ジャケットの名盤を手がけた著名アーティスト・ファイル

File No.23
TRAVIS SMITH トラヴィス・スミス

 2003年のインタビューで33歳と答えていたことから推測すると、おそらく1970年あたりの出生だろう。米カリフォルニア州、サン・ディエゴの産。注目を浴びてからまだ日が浅いため、その他詳しい経歴は明かではないが、トラヴィスの仕事のほとんどはCDのカヴァー・アートだという。
 初めて手がけたカヴァー・アートは、1996年地元サン・ディエゴのシンフォニック・メタル・バンド「サイコティック・ワルツ Psychotic Waltz」の「Bleeding」というアルバムのもの。その後作風を変えながら徐々に人気を獲得し、コンピューターでしか描けないようなカヴァー・アートの名作を次々と生み出している。


Adagio/Solitude Aeturnus
1998年 Massacre

Tonight's Decision/Katatonia
1999年 Peaceville Uk

Identity 6
2000年 Century Media

Blackwater Park/Opeth
2001年 Koch International

Death's Design/Diabolical Masquarade
2001年 Olympic

Natural Born Chaos/Soil Work
2002年 Nuclear Blast

Labyrinth/Labyrinth
2003年 Century Media

Kill Box 13/Overkill
2003年 Spitfire


 トラヴィスの作品は、すべてコンピューターを使用したもので、環境はMacintoshとAdobe Photoshopの組み合わせだ。自ら写真も撮り、イラストも描き、そうした素材を巧みに組み合わせて表現する作風が特徴だ。
 同じようなタイプのアーティストは近年増殖しているが、彼の場合、その中に鬱々とした心象風景のようなものが投影されているので、特にプログレ・メタルやゴシック・メタル系のイメージにぴったりとはまり、特に最近そういったバンドたちから引っ張りだこのようだ。上の例では下段右から2番目「ラビリンス」のものなどがそういう作風。
 しかしながら、もっと注目したいのは、上段全てと下段1番左のような、ゴシック・ホラー映画風の作品群。これらの怪しい美しさは現代の「キーフ」とも言えるすばらしい仕上がりだ。
 また、希に下段右端のようなシンプルなマークだけのものも見受けられるが、こういう作風では「ヒュー・サイム」などに遠く及ばない。このあたりはまだ自己の作風を確立し得ていないような印象を受ける。まだまだ若いアーティストなので、これからの発展にも期待したい。