ビートルズによって市民権を獲得したロックは、サイケデリックやブルースロック・ブームなど経て、
どんどん大音量で派手なハードロック路線へと主流が移っていったが、
けっしてビートルズのような、ソフトなロック・サウンドが消えてしまったわけではない。
むしろ、ヒットチャートではこういったソフト・ロックが既存のポップスを押さえ、新しいポップスとして定着しつつあったのだ。
その一方で70年代以降、ハードロックこそ普通のロックと思われるくらい、ロックの象徴的サウンドとなった。
そこで、比較的おとなしいロック・サウンドの方は、いつしかソフト・ロックやポップ・ロックなどと呼ばれるようになっていった。
また70年代後半には、ビートルズ世代のロック・ファン達が大人になり、
少し落ち着いたサウンドを好むようになると、ジャズやソウルなどのエッセンスを取り入れた、
大人向けロックとも言えるハイセンスなロック・サウンドが注目されてきた。
こういった音は特に日本で人気があり、アダルト・オリエンテッド・ロック=AORという日本独自のジャンル分けまで誕生させた。
ちなみにアメリカでは、この呼び方のジャンルは存在しない。