SPANDAU BALLET スパンダー・バレエ


トニー・ハドリー Tony Hadley/ヴォーカル
ゲイリー・ケンプ Gary Kemp/ギター
マーティン・ケンプ Martin Kemp/ベース・ギター
スティーヴ・ノーマン Steve Norman/サックス、パーカッション
ジョン・キーブル John Keeble/ドラムス



Journeys To Glory
Chrysalis /東芝EMI

Diamond
Chrysalis /東芝EMI

Parade!
Chrysalis /東芝EMI

Through the Barricades
Epic/Sony

Heart Like a Sky
Epic/Sony

Live from the N.E.C
Sony/BMG

DISCOGRAPHY

1981年 Journeys To Glory(ジャーニーズ・トゥ・グローリー)
1982年 Diamond(ダイアモンド)

1983年 True(トゥルー)

1984年 Parade(パレード)

1986年 Through the Barricades(スルー・ザ・バリケーズ)

1989年 Heart Like a Sky(ハート・ライク・ア・スカイ)

2005年 Live from the N.E.C 
*1986年のライヴ。CD2枚組


◆◆◆名盤PICK UP◆◆◆

トゥルー True / スパンダー・バレエ Spandau Ballet  1983年 Chrysalis /東芝EMI
1.プレジャー Pleasure
2.コミュニケイション Communication
3.コード・オブ・ラヴ Code Of Love
4.ゴールド Gold
5.ライフライン Lifeline
6.ヘヴン・イズ・ア・シークレット Heaven Is A Secret
7.ファウンデーション Foundation
8.トゥルー True
 デュランデュランと並ぶニュー・ロマンティックスの旗手・・・と言っても、今ではもうほとんど知る人も少ないと思うが、80年代初頭のイギリスでは確かにそうだった。しかし、デュランデュランがそうであったように、彼らスパンダー・バレエも、しだいに脱アイドル化を果たし独自のサウンドを切り開いていった。そして、その成果がいっぱい詰まった最高傑作こそ本作「トゥルー」なのだ。8曲しかない各曲はすべて名曲揃い、ひとことで表現すれば大人の雰囲気が漂うダンサブルなAORといったところだろうか。そういう意味では同時期に活躍したABCとサウンド的に共通するところもあるが、スパンダー・バレエの場合は、もう少し控えめでソウルフル。今言うところの「癒し系」なところもある。

1.はトニー・ハドリーのヴォーカルが引き立つようなシンプルでソウルフルなダンサブル・ナンバー。このアルバム全体の雰囲気を象徴するようなナンバーでもある。途中のホーン・アレンジは、前作製作途中で仲違いしたトレバー・ホーンからの影響もちらつくが、彼らはそれさえもどん欲にうまく取り入れ、自分たちのものとしている。

2.は、本作中1番ポップな曲。シングルにもなり全英12位/全米59位を記録している。

3.は、ミディアム・テンポのどこかもの悲しいナンバー。こういう曲調ではもうトニーのヴォーカルの独壇場。艶やかで透き通ったトニーの声がどこまでもこだまするようだ。

4.は、全英2位/全米29位の大ヒットを記録した名曲。メンバーに専任のサックス&パーカッショニストを抱えていることも強くアピールし、適材適所で各メンバーが実力を発揮した、バンドの総合力を生かし切った曲でもある。とにかく曲も良し演奏も良し、まったく隙がない。

5.LPで聞くとここでB面へ移る。CDだとあまり分からないが、盤を裏返し新鮮な気分で聞く1曲目に相応しいライト・ポップ・ナンバーだ。全英7位を記録するシングルにもなっている。

6.アップテンポで少しファンキー。普段あまり目立たないベースのマーティンもここではチョッパーを多用しノリノリだ。パーカッションも効果的に入ったなかなかなの圭作。

7.アルバム中一番アップテンポでエレ・ポップ風な演奏でもあるが、トニーのエモーショナルなヴォーカルが、ただのエレポップにはさせない表現力を持っている。

8.全英No.1/全米No.4に輝いた、スパンダー・バレエ最大のヒット曲。とてもシンプルなスローバラードなのだが、それだけにトニーのセクシーなヴォーカルが際立ち、「True〜」と一声発しただけでもグッとくる。途中に入るスティーヴ・ノーマンのサックス・ソロがまた都会の夜にこだまするようで、曲全体が持つモダンでアダルトな雰囲気を助長する。
スパンダー・バレエの歴史上こういったスロー・バラードは珍しい方なのだが、それでもこの1曲が彼らのバンド・イメージを決定づけてしまうほどのインパクトを持っている。

 最大の名曲が最後にくるなどということは今では考えられないことだが、8曲しかないからこそ、この構成が生きてくる。最後にじわ〜っと感動と余韻を残しつつ終わる。そして、また改めて聞きたくなるという寸法だ。
CD時代になった今では平気で15曲〜16曲という曲数が入っているが、リスナーは半分ぐらい聞いたところで疲れてしまう。そこで、最初の1曲目〜3曲目あたりまでに良い曲を集中させ、後半は捨て曲で埋めるというのが主流だ。これではリスナーもアルバム全体を聞く気にはまったくなれない。
 最後に1番良い曲を持ってくるということは、そこまでリスナーを飽きさせずに聞かせる自信があるということの現れであり、実際多くの曲の中から絞り込まれた名曲だけを選りすぐり、さらに演奏に至るまで考え尽くされた結果なのであろう。
 80年代以降はこういったアーティスティックな面を持ったアーティストがめっきり減ってしまったが、当時にあって、新しいサウンドでありながら、こうした70年代以前のアーティスティックな精神を伝えるバンドとして彼らを大きく評価したい。(HINE)