ジャケットの名盤を手がけた著名アーチスト・ファイル

File No.4
KEEF キーフ

1960年代の終わり頃から70年代初頭に大活躍した謎の写真家Marcus Keef(マーカス・キーフ)。実は本名はキース・マクミランというらしい。プログレ・マニアの間では絶大な人気を誇る彼の作品(ジャケット)は、その中身である音楽より有名なほどで、貴重なLPなどは高値で売買されている。しかし、いまだにキーフ自身の正体は、あまり知られておらず、それがまた彼の作品同様幻想的で、謎めいていてよいのかもしれない。
キーフがフォトグラファーとして活動を始めたのは1968年。初のメジャー作品はコラシアムのヴァレンタイン組曲。その後、主にヴァーティゴやネオンといった異色アーチストを扱うレーベルを中心に70年代半ばまで活躍する。そして78年にケイト・ブッシュのデビュー作「嵐が丘」のビデオ・クリップを依頼されたことがきっかけとなり、ムービー作りに転向。「KEEFCO」という映像製作会社も設立し、キッス、ポール・マッカートニー、シンプル・マインズ、ブロンディ、ステイタス・クォー、カルチャー・クラブなどを手がけ、こちらの世界でもまずまずの成功を収めている。


Affinity/Affinity
1970年 Vertigo/Akarma

Nirvana/Local Anaesthetic
1971年 Vertigo/Repertoire

Colloseum/Valentine Suite
1969年 philips/Castle

Black Sabbath/Black Sabbath
1970年 Vertigo/Essential

David Bowie/Man Who Sold the World
1970年 Ryko/東芝EMI

Beggars Opera/Act One
1970年 Vertigo/Repertoire

まるで印象派の絵画でも見ているかのようなキーフの作品群。どれもすばらしいものばかりだが、特に有名なのは上にあるアフィニティとニルヴァーナ(UK)のものだ。しかし、中にはBeggars Opera(上写真)やHanniball/Hanniballのようにユーモラスなものや、ステイタス・クォー/オンザ・レベルやロウ・マテリアル/Time Is...のように視覚効果でユニークに見せたものもある。
キーフの手法は、上のアフィニティやサバスのように、赤外線フィルムを使って撮影した写真に、後から着色するといったものが有名だが、他にもネガを反転させずに使ったり、わざと粒子を荒くしたりと、写真家ではあるものの、感性はデザイナーに限りなく近い。
個人的には、上にあるブラック・サバスのファースト・アルバム「黒い安息日」が一番印象深い。ブラック・サバスと言えば「黒魔術」、ヘヴィでダークなイメージが強い。このジャケットでは、その不気味な雰囲気をうまく表現し、内容とも完全に一致している。その後サバスのアルバム・ジャケットはヒプノシスへ引き継がれるのだが、やはりこのファースト・アルバムの素晴らしさにはかなわない。ちなみにサバスの「パラノイド」もキーフの作品だ。
キーフの手がけたカヴァー・アートで他に知られているのは、ロッド・スチュワート/ガソリン・アレイ、Spring/Spring、Dando Shaft/Dando Shaft、インディアン・サマー/黒い太陽、クレシダ/アサイラム、アル・スチュワート/オレンジ、Fresh Maggots/Fresh Maggots、Hungry Wolf/Hungry Wolf、マンフレッド・マン・チャプター3/ヴォリューム2、Warhorse/Warhorse、グリーン・スレイド/Spygluss Guest、Legend/Moonshine、Tonton Macoute/Tonton Macouteなどがある。

協力:「Do You Know Them?」えさかさん