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(HINE)2006.4 |
Climax Chicago Blues Band Parlophone |
Plays On Parlophone |
A Lot Of Bottle Harvest |
Tightly Knit Harvest |
Rich Man Harvest |
FM/Live Polydor |
Sense Of Direction Polydor |
DISCOGRAPHY 1968年 Climax Chicago Blues Band 1969年 Plays On 1970年 A Lot Of Bottle 1971年 Tightly Knit 1972年 Rich Man 1974年 FM/Live 1974年 Sense Of Direction 1975年 Stamp Album 1976年 Gold Plated 1978年 Shine On 1979年 Real To Reel 1980年 Flying The Flag 1981年 Lucky For Some 1982年 Sample And Hold 1984年 Loosen up 74/76 1987年 Couldn't Get It Right 1988年 Drastic Steps 1995年 Blues from the Attic 2003年 Big Blues (The Songs Of Willie Dixon) 2005年 The River Sessions |
Stamp Album BTM |
Shine On BTM |
Real To Reel BTM |
Flying The Flag Warner Bros. |
Lucky For Some Warner Bros. |
Sample And Hold Virgin |
Drastic Steps Clay |
1.Together and Free 2.Mighty Fire 3.Chasing Change 4.Berlin Blues 5.Couldn't Get It Right 6.Rollin' Home 7.Sav'ry Gravy 8.Extra |
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クライマックス・シカゴ・ブルース・バンド〜クライマックス・シカゴ〜クライマックス・ブルース・バンドを通して、おそらく日本で最も人気のあるアルバムは「FMライヴ」なのだろう。70年代から彼らを聞いていた自分なども彼らの代表作はずっと「FMライヴ」だと信じてきた。少なくとも古くからのファンの間でそれは間違いないところだろう。しかし、近年他のアルバムを聞き返していてみて、ある疑問が沸いてきた。 70年代半ば当時、自分が求めていたものはブリティッシュ・ブルースという音楽そのもので、別にそれはチキン・シャックでも、フリートウッド・マックでも、サヴォイ・ブラウンでも誰でも良かったのではないか?、すでに皆そういった人たちは全盛期を過ぎリアルタイムでは聞けなかったため、まだ元気だったクライマックス・ブルース・バンドに最後の期待をかけ聞いていただけだったのでは?・・・と。 しかし、もしかしたら、クライマックス・ブルース・バンド独自の魅力とは別のところにあり、それを当時は聞こうともしていなかったのかもしれない。 正直、当時は「こんなのクライマックス・ブルース・バンドじゃない」と思っていた本作「Gold Plated」を久しぶりに聞いてみて驚いた。かなりポップで、ディスコ調の曲すらあるのに、これは紛れもなくクライマックス・ブルース・バンドなのだ。 思えば、昔から彼らのアルバムには少々ポップな曲も入っていた。例えば初期の「Tightly Knit」でも「Towards The Sun」、「That's All」などの異色曲が入っていたし、「Rich Man」でも「You Make Me Sick」などはかなりキャッチーなメロディーだ。 だが、それらの曲は当時でも決して嫌いではなかった。というより、ベタベタのブルースばかりよりはアクセントとしてそれらの曲が入っていた方が良かったのだ。 そうして思いも新たに本作「Gold Plated」を聞き返してみると、けっこうピート・ヘイコックのギターもバリバリに弾いていてかっこいいし、コリン・クーパーのサックスも、むしろこういったサウンドの方が水を得た魚のように生き生きとしている。 ポップな音楽性も、「Rich Man」あたりからのへんな方向性のポップさよりはむしろ、あくまでブルースを基盤とした骨太のサウンドを貫いたポップさで好印象だ。なぜ今まで気がつかなかったのだろう・・・と、今更ながら当時の自分に反省さえする。 全8曲、無駄な曲など一切無い。これこそ彼らにしか到達できなかったブルースロックとポップスの融合。曲自体はポップでキャッチーながらも、演奏の聞かせどころはちゃんと聞かせる、一般のファンもブルース・ロック・ファンも納得の名盤だったのだ。それをちゃんと評価できたアメリカでは、全米アルバムチャート27位、シングル「Couldn't Get It Right」は全米3位の大ヒットを記録している。おそらくアメリカでは初期の彼らの知名度は極めて低かったため、まったく抵抗無くこのサウンド変化が受け入れられた結果だろう。 1曲目から、アルバジャケットが示すように主役はギターとサックス(裏ジャケはギターとサックスが楽器単独で置かれている)。アップテンポでR&B風のキャッチーな曲だが、途中からヘイコックの鋭いギター・フレーズが突き刺すように入り込み、後半は弾きまくりだ。 2曲目はイントロから泣きのギター。ヴォーカルやコーラスでポップさを出してはいるが、基本的にはブルージーなギター・ソング。ここまでで、もうすっかりヘイコックのギターとコリンのサックスにメロメロだ。 問題の5曲目は大ヒットしたディスコ調ソング「Couldn't Get It Right」。けだるいヴォーカルとビージーズのようなファルセットのコーラスが印象的だ。売れたのは77年でビージーズの「サタデイナイト・フィーバー」と同時期なのだが、本作がリリースされたのは「サタデイナイト・フィーバー」より1年前の76年なのだから驚く。おそらくファンキーなものを取り入れるつもりでたまたま作ったら、ちょうど時代の波に乗り大ヒットしたのだろう。なんと全米3位まで上昇したのだ。 だがよく聞けば、この曲にもイントロのギター・カッティングにハーモニクスを加えるなど、小技も使いギターソロまである。ただのディスコ・ソングとはやはりひと味違った、クライマックス風アレンジが効いている。 最後の「Extra」も出だしはポール・マッカートニーのバラード風で一瞬戸惑うが、すぐに曲調が変わり、後半はヘイコックのスライド・ギターが唸りを上げる。 曲調は違えど、どの曲にも根底にはブルースが流れ、知らず知らずのうちに深く聞き入ってしまうような奥深さがある。これはただのポップスではない。クライマックス流ブルース・ポップなのだ。(HINE) |