タイトル THE ROAD HOME(ザ・ロード・ホーム)
プロデューサー ジョン・ポール・ジョーンズ
リリース年 1995年
セールス順位 全米87位
              曲    目

1 . DREAMBOAT ANNIE(FANTASY CHILD)(既存)
2 . DOG AND BUTTERFLY(既存)
3 . (UP ON)CHERRY BLOSSOM ROAD(新曲)
4 . BACK TO AVALON(既存)
5. ALONE(既存)
6 . THESE DREAMS(既存) 
7 . LOVE HURTS(カバー)
 8 . STRAIGHT ON(既存)
9 . ALL I WANNA DO IS MAKE LOVE TO YOU(既存)
 10.CRAZY ON YOU(既存)
11.SEASONS(カバー)
12.RIVER(カバー)
 13.BARACUDA(既存)
14.DREAM OF THE ARCHER(既存)
 15.NEVER(既存)
*曲名の前の◎○印は既存の曲やカバー曲ならアレンジのよさ、新曲なら曲のよしあしで評価している。

レビュー内容

 デビュー20周年記念ということで1995年にリリースされたアコースティックライブアルバム。実際のレコーディングは94年にシアトルの最大500人程度の小さなクラブで行なわれた。
 ステージ上にはメンバー持参のカーテンや絵画、装飾品が飾られ、洒落たリヴィング・ルームのようであった。
 この当時は「アンプラグド・ブーム」で猫も杓子もアンプラグドという感じだったが、もともとハートはアコースティックに強いバンドで、アコースティック・サウンドをうまく取り入れたサウンドも魅力の1つである。また、このライブではマンドリン、アコーディオン、そしてストリングスも取り入れており、内容も本格的なので、単なるアンプラグドブームによって作られただけのものではない。
 やはり、このようなアコースティックの方がウイルソン姉妹に良くはまり、女性らしい叙情性、情感、優しさがよりよく表現されている。また、アンのボーカルもますます円熟してきている。ハートはいいメロディとアンのボーカルさえあればいいという人にとっては、よけいなものがなくいいと思う。ほんとうにハートの名曲がしっとりと歌われているのである。また、従来のスタジオ版よりはリラックスして聴けるのもよいことである。
 全体的にハートの代表的な曲はすべてはいっているので、ベスト盤としてもよいと思うし、ハートの曲を知っている人でも、アコースティックヴァージョンでは違う曲のように聞こえて新鮮だろう。
 プロデューサーはレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズで、かれはこのライブにピアノ・ベース、マンドリンで共演 もしている。ツェッペリンを敬愛してやまないウイルソン姉妹にとって、感動的なことであったに違いない。当然、ジョン・ポールを全面的に信頼し「世界で最もスイートな人」と絶賛すらしている。(あー、男冥利につきるなー) まあ、かれがプロデュースして、ストリングスのアレンジも行ったからこれほど聴かせるアルバムになったのだろう。
 それでは、1曲ごとにどのようにアレンジされているか紹介してゆく。
1.と2.は初期を代表するバラードで、やはりアコースティックがよくあう。アンのボーカルもそのころに比べて円熟してきているので、オリジナルより聴き応えがある。初期のバラードを冒頭にもってくるところが、原点復帰を感じさる。
3.の(UP ON)CHERRY BLOSSOM ROADはウイルソン姉妹のペンによるバラード。なかなか味のある曲。
4.のBACK TO AVALONは「デサイヤー・ウォークス・オン」に収録されている曲で、もともとアコースティックの曲なので、よくはまっている。
5.は余計なものをなくし、よりしっとりと歌い上げるアンがいい。6.はストリングス・サウンドが印象的で、ナンシーのヴォーカルもアンとは違った魅力がある。この全米No.1の2つの名曲、形がかわっても名曲は名曲だ。
7.はナザレスも歌った曲。曲名の通りアンが切なく歌い上げている。
このアルバムの目玉は何といっても、9.の曲のアレンジだろう。オリジナルよりこのヴァージョンのほうが断然いい曲になっているのである。行きずりの男とのメイクラブを歌ったような、あまり上品でない歌詞を、女性の純粋な恋心を切なく歌い上げるようにアレンジしているのは見事。またジョン・ポール・ジョーンズのストリングスのアレンジもさすがって感じである。これを聴きたいがためにこのアルバムを買っても損はないはずだ。
10.のアレンジも悪くないが、できればオリジナルのナンシーのアコギイントロを残して欲しかった。
11.SEASONSはエルトン・ジョンのカバー、12..RIVERはジョニ・ミッチェルのカバーである。
13.はハードロックナンバーのアコースティックへのアレンジ、やはり無理があると思った。しかしこの曲はどのような形になってもライブには欠かせないのだろう。観客の声も一番盛り上がっていたし・・・。
(まっちゃん)