STATUS QUO ステイタス・クォー


(HINE)




Picturesque Matchstickable Messages From The Status Quo

Pye/Castle

Ma Kelly's Greasy Spoon
Pye/Castle

Dog Of Two Head
Janus/Pye/Castle

Piledriver
Vertigo/A&M

Hello !
Vertigo/A&M
日本フォノグラム

Quo
Vertigo/A&M

Blue For You
Vertigo/A&M

DISCOGRAPHY

1968年 Picturesque Matchstickable Messages From The Status Quo(ピクチャーズ・オブ・マッチスティック・メン)
1969年 Spare Parts

1970年 Ma Kelly's Greasy Spoon(ケリーの油塗りスプーン)

1971年 Dog Of Two Head(ドッグ・オブ・ツー・ヘッド)
1973年 Piledriver(パイルドライヴァー)

1974年 Hello !(ハロー)

1974年 Quo(クォー)

1975年 On The Level (オン・ザ・レヴェル)
1976年 Blue For You

1977年 Tokyo Quo
1977年 Quo+Live !

1977年 Rockin' All Over The World

1978年 If You Can't Stand The Heat

1979年 Whatever You Want

1980年 12 Gold Bars
1980年 Just Supposin'
1981年 Never Too Late
1982年 1+9+8+2
1983年 Back To Back
1984年 Live At The N.E.C.
1984年 12 Gold Bars Vol.2
1986年 In The Army Now
1987年 Ain't Complaining
1989年 Perfect Remedy
1990年 Rocking All Over The Years(ロッキング・オール・オーヴァー・ザ・イヤーズ)
1991年 Rock 'Till You Drop
1992年 Live Alive Quo
1994年 Thirsty Work
1996年 Roll Over Lay Down
1996年 Don't Stop
1997年 Whatever You Want- the Very Best Of Status Quo
1999年 Under The Influence
2000年 Famous In The Last Century
2002年 Heavy Traffic
2003年 Riffs
2004年 Xs All Areas



Quo+Live !
Vertigo/Captol

Rockin' All Over The World
Vertigo/Captol

Just Supposin'
Vertigo/Captol

Never Too Late
Vertigo/Captol

1+9+8+2
Vertigo/Captol

In The Army Now
Phonogram

Heavy Traffic
Universal


★★★名盤PICK UP★★★

オン・ザ・レヴェル
On The Level

ステイタス・クォー
Status Quo

1975年 Vertigo/Captol/Phonogram

SIDE-A

1. LITTLE LADY(Parfitt)

2. MOST OF THE TIME(Rossi/Young)

3. I SAW THE LIGHT(Rossi/Young)

4. OVER AND DONE(Lancaster)

5. NIGHTRIDE(Parfitt/Young)

SIDE-B

1. DOWN DOWN(Rossi/Young)

2. BROKEN MAN(Lancaster)

3. WHAT TO DO(Rossi/Young)

4. WHRERE I AM(Parfitt)

5. BYE BYE JOHNNY(Berry)

 彼らの音楽を聴くのに細かい理屈などはいらない。何も考えずひたすらノリノリで聞けばいいのだ。ステイタス・クォーというバンドを説明する時、よく「ハード・ブギー1筋30年」なんていうフレーズが使われるが、いくらなんでもそれは言い過ぎで、実際にはハード・ブギーばかりやってきたのではなく、彼らとて紆余曲折して今日がある。しかしながら、やはり一番分かりやすいイメージとなると、「ステイタス・クォー=ハード・ブギー」ということになる。そういう意味でも、本作はそのイメージにピッタリなクォー入門的作品と言えるだろう。
 何しろこのアルバム、1曲目からノリノリのハード・ブギーだらけで、ラストのBye Bye Johnnyまで一直線、流して聞いているとあっという間に終わってしまう。全体的にはポップでメロディーも覚えやすく、各曲ともシングル・ヒットが狙えそうなほどコンパクトにまとめられている。実際、本作は「ダウン・ダウン」が大ヒット(全英1位)したこともあり、クォーの全作品中でも最も成功したアルバムだろう。ちなみにこの時期のクォーは「ハロー」から、「クォー」、本作「オン・ザ・レヴェル」、「ブルー・フォー・ユー」まで、すべて全英初登場1位という快挙を成し遂げている。まさに彼ら自身ノリノリ状態であった。出世3部作と言われる「パイル・ドライヴァー」「ハロー」「クォー」で人気を決定的にした後のダメ押しとも言える本作は、以降何十年も間「最強のブギー・バンド」として君臨するための決定打となったのではないだろうか。
 しかし、これだけの成功をイギリスで収めながら、アメリカではまったくといってよいほど、クォーは話題にも上らなければヒットチャートにも顔を出さない。同じハード・ブギー・バンドとしてアメリカで成功したフォガットに対して、何故彼らはアメリカでうけないのか?その答えのヒントも、このアルバムに隠されているような気がする。これほどゴリ押しのブギーをやっていながらも、クォーのサウンドはフォガットなどに比べ実にスマートで、なんとなく品格さえ漂わせているようにも思える。スピード感もあり、歯切れもよく、随所にはブリティッシュ・トラッドのエッセンスまでちりばめられている。しかし、これらはすべてアメリカではマイナス要素になってしまう。アメリカではもっと泥臭く粘っこい重厚感のある音と、荒々しい演奏が好まれる傾向にあるのではないだろうか。
 クォーはそのようにアメリカではずっと泣かず飛ばずであったので、全盛期でもあまりお店でレコードを見かけることはなかったし、雑誌などでの情報もあまり入ってこなかった。このアルバムも当時は近所のレコード店で捜しても見つからず、しかたなく輸入盤を見つけて購入したものだ。
 聞いてみようと思ったきっかけは、彼らの代名詞であるハード・ブギーとはいったいどんなサウンドなんだろうという疑問からだった。そして、このアルバムを聞いてみるなり、そのカッコ良さに1発で打ちのめされると共に、「あ〜、これがハード・ブギというやつなんだ・・・」と妙に納得し、以降自分の中でも「ハード・ブギー=クォー・サウンド」になってしまっている。
 聞き所はもう1曲目から全部なので、あえて各曲ごとの解説はしないが、特に疾走感のある1曲目「Little Lady」からメドレーのように流れ込む2曲目「Most Of The Time」の(アイリッシュ?)トラッド・ミュージックっぽいイントロへの流れと、その後のハード・ブルースへの展開。そして、文句なくノリまくれるA-3「I Saw The Light」A-4「Over And Done」、B-1「Down Down」、B-3「What To Do」。アルバム中でも異色なのはウイッシボーン・アッシュを想わせるB-2「Broken Man」やB-4「Whrere I Am」。ラストはチャック・ベリーの曲をハードにアレンジした力作。
 尚、ジャケットは、数々の名カヴァー・アートを残しているキーフによるもの(ただし、この作品はあまり有名ではないが)。
 繰り返すようだが、クォーのサウンドに触れたことがない方やハード・ブギーとはどんな音楽なのかを知りたい方は、ぜひ最初にこのアルバムを聴くことをお薦めする。(HINE)