ジャケットの名盤を手がけた著名アーチスト・ファイル

File No.11
DREW STRUZAN ドゥルー・ストゥルーザン

1946年、貧しい家庭に生まれたストゥルーザンは、子供の頃から多くの本や美術館で芸術・デザインを学び、有名なアーチストの絵をコピーすることに熱中していたらしい。その後アートスクールで学んだ彼は、南カリフォルニアの大学へ6年間通う。65年から本格的にデザインの仕事を始めるが、レコードのジャケット・カバー、ブック・カバー、広告、ポスターなどあらゆる仕事をこなしていった。70年には、その後の彼のメイン・ワークとなる映画のポスター(ブラック・バード)も初めて手がけている。
彼が数多くのレコード・ジャケットを製作していたのは60年代末期〜70年代半ば頃までで、その数はざっと70枚にものぼる。この世界でメキメキと頭角を現したストゥルーザンは、75年に描いたアリス・クーパーの「悪夢へようこそ」が評判となり、映画界からも引っ張られることになる(おそらくワーナーつながりだろう)。このアルバム・ジャケットは、後にローリング・ストーン誌の「トップ100アルバム・カヴァー」にも選ばれている。その後はスター・ウォーズ、インディ・ジョーンズ、バック・トゥ・ザ・フューチャー、E.T.など、ジョージ・ルーカスやスピルバーグの映画ポスターを手がけ一躍有名になり、今ではこちらの方ですっかりお馴染みだ。近年ではハリーポッターのポスターやブック・カバーで、彼の作品が世界中に溢れていたのも記憶に新しい。


Alice Cooper/Welcome To My Nightmare
1975年 Atlantic/Warner

Grand Funk/Phoenix
1972年 Capitol/東芝EMI

Iron Butterfly/Scorching Beauty
1975年 Repertoire

Black Sabbath/Sabbath Bloody Sabbath
1973年 Warner

Poco/Pickin' Up The Pieces
1969年 Epic/Legacy

Carole King/Fantasy
1973年 Epic

Paul Kantner & Grace Slick/Baron Von Tollbooth & The Chrome Nun
1973年 Grunt/RCA

Bee Gees/Main Course
1975年 Polydor

「絵は言葉をしゃべらないが、それを見る者と心で通じ合うことができる。」とは、ストゥルーザンがインタビューで答えた一節だ。また彼は、デザインの勉強は一生懸命したが、それより重要なことは、クライアントとの人間関係や様々な仕事の経験だったとも語っている。これを聞くかぎり、どうもストゥルーザン自身は芸術家というより、デザイナー的な発想を持った人のようだ。確かによく見ると、どれも構図に無駄が無く、シンプルな背景の中央に凝ったイラストを配置することによって、そのメインのイラストを引き立たせるといったデザイナー特有の手法が多い。同世代に活躍した他のイラストレーター系アーチスト達が、ジャケット・サイズ全体(時には裏面まで)をフルに使って表現していたのに対し、ストゥルーザンは1つのイラストだけで、同等のインパクトを与えることが出来る。それだけ彼のイラストは存在感があるという証でもあるのだ。しかもこういった手法は、現在の小さいCDサイズでも充分通用するため、CDで今見てもあまり遜色がない。
また、彼の描き出すイラストに、今にも動き出しそうな躍動感を感じるのは、彼が言うところの「見る者との対話」が見事に表現されているからであろう。
他の作品には、バーズ、ジェファーソン・エアプレインマーシャル・タッカー・バンドなど、ロック系以外でもブラザーズ・ジョンソンやレイクサイド、マリー・トラヴァース(ピーター・ポール&マリーのマリーのソロ)などが有名だ。