴィル&ディープ・ダーク・オーシャン」や、5曲目の「パッション・アンド・ジ・オペラ」の後半に出てくる、オペラ歌手の発声練習のような部分を取り入れたセンス、また、北欧系の民謡をうまく取り入れた7曲目のインストゥルメンタル・ナンバー「ムーン・ダンス」などは本当に素晴らしい。しかしながら厳しい見方をすると、それでもまだスケール感が並のバンドと言わざるを得ないのも事実で、使用機材などのせいもあろうが、シンセサイザーやストリングスの音が、よくあるB級北欧メタル風でプアーなのだ。 売れたことにおごることなく、次にもっと良い音楽を作るために機材や環境を整え、それをフル活用して次に臨む彼らの姿勢は、ロック・ミュージックに対してフィンランドという欧米に比べれば決して恵まれた環境ではないからこそ生まれる、ハングリー精神のようなものかもしれない。彼らの理想は高く、それを実現するために稼いだお金はすべて機材やレコーディングのためにつぎ込んでいる印象だ。 音源提供協力:HIROさん 情報提供協力:まっちゃん |
![]() Angel Fall First spinefarm/トイズファクトリー |
![]() Oceanborn spinefarm/トイズファクトリー |
![]() Wishmaster spinefarm/トイズファクトリー |
![]() Over The Hills And Far Away spinefarm/トイズファクトリー |
![]() Centurey Child spinefarm/トイズファクトリー |
|
ディスコ・グラフィー 1997年 Angel Fall First(エンジェル・フォール・ファースト)*随所に後の彼らのサウンドが見え隠れするが、かなり素人っぽさが残るデビュー作 |
| 1.ダーク・チェスト・オブ・ワンダーズ Dark Chest of Wonders 2.ウィッシュ・アイ・ハド・アン・エンジェル 3.ニモ 4.プラネット・ヘル 5.クリーク・メリーズ・ブラッド 6.ザ・サイレン 7.デッド・ガーデンズ |
8.ロマンティサイド Romanticide 9.ゴースト・ラヴ・スコア 10.クオレマ・テキー・タイテイヤン(デス・メイクス・アン・アーティスト) 11.ハイアー・ザン・ホープ 12.ホワイト・ナイト・ファンタジー 13.リヴ・トゥ・テル・ザ・テイル |
|
| 初めてこのアルバムを聞いたとき、そのサウンド・スケールの大きさやターヤ(vo)のオペラ歌手そのままの歌声に驚いたと共に、70年代に活躍した(今も再結成して活動しているが)プログレッシヴ・ロックの名バンド、「ルネッサンス」を思い起こした。もし、ルネッサンスがラウドロック全盛の今現れたらこんな感じになっていたのだろうかと・・・(ルネッサンスのアニー・ハズラムもオペラ出身)。まさにヘヴィメタル+オペラ。かつてフレディ・マーキュリー(クイーン/vo)はソロで本物のオペラ歌手と共演し、ロックとオペラをうまくた融合させたアルバムを出しているが、ナイトウィッシュはそれよりもっとハード&ヘヴィに、オペラティックなシンフォニック・サウンドとヘヴィメタルの融合にチャレンジしている。 そして、このアルバムが実質その完成型ともいえるのだが、惜しくもヴォーカルのターヤがこれを最後に脱退してしまい、彼ら自身もう二度とこの素晴らしいサウンドを再現できないのは残念でしかたがない。 確かに次のアルバム「ダーク・パッション・プレイ」も普通にみれば文句の付けようがないくらい素晴らしい名盤だろう。新ヴォーカルのアネットも、何でも歌いこなせる優れた資質を持っている。しかしながら、ターヤ+ナイトウィッシュという組み合わせには、それ以上の神秘的な魅力を感じるのだ。それはターヤの放つ強烈な個性による「魔力」とでも表現するしかない。そして、そのターヤの声とマルコ・ヒエタラの荒々しいメタル・ヴォイスとの相性がまた抜群に良かった。バンドリーダーであるツォーマスが創り出す曲も、ターヤの声を最大限に生かすべく考え抜かれたものだ。その証拠に、相性の悪いポップな曲(曲自体は良い出来)はあえて外され、ボーナストラックとなっている。 本作の曲についても、少しかいつまんでだが触れておこう。まず1曲目は前作までの流れを汲むアップテンポでハードな曲。イントロだけでもうやられた感じだ。オーケストレーションの使い方も素晴らしい!初期にはシンセだけでかなりチープな音を出していたオーケストラ風のバックも今では本物のオーケストラになり、重厚感ではあのラプソディに肩を並べるまでに成長した。 |
||