お薦め名盤Vol.7(FUNKY)

ドリーム・オン/ジョージ・デューク
DREAM ON/GEORGE DUKE

1982年 25-3P-341◆EPIC/SONY

SIDE-A

1.シャイン・オン
 Shine On
2.ユー
 You
3.ドリーム・オン
 Dream On
4.アイ・ウィル・オールウェイズ・ビー・ユア・フレンド
 I Will Always Be Your Friend
5.フレイムド
 Framed

SIDE-B

1.ライド・オン・ラヴ
 Ride On Love
2.サン・オブ・リーチ・フォー・イット
 Son Of Reach For It
3.サムデイ
 Some Day
4.ポジティヴ・エナジー
 Positive Energy
5.レット・ユア・ラヴ・シャイン
 Let Your Shine


ジョージ・デュークと言えば、フランク・ザッパ門下生の出世頭であり、ザッパ同様ジャンルにとらわれない自由人でもある。
ザッパの元を離れた後は、ジャズ&フュージョン界の大物プレイヤー、スタンリークラーク(b)との共演“クラーク・デューク・プロジェクト”やジャズ・サックスの巨匠ソニー・ロリンズとの共演など、主にジャズ寄りの方面で話題を振りまいたことで、ますます「よく分からない人」という印象を深め、それがイマイチ固定したファンを獲得する邪魔をしていたようにも思えた。
しかし、そんな印象を一掃するほどインパクトを持ったアルバムをついに発表した。それが本作である。
年代はちょうど第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンという、若手のブリティッシュ・ポップ・アーチストが大挙してアメリカ進出を果たしていた頃だ。彼らは一様にしてユーロ・ビートと呼ばれるデジタルチックなファンキー・ビートにのせたポップな曲でヒット・チャート上位を賑わせていた。
しかし、その後黒人達による本物のファンキー・ビートの反撃にあい、あっという間に衰退していくのだ。
このジェージ・デュークのアルバムも「本物のファンキーとはこれだ!」と言わんばかりのノリの良さで、時代の先端をいく存在だった。特に1曲目の「シャイン・オン」は往年のアース・ウインド&ファイアー(彼らもまだまだ現役ではあったのだが)をも思わせる、ファルセット(裏声)・ヴォーカル、キレのいいリズム・セクション、曲の良さなど、どれをとっても満点の出来だ。そして少しスローテンポだが、キレの良さはそのままに、しっとり歌い上げる「ユー」、またアップテンポで特にベース・ギターのフレーズが印象的な「ドリーム・オン」へと流れるように進行してゆく。気が付けばもうラスト曲だというような展開で、まったく飽きさせない。
さらに特筆すべきは、それまで単にキーボード・プレーヤーだと思っていたデューク本人が、すべての曲でリード・ヴォーカルをとり、作曲、作詞、編曲・プロデュースまでほとんど1人でこなしていることだ。もちろん、シンセやキーボードは全て1人でプレイしているのも言うまでもない。ついでに記しておくと、他の主な参加ミュージシャンは、パーカッションのポリーニョ・ダ・コスタ、ギターのマイケル・センベロ、トランペットのジェリー・ヘイなどである。
いずれにしろ、このアルバム1枚でデュークのそれまでのイメージ像はまったく変わってしまったことは確かであろう。
「よく分からないキーボード・プレイヤー」から「センスあふれるマルチ・プレイヤー」へと・・・。