HOWARD LEESE ハワード・リーズ
パート(ギター/キーボード)
在籍期間(デビュー時から現在にいたる)

 ハートの男性メンバー中、唯一デビュー以来のオリジナルメンバーである。デビュー前はセッションマンとしてライブで一緒にまわっていたが、デビュー直後正式メンバーとなった。79年のロジャー脱退後、リード・ギタリストとなった。かれのギタースタイルはどうだったのだろう。ロジャーの変則的でギミカルなギタープレイと比較して、直線的で地味という印象を与えるが、本当はその気になればバリバリキターソロもできるような人だったと思われる。アンのボーカルを前面にだすために、彼はサポート役に徹していたのだろう。また彼はギター・コレクターとして有名である。(ブリゲイドの初回限定版のブックレットを読めばそれがよくわかる)
 また、コンサート前のギターチューニングを入念にやる人だったという話もある。ハートはコンサートの時、かなりの種類のキターを使いこなすバンドである。それを一本一本丁寧にチューニングをするのは並大抵の作業ではない。また、女性であるナンシーにたいして、女性の体格にあったギターをいろいろ見繕っている。彼のギターに関する愛情は相当のものだったと言える。
 彼のギターの話はそれぐらいにしておいて、彼の人格的な部分にも注目して頂きたい。自己主張が強く、エゴイスティックな人間の多いロック界において、彼ほど心が広く、温厚な人はいない。またいい意味で楽天的でのんびりした人だったようだ。80年代前半、ハートは低迷し、スティーブやマイケルも脱退してゆく中、男性メンバーでただ一人彼が残ることになる。「アンは何もかも自分ひとりで抱え込んでかなり煮詰まっている」「ナンシーはキャメロン(映画監督、今のだんなさん)」に夢中である。今、冷静なのは自分1人だ。一番下っ端でも自分が動かないとハートは立ち行かなくなると、アンをなだめたり、いろいろ外部との調整役というサポート役に徹したと想像される。彼がいなければ、ハートは解散していたかもしれない。また、温厚なだけでなく、男気もあったと考えられる。このようなエピソードがある。
 90年のヒット曲である「All I Wanna Do Is Make Love To You」がいわいる「エッチな曲」としてアンがマスコミからセクハラまがいの質問攻めにあい、またイギリスで放送禁止になったこともあった。そこで、ウイルソン姉妹にかわり、マスコミやイギリス当局に抗議文だすなど、リーダーであっても女性ではやりにくいことをかわってやっていたのだ。95年ぐらいからハートは活動を停止。しかしかれは脱退していない。楽天的でのんびりした気質からなのだろうか。ウイルソン姉妹以外の人と本格的にプレイする気がないのだろうか。現在は、ハートとしての仕事がないので、スタジオ・ミュージシャンをやっているようだ。ただ、今年の6月のハート復活コンサートに参加していなかったことが気がかりだ。
 本気でやる場合は是非復帰してもらいたい。彼がいてこそ、ハートはバンドとなりうると思うし、彼まで抜けてしまったら、ハートは本当にウイルソン姉妹による「女性デュオ」となってしまうだろう。あくまでも「バンドとしてのハート」にこだわりたいから・・・。