ジャケットの名盤を手がけた著名アーチスト・ファイル

File No.8
JOHN BERG ジョン・バーグ

ニューヨークのブルックリン生まれアメリカ人。ハイスクール時代から校内新聞用のマンガを描いたりしていたという。その後クーパー大学を卒業し、ニューヨークの電話会社の設計や、製紙会社のパッケージ・デザイン、雑誌の広告など、さまざまなデザイン・ワークをこなすが、どれもあまり成功しなかったようだ。そんなあるとき、コロンビア・レコードからジャケットのアート・ディレクションの仕事が舞い込んだのがこの世界に入るきっかけとなった。引き受けはしたものの、カヴァー・デザインなどまったく経験のなかった彼は、独自のやり方で作り上げたことで個性を発揮し、それまでの常識を越えた作品を生み出していった。以降さなざまなアイデアをカヴァー・アートに持ち込んだ先駆者として、約5,000枚にも及ぶカヴァーのアート・ディレクションをこなしている。また、彼の作品はグラミー賞に29回もノミネートされ、うち4回は見事受賞も果たしている。


Chicago/Chicago II
1970年 Columbia/Chicago

Jeff Beck/Blow By Blow
1975年 Epic/Sony

Loverboy/Get Lucky
1981年 Columbia

Bruce Springsteen/Born to Run
1975年 Columbia

Blue Öyster Cult/Agents of Fortune
1976年 Columbia/Legac

Ted Nugent/Double Live Gonzo
1978年 Epic/Sony

Aerosmith/Draw The Line
1977年 Columbia

Judas Priest/Point of Entry
1981年 Columbia/Legac

彼には「芸術とはストーリーを描き伝えること」という哲学があり、グラフィック・デザインにおいても、常にストーリー性を大切にしている。上の代表作を見ても分かるように、どれもが見た目のインパクトだけではなく、何かを語っているものばかりだ。彼の場合、アート・ディレクターという立場上、その表現方法においては、写真やイラスト、ロゴなどなんでも使い(実際には専門の人に依頼する)、表現方法もさまざまだが、どれをとっても、ストーリーがあるという点では一致している。それはシカゴのジャケットのように1枚では終わらず、ずっとつながっているものもある。余談だが、このシカゴのロゴは、バーグがデザイナーに「コカコーラに似せたロゴを作れ」と指示したそうである。当時のジャケットと言えば、メンバーの写真を載せたものが一般的であったのに対し、このロゴだけのジャケットというのは、非常にインパクトがあった。またジェフ・ベックのジャケットでは、「孤高のギタリスト」というイメージを1枚の写真から起こしたイラストで表現。まるで「哀しみの恋人達」でのせつないギターの音が聞こえてきそうだ・・・。他のジャケットも、ライブでの躍動感を表したり、何をやっているんだろうという謎めいたもの、その先にはいったい何があるのか?など、見た者に何かを考えさせ、より深く心に焼きつける手法がバーグの特徴だ。上に挙げた他で代表的なものでは、ジョニー・ウインター、エドガー・ウインター、リック・デリンジャー、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、チープ・トリック、バーズ、バジャー、イアン・ハンター、ミートローフ、サンタナ等のものがある。尚、ロジャー・ディーンのところでも挙げたジェントル・ジャイアントの「オクトパス」は、US盤ではバーグがデザインした「瓶詰めタコ」ものが使われている。