お薦め名盤Vol.2(JAZZ&FUSION)
浪漫の騎士/リターン・トゥ・フォーエバー
ROMANTIC WARRIOR/RETURN TO FOREVER
1976年 25AP 55◆CBS Inc.
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SIDE-A
1.中世序曲
Medieval Overture
2.女魔術師
Sorceress
3.浪漫の騎士
The Romantic Warrior
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SIDE-B
4.荘厳な舞踏
Majestic Dance
5.手品師
The Magician
6.道化と暴君の決闘(パートI&II)
Duel Of The Jester And The Tyrant(Part I&II)
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メンバー
チック・コリア Chic Corea(キーボード、マリンバ)
アル・ディメオラ Al DiMeola(ギター)
スタンリー・クラーク Stanley Clarke(ベース)
レニー・ホワイト Lenny White(ドラムス、パーカッション)
このメンバーを見てもわかる通り、凄いの一言。よくも、まあこれだけ凄いメンバーが集まったものだ…。セッションならいざ知らず、ジャズ界では、いずれも世界で5本の指には入るぐらいの名プレイヤーたちだ。
もともとはこのバンド、1972年にデビューし、当初はジャズにブラジルのニュー・ミュージックを加えたりしながら、クロスオーヴァー風サウンドを目指してきたが、74年にはチック・コリアが惚れ込んだギタリスト、アル・ディメオラをメンバーに加え、急激にロック色を濃くしていく。
そして、このディメオラが加わった最強メンバーでは、「銀河の輝映」(74年)「ノー・ミステリー」(75年)とこのアルバム「浪漫の騎士」(76年)の3作を発表。この時期がRTFの絶頂期と言ってもよいだろう。
その後リターン・トゥ・フォーエバー(RTF)からは、ディメオラとレニーが抜け、チックとスタンリーは、これまでとはまったく違う、アコースティック・アプローチのアルバムを1枚リリースしている。しかし、これはもう同じ名前の実質別バンドと考えてもよい。
RTF解体後、スタンリー・クラークはソロやセッションで、ジェフ・ベックをはじめロック・ミュージシャンらとも広く交流を持ってゆくことになるが、フュージョン系ベーシストとしての先駆者の割には、ブーム下ではあまり成功したとはいえない。むしろ彼の後に出現した驚異のチョッパー・ベーシスト「ルイス・ジョンソン」に人気ベーシストの座を奪われることとなる。
実質、RTFのサウンドを受け継ぎ成功を収めるのはアル・ディメオラの方で、ソロに転向し、スパニッシュ・サウンドとロックとジャズのフュージョン・サウンドを完成た。
チック・コリアは、この時すでにキース・ジャレット、ハービー・ハンコックと並ぶ三大ジャズ・ピアニストとして音楽シーンに君臨し、その後もソロや、エレクトリック・バンド、アコースティック・バンドで大活躍する。
もともとはロック・サウンドに近づくことを一番嫌っていたレニー・ホワイトも、RTFをきっかけに幅広いジャンルの音楽に目覚め、セッション・ミュージシャンとしてジャンルの垣根を越え活躍することとなる。
サウンドについて
とにかくこの凄いメンバーだけに、聞く前から期待も最高潮に達してしまうが、みごとその期待にこたえるだけのパフォーマンスを披露してくれている。特にこのアルバムは、RTF(リターン・トゥ・フォーエバー)の中でも、ロック寄りの最高傑作と呼べるもので、曲のタイトルを見ても分かる通り、プログレっぽいサウンド構成になっている。曲自体も比較的ポップで、誰が聞いても親しみやすいのではなかろうか。
世の中がやっとクロスオーヴァーという音楽を認識しはじめたこの時期、彼らはすでにフュージョンも越え、プログレッシヴ・フュージョンとでも形容したくなるようなサウンドを構築していた。この事実は驚異的ですらある。
ちょうどこのアルバムがリリースされた頃、ロック界ではジェフ・ベックがクロスオーヴァー・サウンドのアルバム「ギター殺人者の凱旋」を出し、世界的に注目を浴びていたところだったが、ジャズ界でも、このRTFをはじめ、ウェザー・リポート、ハービー・ハンコック、マハビヌシュ・オーケストラなどが着々とサウンドのクロスオーヴァー化を進め、この後一挙にフュージョン・ジャンルの確立へと向かっていった。
本作はその橋渡し的アルバムとしても、重要な名盤だろう。 |